小さな森のとっと君
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「春ちゃん、これクッキーのお返し、、、食べてごらん」
とっと君はそう言いながら、自分の頭からもぎとった黄色い小さな木の実を春ちゃんに差し出しました
春ちゃんはその小さな木の実をうけとると、うれしそうに目をキラキラさせながら とっとくんにたずねました
「きれい、、、とっと君これって何のお薬なんだろう、、、、」
「なめてのお楽しみだよ、、、へへへ、おいしいから、さあ、なめて見て春ちゃん」
「うん」
はるちゃんはうれしそうにうなずくと、その小さな木の実を口にふくみました
すると、お口の中でパーッと、甘い香りがひろがり、あっという間に木の実はとけてなくなりました。
「とっと君、あまくておいしいね、これ、、」
春ちゃんはうれしそうにとっと君を見ました
「でも、とっと君これっていったい、、、、」
「えへへへ、、、、、」
春ちゃんのといかけに、とっと君はイタズラな笑顔で笑っていました
『春ちゃん春ちゃん、美味しいクッキーをありがとう、、、』
とつぜん春ちゃんの耳もとで、とっと君とはちがう可愛い小さな声が聞こえてきました
「え、、今のはだれ?」
春ちゃんはびっくりして横をむきました
『ありがとう、春ちゃん、、、』『ありがとう、ありがとう、、』
なんとそこには、春ちゃんからクッキーをもらった小鳥さん達が家族そろって、春ちゃんにお話しをしていました。
「今のは、あなたたちが話した言葉なの?」
春ちゃんは目をまんまるにして、小鳥さんにたずねました
『そうよ、そうよ、春ちゃん、私達がお話したのよ、、、♪』
『ありがとう、ありがとう、、、♪』
小鳥さんたちは、楽しそうに歌いながら、春ちゃんにお礼を言いました
「とっと君、これってさっきなめた木の実のおかげなの?」
春ちゃんはうれしくなって、目をキラキラさせながら、とっと君を見ました
とっと君は両手を頭の後ろにしながら、たのしそうに「うん」とうなずきました。
『ねえ、ねえ、春ちゃん、僕たちにもクッキーちょうだい、、、』
草のしげみの中から、今度はべつの可愛い声が聞こえてきました
「こんどは誰なの?」
春ちゃんがふりかえると、そこには小さな可愛いたぬきさんの親子が、はずかしそうにこっちを見ていました
「わー、たぬきさんまで、どうぞ、どうぞ、、おいしいクッキーをめしあがれ、」
春ちゃんはそう言うと、クッキーを袋からとりだして、たぬきさんの親子にてわたしました
『ありがとう、ありがとう、春ちゃんありがとう、、、、』
たぬきさんはそう言いながら、おいしそうに春ちゃんのとなりで、クッキーをポリポリ食べました
『おいしいね、ママ、、、、』
小さなたぬきさんが、お母さんたぬきさんに話していました。春ちゃんはうれしくてしかたありませんでした
「すごーい、すごーい、春、夢を見ているみたい、、、、」
「とっと君、こんなに素敵なプレゼントありがとう、、、、」
春ちゃんはとっと君をみると、目をうるませながらお礼をいいました
「ずーっとは無理だけど、これでしばらくは動物さんとお話ができるよ、、、」
とっと君はうれしそうにそう言いながら、かかえていたクッキーをポリポリかじりました
やがておいしいくクッキーを食べ終わった、小鳥さんとたぬきさんは、春ちゃんのために楽しいえんそうかいを、ひらいてくれました。
ぽんぽこぽんぽんぽん!ピーピピピーピリリリピー!
たぬきさんのおなかのたいこに合わせて、小鳥さんたちが歌おどりました
ちっちちちちちー!きゅっきゅきゅきゅきゅきゅー!くっくくくっくくー!
