2
森の中では、小さなリスや小鳥や動物たちが春ちゃんのことをじーっと見ていました。
「あのー、とっと君、妖精のとっと君はどこですかー?」
春ちゃんはおそるおそるあたりを見わたしながら、小さな妖精の名前を呼びました。
そのとき、こかげから大きなスズメバチが春ちゃんめがけて飛んできました。
「きゃー!」
春ちゃん夢中で逃げ出しましたが、途中で足を滑らせて森の小さながけから落ちてしまいました。
「いたーい!、、、」
春ちゃんは足や手をいっぱいすりむいてしまいました。
「あなたは、誰?」
春ちゃんの後ろから小さな声が聞こえてきました、、
振り返るとそこには、小さな女の子の妖精がスズメバチのよこで飛びながら春ちゃんをにらんでいました。
「あなたは、どうちて、お兄ちゃんの名前を呼んでいたの、いったい誰なの?」
「お兄ちゃん?あなた、あの子の妹なの?」
「あやちい、」
女の子がそういって手に持っていた小枝をふると、あたりからたくさんの蜂たちがあつまって春ちゃんをとりかこみました。
「ちょっとまって、わたしはただ聞きたいことがあっただけなの、、、」
女の子の妖精と蜂たちは、春ちゃんの言葉に耳もかさず、春ちゃんめがけておそいかかってきました。
「きゃーーーー!!」
春ちゃんは恐さのあまり目をつむってしまいました。
「だめーーーーー!」
そこへ声をとともに、小さな男の子が飛び込んできました、
それは春ちゃんがさがしていた、とっと君でした
とっと君は、夢中で蜂と春ちゃんの間にわって入りました、、、
「いたーい!、、、」
とっと君の大きな声が森にひびきました、、、
春ちゃんはびっくりしながらそっと目を開けました
そるとそこには、春ちゃんをかばって、蜂におしりをさされてる、とっと君の姿が、、、、
「はらはらはらー」
とっと君はいたさのあまり目をくるくる回してたおれてしまいました。
春ちゃんはあわてて、とっと君をだき上げると、
「とっと君大丈夫、とっと君、とっと君!」
涙をぽろぽろこぼしながら、呼びつづけました。
「なんで、お兄ちゃんが、でてくるんでちゅかー、」
女の子の妖精が、ぷんぷんおこっていると
「大丈夫じゃ、とっと君は寝ているだけじゃよー。」
どこからか、大きなかすれた声が聞こえてきました
春ちゃんと女の子の妖精がふりかえると、そこには大きな樫の木のおじいさんが眠そうにむにゃむにゃしながら笑っていたのでした
春ちゃんはまたびっくり、目をまんまるにしながら樫の木のおじいさんを見ました
「ふあふあふあ、こりゃーおどろいたなー、わしの声が分かる人間なんて何百年ぶりじゃろう。」
樫の木のおじいさんは優しく笑いながら、春ちゃんを見ました。
「木がしゃべったー。」
春ちゃんはびっくりしながらも、うれしそうに、樫の木のおじいさんを見ました。
「ほう、ほう、妖精たちが見えるだけでなく、私の声も聞こえるとは、 君は、本当にきれいな、やさしい心をもった子なんじゃな、ふおふおふお。」
おじさんはやさしい笑顔で春ちゃんを見ると、春ちゃんをおそった蜂たちや、ちいさな女の子の妖精にやさしく言いました
「チッチや、はやとちりがすぎるぞ、この子は悪い子ではないぞ、さあ、蜂たちも、おうちにお帰り。」
おじさんになだめられて、蜂たちはしずかに森の中に消えていきました。
「おい、そこに隠れている連中も、出ておいで、」
樫の木のおじいさんが声をかけると、まわりの木々のあいだからたくさんの妖精たちが、姿を現しました。
「わー!」
春ちゃんやうれしそうに目をきらきらさせながら、たくさんの妖精たちを 見ました。
妖精たちはあいかわらず春ちゃんをけいかいしながら見ていました。樫の木のおじいさんはそんな妖精たちを見ながら
「無理もない、みんな人間に住んでいた森をこわされて、ここへ引っこして来ることになったのじゃからの、、、、」
そういって少しさみしそうに笑いました、、、
妖精の一人がおじいさんに言いました
「人間は森も山も、海も、川も、ぜんぶ自分たちだけのものだと思っているんだ。」
「樫じい、どうしてそんな人間の子供のみかたをするんだい!」
「ふお、ふお、ふお」
樫の木のおじいさんは、ゆったりと笑いながら、静かに目をとじました。
「樫じい、答えておくれよ、そんなふうに笑っているけど、いつかこの森だって人間たちにこわされて、また大きなコンクリートの建物になってしまうかもしれないんだぞ、」
