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2008年1月15日 (火)

第二話 侠客吉宗くん誕生2

「やったなー、一条君、君の企画で、よい子とそのお母さんたちが、大喜びだぞー、おまけに、儲けもがっぽがっぽ、君はまさに我が社のホープだー!」

面接の日に出会った金縁めがねで強面の社長は、ニコニコ顔で僕の手を握ると、涙を流しながら喜んでいた。

「社長、当然の仕事をしたまでですよ…」

リクルートスーツに身を包んだ僕は、胸をはってそう答えると、回りの社員達から尊敬のまなざしを受けながら、面接の日に出会った長沢まさみ似の彼女の元へと近づいていった。

「おめでとう、一条君、社長をあんなに喜ばせるなんて、すごいじゃない…」

「いやいや、ほんの実力ですよ…」

僕は前髪をかき上げながら、彼女に向かって輝く白い歯をキラッとのぞかせた

ポ~!heart04

彼女はそんな僕の熱視線に頬を染めると、少しうつむきながら小声で… 

「あ、あの、一条君… もし良かったら、私と今日食事でも……」

「えっ?…」

「あっ、いいです、いいです…今のは独り言ですから…」 

緊張している彼女の肩に僕はそっと手をそえた…

「僕の方こそ、君と二人で食事が出来たらって、出会った面接の時から思っていたんだ…」

「え!、一条君もそう思ってくれていたなんて、私うれしいーheart04

「僕だって、うれしいよ……」

僕は目じりをデローンと下げて、ニヤニヤしながら彼女を見つめていた…

 

「兄さん、おい兄さん、」

「え!?」

気が付くと僕の前にいたキラキラ輝く彼女の顔が、見る見るうちに年老いた老婆へと変わっていった 

「うわー!」

僕はビックリしてのけぞりかえった

「うわーって、何だよ、ビックリするね…あんた、大丈夫かね、さっきかから一人ニヤニヤして…」

「えっ?…」

「それにそんなとこに、じーっとしていられたら商売のじゃまなんだよ」

「あ!?」

気が付くと僕は、会社に向かう途中の小さなタバコ屋の前で、輝かしいオフィス生活を想像しながら、いやらし~い顔でたたずんでいたのだった…

 

「変な人だよー、さっきからニヤニヤして、おまけにうんこまでふんで…」

「うんこ!?…」

あわてて足元を見ると、僕のおろしたてリクルートシューズの下には、無責任に放置された巨大なやわらかい茶色い物体が横たわっていた……

  

「うわぁーーーー!!」

「ちょっと、ちょっと、店の前なんだから、あんまりバタバタしてうんこ散らさないでおくれー!」

「あっ、ご、ごめんなさーい!」

僕はあわてて靴を脱ぎ、近くの公園の水道めがけて、ぴょんぴょんとけんけんで走っていった

 

「なんだよー、今日おろしたばかりの皮靴なのに……」

公園で半べそをかきながら、靴を洗っていた、その時だった

「なんだ、兄ちゃん、うんこ踏んじまったんかー?」

「うわぁ…きったねー、それもべっちょりじゃねーか…」

「え?」

振り返るとそこには、パンチパーマにチンピラ風ファッションの若い二人組の男が、ニヤニヤ笑いながら立っていた

Tinpira

「あ…あの…すっ、すいません……」

僕は恐怖で、なぜか二人組に謝っていた…

 

「おーい、銀、何やってんだー」

今度は別の場所から野球のグローブを手にした、上半身裸の中年の男が、近づいてきた

(どぇーーー!!)

中年男の右肩には、なんと竜の刺青が、僕は恐怖のあまりその場で腰をぬかしてしまった…

 

「岩さん、こいつそこで、うんこ踏んじゃったんだってー」

一人の若い男が、げらげら笑いながら、僕を指差した

 

(輝かしい入社日だっていうのに…、なんでこんなことに…)