そこへバッタさんと、りすさん、可愛いうさぎさんの家族も加わって、いつしか森の中は楽しいコンサートホールになっていました
森のみんなの歌声を、木のきりかぶに腰かけながら、楽しそうに聞いていました
とっと君も小さな体を春ちゃんによせながら、楽しそうに森のコンサートを楽しんでいました
しかし、しばらくして、とっと君がふっと春ちゃんの姿を見ると、春ちゃんは涙をながしていました
とっと君はびっくりして、目をぱちくりしました
「春ちゃん、どうしたの、、、どうして泣いてるの、、、」
とっと君のといかけに、春ちゃんは涙をおさえながら
「あんまり楽しいから、、、、」
そう答えました
「楽しいからどうして泣いちゃうの?、泣いたらいやだよ、春ちゃん、泣いたら僕も悲しくなっちゃうよ、、、」
とっと君はそう言いながら、春ちゃんと一緒に泣きだしてしまいました
「うえーん、うえーん」
「ごめんねー、ごめんねー、とっと君を悲しませてしまったて、ごめんね、、、」
春ちゃんは泣きながらとっと君の小さな背中をさすってあげました
「じゃあ、どうして楽しいから泣いてるの、春ちゃん?」
とっと君は涙をぬぐいながらたずねました。
「うん、、、実はね、、、」
春ちゃんはポケットから1枚の可愛いくまさんの絵のついた手紙をだしながら、静かにお話をはじめました
つづく
小さな森のとっと君の他にも素敵な楽しいお話がい~っぱい、
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次の日曜日、春ちゃんはとっと君にあいたくて、ふたたび病院の横の森へとでかけました。
春ちゃんの手には、夕べお母さんといっしょに作ったクッキーがたくさんありました。
春ちゃんは、とっとくんに出会った森の入り口にとうちゃくすると、静かにお花のまえにすわりました。
「とっと君、とっと君、」
春ちゃんは何度も、とっと君の名前をよびました。でも、なかなかとっと君は姿を見せてくれません。春ちゃんは少し心配になりましたが、今度は心の中で、
(とっと君、とっと君と森のみんなにプレゼントをもってきたんだよ、、)
春ちゃんは目をとじて、手に持ったクッキーをお花の前にさしだしながら、そう話しかけました。
「プレゼント?」
お花の後ろから小さな声が聞こえました。
春ちゃんがそっと目をあけると、そこには葉っぱの上で、にっこり微笑んでいるとっと君の姿がありました。
春ちゃんと、とっと君は、さっそく二人で樫のおじいさんのところへ向かうことにしました
とっと君は葉っぱから葉っぱへ、枝から枝へピョンピョンと飛びながら、森のおくへおくへと入っていきました
春ちゃんにとっては、なれない山歩きです。とちゅうで木の根っこにつまずいたり、葉っぱにじゃまされたり、それでも春ちゃんはいっしょうけんめい、とっと君におくれないように頑張って歩きつづけました。
そんな春ちゃんのことを、とっと君もときどき、気づかいながら、じゃまな枝をどかしてあげたり、あぶないところを教えてあげたりしました
春ちゃんはそんな、とっと君のやさしさにふれ、どんどん、とっと君のことが好きになっていきました
「とっと君、ありがとう」
春ちゃんが、いっぱい汗をかいたお顔で、とっと君にお礼をいうと、とっと君はうれしそうに顔を赤くそめながら目を細めました
そして二人は樫のおじいさんの元へたどりつきました
樫のおじいさんは、すやすやといねむりをしているのか、目をとじて静かにじっとしていました
「あれれ、樫じいったら、またいねむりしてる、、、」
とっと君はそういうと、樫のおじいさんのそばに近ずいて、おじいさんをおこそうとしていました。
春ちゃんは、静かに口元に指をたてて、とっと君をとめました
「しずかに、とっと君、おじいさんとっても気もちよさそうだから、寝かせてあげましょう」
春ちゃんはそういうと、近くにあった、切りかぶにこしをおろし、手に持っていた可愛らしい紙袋をそっとおひざの上にのせました。
とっと君は、それを見て小さな声で
「それ?春ちゃんのプレゼントって、、、」
「うん、夕べお母さんと一緒に作ったんだ」