「そうだよ、そうなったら樫じいだって人間に切りたおされてしまうんだぞ、、、」
樫の木のおじいさんは静かの目をあけました
「それは、こまったのー、わしはまだまだ、森のみんなを見ていたいからのー、、、、ふお、ふお」
樫の木のおじいさんは、笑いながらいいました。
春ちゃんはそんな様子を見ているうちに、急に泣き出してしまいました。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
春ちゃんは涙いっぱいに、樫の木のおじさんと森の妖精たちに、なんども、なんどもあやまりました。
その時でした、いままで春ちゃんのうでの中でねむっていたとっと君が、
「ふわー!!」
と、小さなあくびをしながら目をさましたのでした、、、
「あ、、、とっと君、、、目をさましたのね、、良かった、、良かった、、」
春ちゃんは泣きながらとっと君を見ました、、、
とっと君はあたりをキョロキョロと見まわし、泣き顔の春ちゃんの姿にきがつきました、、
「あー、君どうしたの?、、どうして泣いてるの?、、、」
とっと君は、春ちゃんの涙をそでのはじで いっしょうけんめいふきはじめました、、、
「ありがとう、、とっと君、、、」
とっと君と春ちゃんのようすをじっと見ていた樫の木のおじさんが言いました、、、
「君は本当に優しい子なんだね、花の妖精たちが昔、話していたとおりだ、ふぉふぉふぉ、、、」
「花の妖精たち、おじいさん花の妖精たちって、!!」
春ちゃんは目をキラキラさせながら、樫の木のおじいさんにかけよりました、、、
樫の木のおじいさんはやさしくん春ちゃんを見つめながら、しずかにお話をはじめました、、、
「あれは、、となりの森、そう、わしのひいひいじいさん達が住んでいた森がこわされる時だった、、工事の車や機械が森に入ろうと木々を切りたおしはじめた時、小さな女の子が森のお花さんが死んでしまと泣きながら、あらわれたんじゃ、、、」
「その女の子は涙をこぼしながら、咲いていたお花たちを、この森に植えかえて、それから毎日毎日、お水をあげに来てくれた、、、」
「おかげでそのお花たちは、次の年も、又次の年もきれいな花を咲かせることができたんじゃと、、、」
「この世のすべてのものには、命がありそして精霊、つまり妖精がやどっておるのじゃ、元気になった花の妖精たちは、自分たちを救ってくれた女の子をずっと探しておった。」
「お花の妖精たちが女の子を見つけたとき、その子はとても重い病気になって、森をこわして作られた病院のベッドでねむっていたそうじゃ、、、」
樫の木のおじいさんは、うれしそうにそう話してくれました。
「おじいさん、、、、」
春ちゃんは涙をいっぱいためて、樫の木のおじいさんの下にしゃがみこみました
「私、、、私の病院のベッドにかわいい妖精さんが、毎日毎日来てくれたの、でも夢だと思っていた本当のことだったのね、、、」
「妖精さんが私のことを、心配して来てくれていたのね、、、」
春ちゃんはそう言うと、両手で顔をおおい、大きな声で泣き出してしまいました。
「それで、君は僕たちが見えるの?」
とっと君は春ちゃんのことを、不思議そうにのぞきこんでいました。
「昔の人間は妖精と友達じゃった、、、、わしも若い頃は人間の子供たちとよーく話したものじゃが、いつの間にか人は、森が生き物であるということを忘れてしまった、、、、」
「そして人間は、森もこの地球もすべて自分たちだけのものだと思いはじめてしまった、、、、それからだんだんわしらを見ることも、感じることも出来なくなってしまったようじゃ、、、、」
「さあ、わしも久しぶりに話しすぎたので、眠くなってしまった、ひさしぶりに、人の子と話しが出来てうれしかったからかのう、むにゃむにゃ、、」
そういうと樫の木のおじさんは目を閉じて眠ってしまいました。そして見る見るうちに、しわしわなもとの木に戻っていっていきました、、、
「おじいさん、おじいさん、、、」
春ちゃんは樫の木にもどってしまったおじいさんに、なんども呼びかけました、でも、おじいさんはそれからピクリとも動かず、じっとただの樫の木にもどってしまったのでした、、、
続き
その3 とっと君のしっぽへ
ひとりでも多くの方に読んでもらいたく、ランキングにも
参加しています。一日一ポチ、クリックしていただけると
とっても励みになります。(願~^^
最近のコメント