第11話 吉宗くんとめぐみちゃん
「正負の法則」
僕は前にそんな言葉を、金髪のすごい服の人が、太った着物のおじさんに話していたことをテレビで見たことがあった。
その時は、何のことか良く分からなかったけれど、鬼瓦興業にもどった僕は事務所の中で、そのことが、事実だったと少しだけ分かった気がした
思いかえすと、朝の出社途中で、犬のウンチを踏んだところから、まさかのテキヤ就職に、パンチパーマ姿への変身、おまけに金髪の鉄のまきぞえを食って、おでん男たちにボコボコにされるありさま
それはまさに僕の人生にとって史上最悪の負のできごとだった。
しかし、今の僕は幸せだった、、、
体中とてつもなく痛いけれど、僕の目の前にはやさしく傷の手当てをしてくれている、あこがれのめぐみちゃんの姿があったのだ
「ひどい傷、ちょっとしみるけど、我慢して下さいね」
めぐみちゃんはそう言いながら、僕の傷口をやさしくそっと消毒してくれた
「あ、 痛たた!」
「あ、ごめんなさい、大丈夫?」
「だ、大丈夫です」
「もう少しですからね」
めぐみちゃんはそういいながら、きれいな指先にもった脱脂綿で僕の顔を消毒してくれた
僕は手当のために、何度も近づいてくる、彼女の可愛い顔にすっかり見とれていた、
愛らしくうるんだ瞳、美しいピンクの唇、そして彼女の甘い香りにとろけながら、何時までもこの幸せの時間が終わらないで欲しい、僕は、めぐみちゃんの前にちょこんと座りながら、でれーんとした顔でそう願っていた
しかし、そうはイカのちんちん、たこが引っ張る、
僕とめぐみちゃんの幸せの時間をじゃまするかのように、聞き覚えのある大きな笑い声が、事務所の入り口あたりから響いてきた
「わーはっははははは、若人よー、チンピラ相手に、派手にやったらしいなー!」
振り返るとそこには、『あっぱれ』と殴り書きされたセンスをパタパタさせながら、どしどし歩いてくる、ジャージ姿の社長の姿があった
「鉄から聞いたぞー、驚いたなー、まるで鬼神のごとき強さだったそうじゃないか、始めは弱弱しいお坊ちゃんかと思ったが、人は見かけによらんもんだなー、若人よー!」
社長は笑いながら僕の傷口をその大きなグローブのような手で、叩いて来た
「びえー痛ーーーーー!」
僕はその痛みから飛び上がってしまった
「おー、すまんすまん若人よー、がはははははは!」
社長は大笑いしながらめぐみちゃんの方を向いた
「めぐちゃん、そろそろ飯にしないと、遅くなってしまうぞ、」
めぐみちゃんは、すこし頬をそめながら
「でも、おじさん、もう少しですから」
そういいながら薬箱から絆創膏をとりだしていた
「あー、この程度のキズそんなもん、いらん、いらん、こんなもん、こうすれば治る!」
社長は大声でそういうと、そのグローブのような手にペッとつばを吐きかけ、僕の顔のキズにぬりつけてきた
「うわーひゃー!」
僕は思わず、目玉をおっぴろげて悲鳴を上げてしまった。
「なんじゃー若人、変な声だしおって、ほれ、もっとたっぷり、つけちゃるぞー」
社長は笑いながら、さらにつばを両手にぺっぺと吐きかけて、僕にせまってきた
そのときだった、
「ちょっとーおじさんったら!」
あわてて、僕と社長の間にめぐみちゃんが割って入ってきてくれたのだ
べっとりと唾のついた手を広げながら、社長をいっしゅんきょとんとした顔をしていたが、少しして、ニヤリと微笑んだ
「あれー?めぐちゃん、やけに、この若人の肩をもつじゃないか、、、?」
「え?」
めぐみちゃんの動きが一瞬とまった
「おー、そうじゃ、そうじゃー、あの面接の日以来、何時来るのかーなんて、楽しみにしとったからのー、おーおー、そうかそうか、」
「もう、おじさんー!」
そういいながら一瞬めぐみちゃんの顔がポッと赤くなったのを、僕は見てしまった
「、、、、、、、、、、、」
僕は社長のつばきのべっとり付いた顔を、真っ赤にそめ、心臓をばくばくさせながらめぐみちゃんを再びそっと見た、
するとめぐみちゃんも、恥ずかしそうに僕のほうをちらっと見て、一瞬、僕とめぐみちゃんの目と目はぴたりと止まってしまった。