春ちゃんはそういいながら、紙袋のなかのたくさんのクッキーをとりだして、とっと君の前にさし出しました
「わー、とってもいいにおいだー」
「他のみんなの分もたくさんあるからね」
とっと君は春ちゃんからクッキーをもらうと、うれしそうにお顔をちかずけてにおいをかいでいました
「本当にいいにおいだー」
とっと君はうれしそうにクッキーを抱きかかえながら、春ちゃんに微笑みました
「食べてみて、おいしいんだよーとっと君」
春ちゃんにやさしくすすめられたとっと君は、そーっとクッキーをかじってみました
ポリポリポリ
「おいしいー、春ちゃんこれとってもおいしいねー」
とっと君はその小さなからだでクッキーをだきかかえながら、うれしそうにポリポリとクッキーをかじりました
とっと君がおいしそうにクッキーをかじっていると、森の中から可愛い小鳥さんたちの声が聞こえてきました
ピーチチチ、ピピーチチチ、
春ちゃんは小鳥さんのかわいいなき声に、しずかに耳をすませていました
すると春ちゃんのとなりでうれしそうにクッキーをかじっていたとっと君が、とつぜん森の草むらに向かって、うれしそうに小鳥さんとそっくりな声でなきだしました
「ピーチチチ、ピピピー」
するとこんどは森の奥からさらにたくさんの小鳥さんたちの声が返ってきました
ピピピピ、チチチチチ、ピピピピー
とっと君は、その声をきいてお腹を抱えてケラケア笑っていました
「春ちゃん、みんなもこれが食べたいんだって」
「すごーい、とっと君って鳥さんともお話が出来るのね、」
「へへへ、まあねー」
とっと君は小さなお鼻をポリポリかきながら、うれしそうに笑いました
「ねえ、とっと君、私もお話できるかな、、、、」
「春ちゃんならきっと話せるよー、だって僕とだって話せるんだもん」
春ちゃんはうれしそうに目をキラキラ輝かせました
「春ちゃん目をとじて、僕のまねをしてごらん」
とっと君は、そう言うと、春ちゃんの耳元へそっと小さな口をよせて、ぼそぼそと話しかけました
「さあ、春ちゃん目を開けて、やってごらんよ」
「うん」
春ちゃんはそういうと、うれしそうにとっと君に言われたとおり、小鳥さんの言葉をはなしかけました
「ピピーピー、ピーピピピ、ピピピピ、ピピピー」
するとどうでしょう、森のしげみの中から、かわいい小鳥さんが、春ちゃんと、とっと君に向かって飛んできました
「わー、すごい、すごい、とっと君、私いま何てお話したのかしら?」
春ちゃんはたくさんの小鳥さんにかこまれながら、楽しそうに、とっと君にたずねました
「私は春ちゃん、おいしいクッキーみんなにプレゼントするから、こっちにおいでー、そう話したんだ」
とっと君は、そう言いながら自分のかかえていたクッキーのはじをわって、小鳥さんたちに食べさせてあげていました
「へーそんなことを、わたしお話しできたのね、それじゃあ、おやくそくどおり、どうぞめしあがれ」
春ちゃんはそう言うと、かわいい紙袋のなかから、クッキーをとりだし、手のひらでこまかくくだいて、やさしく小鳥さんたちの前にさしだしました
小鳥さんたちは、みんな春ちゃんの手のひらにあつまって、おいしそうにクッキーをつついていました
チュンチュン、チュンチュン
一羽の小鳥さんが春ちゃんのかたにぴょんと飛びのると、春ちゃんの耳元でなにやら、一所懸命に、話かけはじめました
「ねえ、とっと君、この子いったい何っていってるんだろう」
春ちゃんのそんな言葉を聞いたとっと君は、耳元でパチンと指をならすと、
「そうだ、いいことがある、ちょっとまっててね春ちゃん」
そういいながら、かわいくウインクをしました
とっと君は服のすそを、ぴょいとまくって小さなお尻についたかわいい木の根のしっぽを、こんどはお空に向かったつきたてました
するとどうでしょう、春ちゃんの肩にとまっていた、小鳥さんがパタパタと飛び立って、今度はとっと君がつきたてた木の根のしっぽの横にちょこんと止まったのです
春ちゃんは、わくわくしながらとっと君と小鳥さんをみつめていました