腰の抜けた状態で身動きも出来ず、僕は脂汗を流しながらじっーと恐怖で固まっていた

と、その時だった、岩さんと呼ばれる刺青のおじさんが、うんこのついた靴を無造作に僕の手から取り上げると

「ひでーな、こりゃ…こいつはかなりでかい犬だな…」

靴を見ながらつぶやき、最初に現れた若いチンピラ風の男を、恐い顔で睨みすえた…

「おい、てめえ、これは与太郎のじゃねーか?」

「…えっ…、いや、あの岩さん……」

「やっぱり与太郎のだな、この野郎!」

刺青の男は若いパンチパーマ男の頭をもっていたグローブでぶったたいた

「えー!?」

僕は突然の出来事に、言葉をうしなってしまった…

 

「こら、鉄、このやろう…又、与太の糞、かたさないで帰ってきやがったな…」

そう言いながら刺青男は、何発も鉄と呼ばれる若い金髪頭のチンピラをグローブで殴りつけた

「すいません…、すいません…、岩さん、つい…慌ててたもんで…」

「馬鹿野郎、こんなこと親父に分かったら、てめえこんなもんじゃすまねえんだぞ、この野郎!」

さんざん鉄と呼ばれる男をグローブでこずいた刺青男は、今度は僕のほうにその恐い顔を向けてきた

「ひーっ、す、すいませーん!…」

「なんで兄ちゃんがあやまってんだ?」

「えっ?…」

「兄ちゃん、すまなかったなー、こいつがちゃんと与太郎の糞をかたずけなかったばかりに迷惑かけちまってよ…」

そう言いながら、刺青男はもっていた手ぬぐいを水道で濡らすと、僕の靴をきれいに洗い始めた

「えっ、えっ?」

僕は、何が何やら分からず

「こちらこそ、すいません、すいません…」

刺青男に必死で頭を下げまくっていた…

 

「ちょっと匂い残ったかも知れないが、勘弁してくれな、兄ちゃん…」

刺青の岩さんと呼ばれる男は、そっと僕の足元に靴を置いて、優しい笑顔で微笑んできた

「あっ、すいません…」

僕は慌てて頭を下げると、こわばった顔で微笑んだ…

 

「兄ちゃん、この辺じゃ見かけない顔だな、これから何処行くんだい?」

こわもての顔の銀と呼ばれる男が僕に話しかけてきた

「あっ、はっ、はい…実は、鬼瓦興業という会社に向かう途中で……」

汗を拭きながらそう言うと

「鬼瓦興業?…」

三人の男達は不思議そうに顔を見合わせ、今度は奇妙な生き物を見るような視線で、僕の方をじろじろ眺めてきた…

「兄ちゃん…、何かの…セールスか?」

鉄と呼ばれる男が恐い顔で僕を睨みつけた… 

「いやっ、あっ、あのセールスでなくて、入社…入社…」

「入社~!?」

三人はまた不思議そうに顔を見あわせると、今度は僕を無言で睨みすえてきた…

「うっ、あっ……………」

僕はあまりの恐怖に後ずさりすると 

「ひーーーーたっ、たすけてーーーーーー!」

気が付いた時には大声を出しながら、一目散に公園から逃げたしていた

  

「あ、おい兄ちゃん!?」

背後で、岩さんと名乗る男の声が聞こえたが、恐怖から僕は立ち止まることなく、全力で走り去っていた…

 

あっちの道、こっちの道と、どこをどう走ったのか、あまりの恐怖に覚えていなかったが、気が付くと僕は、またさっきの公園の前に戻っていた

そこで僕は公園の向かい側にある大きな看板に目をとめた…

『鬼瓦興業』

大きなむく板に見事な字で掘り込まれた看板を目にした僕は、思わずその場にしゃがみこんでしまった

 

「ここが、鬼瓦興業?…」

それは僕の創造とはまったく違う雰囲気、純和風の大きな門構えに、中には小さな日本庭園、そして奥には大きな格子のついた和風の扉が見えていた

「なんか、想像していたイメージとは違うけど…」

僕は背中に一瞬、恐~い予感を感じたが、すぐに首をぶるぶる振ると、頭の中で面接の日に出会った美しい女性を思い浮かべた、そして

「ふーーーー!」

大きなため息を一つついた後、リクルートスーツのネクタイをきゅっと締めなおした…

 

「今日からここで、僕の新しい人生がはじまるんだ……よーしっ!!」

一言、気合をつけて、鬼瓦興業という看板を掲げた大きな門の中に飛び込んでいった

これから、何が起こるか、知るよしもなく………

続き
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