とっと君が小鳥さんに向かって、ピピピっと声をかけました、すると、とっと君のお尻にとまていた小鳥さんが急にピピピピーと鳴き出したのです。
そして見る見るうちにその鳴き声はとっと君のしっぽにすいよせられいくではありませんか
春ちゃんはその光景に目をキラキラかがやかせました。
しばらく鳴き続けていた小鳥さんが、パッととっと君のおしりから飛び立つと、こんどは春ちゃんの肩にもどってきました。
とっと君はいたずらな顔で服をおろすと、以前のように指を口にふくんで、プッと息を吹き込みました
ピョコン
なんとまた、とっと君の頭に生えた枝から今度はかわいい黄色い木の実がなったのです
とっと君はさっそくその木の実を頭からもぎ取ると、春ちゃんの前にうれしそうにさしだしました
「春ちゃんこれ、クッキーのお返し、僕からのプレゼントだよ、食べてごらんよ」
そう言いながら、とっと君はいたずらな笑顔を春ちゃんに向けました。
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森の妖精、とっと君と出会った次の日、春ちゃんは森のとなりにある大きな病院にお母さんとでかけました。
「おやおや、こんなにあちこちすりむいて、」
病院の先生は目をまるくして、春ちゃんを見ていました。
「はい、じっとしててね」
やさしいかんごふさんが、春ちゃんのすりむいたキズに薬をぬってくれました。
春ちゃんは、前に入院していたときから、このやさしいかんごふさんが、大好きでした。
「おかあさん、検査の結果もだいじょうぶ、春ちゃんの病気はどんどんよくなってますよ」
先生の言葉におかあさんは、うれしそうに微笑みました。
「春ちゃんが、いっぱいがんばったから、悪い病気も逃げていったんだよ、よかったね」
先生が春ちゃんに笑いながら話しました
「先生、春の病気は妖精さんがやっつけてくれたんだよ、本当だよ。」
「ははは、妖精さんか、春ちゃんはおもしろいことを言うねー」
先生はそういって笑いました。
「本当だよ先生、本当に花の妖精さんが、春の病気をなおしてくれたんだから」
春ちゃんは、いっしょうけんめいうったえましたが、先生も看護婦さんもただただ笑っているだけでした。
しんさつが終わって春ちゃんは入院中のおともだちにあうため、お母さんと前に入院していた病室へ向かいました。
春ちゃんの手の中には、紙で作ったお人形さんがたくさんありました。
「春ちゃん、それ昨日おそくまで作っていたお人形さんね、ずいぶんいっぱい折ってあげたのね」
お母さんはやさしく春ちゃんの手に持っている人形をみつめまいた
「とっと君っていうんだ、森の妖精さん、みんなの病気も早くなおるように、いっぱい作ったんだ」
春ちゃんはそういって、森でであった、とっと君の人形をおかあさんに見せながら、にっこりと笑いました。
「へー、とっと君って言うんだ、みんなきっとよろこんでくれるよ」
「へへ、早く、大ちゃんにこれ見せてあげたいなー」
春ちゃんはそう言いながら、とっと君のお人形をやさしく、むねにかかえました。
階段をのぼると、看護婦さんがたくさんいるお部屋の前につきました。
「春ちゃーん、遊びに来てくれたのねー」
中から何人かの看護婦さんが春ちゃんのところに、来てくれました。
看護婦さんたちは、みんなで春ちゃんをだきしめてくれました。
春ちゃんははずかしそうに、お友達のためにつくったお人形を、とりだして看護婦さんたちに見せてあげました。
「とっと君っていうんだよ、森でであった妖精さん、みんなに作ったんだ」
春ちゃんが、てれくさそうにそう言うと、
「かわいいー、すごいね春ちゃん、みんなきっとよろこぶよー」
看護婦さんのやさしい言葉に春ちゃんは、うれしくなりました。
そこへ、マスクをつけて点滴をぶら下げたお友達がたくさんやってきました
「春ちゃんー」「わー春ちゃんだー」
春ちゃんは、はずかしそうに微笑みながら、皆にとっと君の人形をプレゼントしました。
「へー、とっと君っていうんだ」
帽子をかぶって大きなマスクをしている、とんちゃんはとっと君の人形をうれしそうに高く持ち上げてながめていました。
ゆうくんも、さっちゃんもみんな春ちゃんのお人形をよろこんでくれました。
春ちゃんは思い切って、みんなに森であったとっと君のことを話しました
するとみんなは目をかがやかせて、春ちゃんのお話しをきいてくれました。
「すげえなー、とっと君はしっぽが根っ子なんだー」
とんちゃんはお人形のお尻にちょこんとついているしっぽを見ながら、よろこんでいました。
「いつか私達もあいたいなー」
さっちゃんが笑いながらそういいました。
「みんな退院したら、いっしょに会いに行こうね」
「うん、行こう行こう」
お友達のみんなは目をキラキラかがやかせながら、とっと君の人形を大切そうににぎっていました。
学校ではなかなかお友達とお話しができない春ちゃんですが、病院のみんなとは気楽に話せました。
そんな春ちゃんとお友達がお話している後ろのかべには、入院中のお友達の、お習字がかざってありました。
「すごいだろ春ちゃん、これ俺が書いたんだぜ」
とんちゃんがうれしそうに、指差した先には
『ラーメン』、と力いっぱい大きな字で書かれていました。
春ちゃんは思わず笑ってしまいした。春ちゃんはそのとなりの習字を見ました、そこには
『そとであそぶ、、、、だいさく』
きたない字で、そう書かれたお習字がありました。
「春ちゃん!」
春ちゃんのうしろから、小さな声が聞こえました、振り返るとそこには、車椅子にのって毛糸の帽子をかぶった大ちゃんが、ニコニコ笑っていました。
大ちゃんは春ちゃんより一つ年下で、入院中春ちゃんが弟のように可愛がっていた男の子でした。
春ちゃんはもっていた、とっと君の人形を大ちゃんにも、てわたしました。
「この子、とっと君っていうんだよ、病院の隣の森で昨日あったんだよ」
「えっ?春ちゃんが会ったの、すごいなー」
大ちゃんは、目をキラキラ輝かせて春ちゃんを見つめました
春ちゃんは、大ちゃんと他のお友達に、昨日おこった不思議なことを一生懸命、お話しました。
病院のみんなは、うれしそうにときどきおどろいたり、わらったり 目をまん丸にしたりしながら春ちゃんのお話を真剣にきいていました。
「僕もとっと君に会いたいなー」
大ちゃんは小さな声でぼそっとつぶやきました。
「会えるよ、大ちゃんはやさしい子だから、いつか会えるよ、みんなも会えるよ」
春ちゃんは、大ちゃんとみんなに、やさしい笑顔でそう話しました。
「春、みんな疲れちゃうから、そろそろ行くわよ」
お母さんは春ちゃんにそう話すと、看護婦さんとお友達のお母さん達にごあいさつをしていました。
「春ちゃん、まって」
お母さんと春ちゃんがエレベーターに乗ろうとしたとき、大ちゃんのママが声をかけました
「これ、大ちゃんが書いたお手紙」
大ちゃんのママはそういって小さな可愛いくまさんの絵のついたお手紙を春ちゃんに手渡しました。
「ありがとう、大ちゃんお手紙かけるようになったんだ」
春ちゃんがうれしそうに見ると、大ちゃんはにっこり微笑んでいました。
春ちゃんとお母さんはみんなに手をふって病室をあとにしました。
「大ちゃんやせたねー」
病院の外でママが静かにつぶやきました
「うん」
そういいながら春ちゃんは、病院のみんなが入院してるあたりを見上げました。
「あ?」
そこには病室の中からガラスごしに手をふっている大ちゃんがいました。
春ちゃんは、何度も何度も大ちゃんに手を大きくふりつづけました。
そんな春ちゃんの瞳には小さな涙が光っていました。
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春ちゃんがふと周りを見わたすと、さっきまでいた妖精たちも一斉にいなくなっていました。そしてあたりはすっかり薄暗くなっていました。ただ、とっと君だけは、春ちゃんのことを心配なのか、春ちゃんをじっと見つめていました。
「春ちゃん、、、、。」
とっと君は照れくさそうに、春ちゃんのことをそう呼びました。
「春ちゃんはやっぱり優しい子だったんだね。みんな人間は悪い生き物だっていってたけど、やっぱり優しい人もいたんだね」
「春ちゃん、、、ぼ、僕と友達になってくれる?」
とっと君は顔を真っ赤にして春ちゃんにいいました。
春ちゃんも、顔を真っ赤にして、照れくさそうに
「うん、とっと君、ありがとう。」
とっと君と春ちゃんは真っ赤な顔になりながら、うれしそうに微笑んでいました。
「あいたたたー、」
突然とっと君が蜂に刺されたお尻の痛さを思い出しぴょんぴょん飛び跳ねだしました。
「そうだったー、さっき蜂に刺されたまんまだったんだ。」
見るととっと君のおしりは大きくはれあがっているではありませんか
「とっと君すごいこんなに腫れちゃって、早くお医者さんに行かないと」
春ちゃんは心配でおろおろしましたが、とっと君は笑いながら、
「妖精がお医者さんにいったってだめだめ、大丈夫見ていて、」
そう言うと、洋服をまくりプリッと可愛いお尻をだしました。
「うんー!」
とっと君が力をこめるとなんと、とっと君のお尻に生えていたしっぽが、にょきにょき伸び始めるではありませんか、やがてその伸びた尻尾は、樫の木のおじいさんの根かぶの土の中につきささり 、中へ中へと深くはいりこんでいきました。、
春ちゃんはその様子を見ながらびっくり
「樫じい、ちょっとごめんよ」
とっと君はそういうと、お尻の根っこからぐんぐん何か光るものを吸い上げ始めました。 たっぷりと樫のじいさんの根かぶから綺麗な光を吸い上げたとっと君は、今度は自分の親指を口に含んでプッと息を吹き込みました。
するとびっくり、とっと君の頭に生えていた葉っぱの中から真っ赤な木の実がぴょこんと飛び出したのです。 とっと君はその木の実をむぞうさにもぎ取ると、両手でぱかっと割りました。
中にはキラキラ光る美しい粉が、とっと君はその粉をぺたぺたと蜂に刺されたお尻にぬりこみました。
するとなんとまたまた不思議なことに、大きくはれあがっていたお尻のキズが見る見るうちに小さくなって、やがてもとのキレイなお尻にもどってしまいました。
「とっと君すごいすごい!」
春ちゃんはすっかり興奮して、とっと君の回りで飛び跳ねました。
「それって妖精の粉なの、そうでしょ妖精の粉なのね」
「これは樫じいから少しだけ分けてもらった、ただの薬だよ」
「薬?とっと君妖精さんたちはみんな、こんなことができるの?」
「僕は森の妖精の中でも木と土の精霊だからね、もともと森の木と土のなかから生まれたからこんなこと、簡単なのさ」
とっと君は誇らしげに胸をはりました。
「すごいすごい、とっと君ってそれじゃどんな病気も治せるのね。」
「いや、どんな病気も治せるわけじゃなくて、まだ僕の場合、小さな傷くらいしか駄目なんだ。」
「そうなんだ、」
春ちゃんは残念そうに下をうつむきじっと考え事をしていました。
「どうしたの、春ちゃん。」
「ごめんねとっと君、もしかしたら、私のお友達の病気もとっと君の力で直して上げられるんじゃないかって、そう思ったの。」
「、、、、、」
とっと君と春ちゃんはしばらく黙って、じっとしていました。
「ごめんね春ちゃん、」
「でも僕がんばるよ、いっぱいいっぱい御勉強していつか春ちゃんのお友達がみんな治るようがんばるよ」
とっと君は一生懸命半べそをかきながら春ちゃんにうったえました。
「ありがとうとっと君、とっと君もとってもやさしいんだね。ありがとう。ありがとう。」
春ちゃんは何度もお礼をしながら、とっと君の手を握りました。とっと君はそんな春ちゃんが大好きになりました。ふと気が付くとあたりは暗くなってきていました。
「いけない、早く帰らないと、パパとママが心配してるわ。」
春ちゃんはあたりを見回しましたが、どうやって帰ればよいか、おろおろしていました。とっと君はうれしそうに微笑んで、春ちゃん僕の手をにぎって、そういうと小さな手のひらを春ちゃんに差し出しました。
春ちゃんがとっと君の小さな手を握ると、ふわー、春ちゃんととっと君はお空にふんわり浮かんでいました。
「とっと君、すごいすごい」
春ちゃんにほめられたとっと君はすっかり有頂天、
ところがそのときです、とっと君と春ちゃんの前に、また大きな蜂が飛んできました。そしてその上にはまたとっと君の妹チッチの姿が、
「こらー、チッチー何するんだ!」
「きゃー」
春ちゃんは思わず目を瞑ってしまいました。
「は?」
春ちゃんが目をあけると、そこは最初にとっと君にであった、森の入り口でした。
「夢?」
春ちゃんは、周りをきょろきょろ見回しましたが、とっと君もチッチもそこにはいませんでした。
「春ちゃんー、春ちゃん」
振り返ると春ちゃんのお母さんが、心配な顔で春ちゃんをさがしていました。
「あ、春ちゃん、、、」
お母さんは春ちゃんを見つけてほっとした顔をしながら近づいてきました。
「こんな遅くまで、心配したのよ、」
「お母さん、春、妖精さんにあったの」
春ちゃんは、お母さんに真剣にうったえました。お母さんは、不思議な顔をして首を傾げました。
「ねえ、お母さん」
「何をいってるの、さあ、帰るわよ」
春ちゃんはママと手をひかれながら、何度も何度も後ろを振り返りながら森をあとにしました。
「夢を見ていたのかな」
春ちゃんはお母さんと手をつなぎながら歩いていました。やがて明るい街灯のしたで、お母さんは目を丸くして春ちゃんに訪ねました。
「春ちゃんどうしたの、そのすり傷」
見ると春ちゃんの腕や足にはいっぱいのすりむいた傷があり、洋服は泥だらけになっていました。
「あっ!」
春ちゃんは、また目をキラキラさせました
「夢じゃなっかったんだ、、、、」
お母さんに手をひかれながら春ちゃんは何度も何度も森をふりかえりました。
小さな森のとっと君のほかにも
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森の中には小さなリスや小鳥が春ちゃんのことをじーっと見つめていました。
「あのー、とっと君、妖精のとっと君はどこですかー?」
春ちゃんは恐そうに周りを見渡しながら、小さな妖精の名前を呼びました。そのとき木陰から大きなスズメバチが春ちゃんめがけて飛んできました。
「きゃー!」
春ちゃん夢中で逃げ出しましたが、途中で足を滑らせて森の小さながけから落ちてしまいました。
「いたい、、、」
春ちゃんは足や手をいっぱいすりむいてしまいました。
「あなたは、誰?」
春ちゃんの後ろから小さな声がしました、春ちゃんはびっくりして振り返るとそこには、また小さな女の子の妖精がスズメバチのよこで飛びながら春ちゃんを睨んでいました。
「あなたは、どうちて、お兄ちゃんの名前を呼んでいたの、いったい誰なの?」
「お兄ちゃん?あなた、あの子の妹なの?」
「あやちい、」
女の子がそういって手に持っていた小枝をふると、あたりからたくさんの蜂たちがあつまって春ちゃんを取り囲みました。
「ちょっとまって、わたしはただ聞きたいことがあっただけで、」
女の子と蜂たちは、春ちゃんの言葉に耳もかさず、春ちゃんめがけて襲い掛かってきました。春ちゃんは恐さのあまり目をつむってしまいました。
「だめーーーーー!」
そこへ大きな声を出しながら、とっと君が飛び込んで、春ちゃんをかばいました。
「いたーい!」
春ちゃんはびっくりしながら目を開けると、とっとくんは春ちゃんをかまって蜂さんにおしりをさされてるでは、ありませんか、
「はらはらはらー」
とっと君はいたさのあまり目をくるくる回して倒れてしまいました。春ちゃんはあわてて、とっと君を抱き上げて、
「とっと君大丈夫、とっと君、とっと君」
涙をぽろぽろこぼしながら、呼び続けました。
「なんで、おにーちゃんがでてくるんでちゅか、」
少女はぷんぷんおこっていると
「ふあーーー。」
突然大きな声が聞こえてきました。
「だいじょうぶじゃ、とっと君は寝ているだけじゃよー。」
春ちゃんと妖精の少女が振り返ると、そこには大きな樫の木のおじさんが眠そうにむにゃむにゃしながら笑っていました。春ちゃんはまたまたびっくり、おめめをまん丸にして声もでませんでした。
「ふあふあふあ、こりゃーおどろいたなー、私の声が分かる人間なんて何百年ぶりじゃろう。」
木のおじさんは優しそうに笑いながら、春ちゃんを見つめました。春ちゃんの手の中にいたとっと君は、おしりをなでながら目を覚ましました。
「木がしゃべったー。」
春ちゃんはびっくりしながら、とってもうれしそうに、樫の木のおじさんを見つめました。
「ほう、ほう、妖精たちが見えるだけでなく、私のことも見えるとは 君は、本当に綺麗で優しい心をもった子なんじゃな、ふおふおふお。」
おじさんは幸せそうな笑顔を春ちゃんに向けてくれました。そして春ちゃんをおそった蜂たちや、ちいさな妖精の少女をやさしく見つめると
「チッチや、はやとちりがすぎるぞ、この子は悪い子ではないぞ、さあ、蜂たちも、おうちにお帰り。」
おじさんに優しくなだめられて、蜂たちはしずかに森の中に消えていきました。
「おい、そこに隠れている連中も、出ておいで、」
おじさんが声を掛けると、春ちゃんとおじさんのまわりの木々のあいだからたくさんの妖精たちが、姿を現しました。
「わー。」
春ちゃんやうれしそうに目をきらきら輝かせて、たくさんの妖精たちを 見つめました。妖精たちはあいかわらず春ちゃんを警戒しながら見つめていました。樫のおじさんはそんな妖精たちを見ながら微笑み、
「無理もない、みんな人間にもともと住んでいた森を壊されて、こうしてここへ引っ越してくる羽目になったんじゃからの」
「人間は森も山も、海も、川も、総て自分たちだけのものと思っているんだ。」
「樫のじい、どうしてそんな人間の子供の肩をもつんだ」
妖精の一人が樫のじいさんにつっかかりました。
「ふお、ふお、ふお」
樫の爺さんは、ゆったりと笑いながら、静かに目をとじました。
「樫のじい、答えておくれよ、そんな風に笑っているけど、いつかこの森だって人間たちに壊されて、また大きなコンクリートの建物が建ってしまうかもしれないんだぞ、」
「そうだよ、そうなったら樫じい、あんただって人間に切り刻まれてしまうんだぞ」
樫のじいさんは静かの目をあけました
「それは、こまった、わしもまだまだ1000年は生きて、森のみんなの行く末を見つめたいからの、ふお、ふお」
樫のおじいさんは、笑いながらいいました。春ちゃんはそんな様子を、遠くで見ているうちに急に泣き出してしまいました。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
春ちゃんは涙をいっぱい流しながら、樫のおじさんや森の妖精たちに、何度も何度もあやまりました。
とっと君はそんな春ちゃんの涙を一生懸命ふいてあげていました。
「君は本当に優しい子なんだね、花の妖精たちが昔、話していたとおりだ、ふぉふぉふぉ」
「花の妖精たち、おじいさん花の妖精たちって、、、、」
春ちゃんは目をキラキラさせながらおじいちゃんのそばに、かけよっていきました。
「昔この隣の森が壊される前に、小さな女のコがこのままではみんな工事の機械に壊されてしまうと泣きながら、森に咲いていた小さなお花を、この森に植え直してな、その小さな女の子は、毎日毎日、お水をあげに来てくれたそうだ」
「おかげでお花たちは、その次の年も、そして又次の年も綺麗に咲くことが出来たんじゃと」
「この世のすべてのものには、命がありそして精霊、つまり妖精がやどっておるのじゃ、元気になった花の妖精たちは、自分たちを救ってくれた女の子をずっと探しておった。」
「お花の妖精たちが女の子を見つけたとき、その子はとても思い病気になってもともと森があった病院のベッドで眠っていたそうじゃ」
樫のおじいさんは、うれしそうに話してくれました。
「おじいさん、、、、」
春ちゃんは涙をいっぱいためて、樫のおじさんの下にしゃがみこみました
「私、病院のベッドで可愛い妖精さんが来てくれたの、夢だと思っていたの毎日毎日私のベッドの上に妖精さんが来てくれていたのは、夢じゃなくて本当のことだったのね」
「妖精さんが私のことを、」
春ちゃんはそういいながら両手を顔におおって、大きな声で泣き出してしまいました。
「それで、君は僕たちが見えるの?」
とっと君は泣き崩れている春ちゃんのことを、不思議そうにのぞきこんでいました。
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