僕は恥ずかしさと緊張のあまり、まるで時代劇ででてくる、気味の悪いお公家さんのような笑顔でめぐみちゃんに微笑んでしまった
「ぷー!!」
めぐみちゃんは急にふきだして笑うと
「もう、なんて顔してるんですかー!」
そう言うが早いか、真っ赤になって僕の顔に、手にしていた消毒液をブシューっと吹きかけてきた
「ぐわーーーいたたー!!」
僕は傷だらけの顔に思いっきり消毒液を吹きかけられた痛みで、顔をおさえてぴょんぴょん会社中を飛びはねてまわった
「あー、ご、ごめんなさい」
めぐみちゃんは持っていた消毒液を目にして、あわてて僕にあやまってきた
「いや、、、だ、、大丈夫です、これくらい、、、、ははは」
「もう、おじさんがん変なこと言うから、、、」
めぐみちゃんは、恥ずかしそうに社長を見た
「ははは、すまんすまん、それじゃ向こうでみんな待ってるから、早くすませてな、はははは」
社長は笑いながら振り向くと
「いやー若人たちは良いのー、がはははは」
そんなことを言いながら、事務所の外に向かった
僕は真っ赤になりながらも、これで邪魔者がいなくなって、またしばしの幸せの時間を、味わえるそう思った時、ふっと社長が振り返って、僕のある一点を見つめて一言つぶやいた
「どうでもいいけど、若人よ、お前、わしが入ってきた時から、立ちっぱなしだぞー、」
社長はその大きな指で僕のあそこを指さした、
「え!?」
僕はあわてて自分の股間を見た、すると、僕のあそこはみごとに、ピンコ立ちして、ズボンがこんもり盛りあがっていた。
「あー!?」
僕はあわててめぐみちゃんを見た、するとそこにはすごい真剣な顔で僕の盛り上がりを見ながら無言で固まっているめぐみちゃんの姿があった
「あー、いや、あのこれは、、、、、」
「やだーもう!!」
めぐみちゃんは真っ赤になって顔をそむけながら、またしても持っていた消毒液を僕の顔にブシューっと吹きかけてきた
「ぎゃーーーーーー!!」
「親父さん、何っすかこの騒ぎはー!」
そんな中へこともあろうに騒ぎを聞いた銀二と鉄、おまけに社長の奥さんまで、来なくいていいのに、駆けつけて来てしまった。
「おう、お前らかー、いや何、かくかくしかじかでなー、はははは」
「えーマジですかー親父さん、、、吉宗ー、気持はわかるけど、そりゃー見られたらまずいだろーはははは」
「いやだよーこの子ったら、あらら、でもけっこう立派なもの、持ってるじゃない」
「、、、、、、、いやー、、、、さすが兄貴っすねー、、、、、そっちのほうも、、、鬼怒りっすねー、」
「うん、うん若さじゃのう、若人よー、がーははははー」
真っ赤になっためぐみちゃん、その周りを痛みで跳ねながらも、見事なピンコ立ち姿をキープしている僕、
そしてその姿をうれしそうに眺める侠客鬼瓦興業のこわーい人たち、
結局その夜、めぐみちゃんの秘密を知ることはできなかったが、ひとまず僕のテキヤ稼業で男をみがくべく第一日目は、無事ではなかったけど終わったのだった
つづく
↑青いボタンとピンクのボタンを、一日ワンクリックして頂けると、
吉宗くんのポイントアップにつながり、すごーく励みになります。
侠客☆吉宗くんの他、楽しいブログがいっぱい紹介されているサイトです^^
クリックしてもお金はかかりませんよーん
| 固定リンク
「第一章 侠客鬼瓦興業」カテゴリの記事
- 侠客☆吉宗くんは、修筆のためnoteの吉宗くんのマガジンに引っ越しました。(2023.11.06)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
こんばんは~
吉宗くん、メチャメチャ面白いですね~
ぷっと吹き出してしまいます^^
読み進んでくるとぎゃはは笑ってしまいました~
投稿: 楽楽 | 2008年2月11日 (月) 22時26分
楽楽さん、こめんとありがとうございます^^
面白いという言葉は、何よりのエネルギーになりますよー
イラストカット今日書いてアップする予定なので、
また覗きに来て下さいねー^^
12話も昨夜更新したのですが寝たのが4時半、会社の仕事でたたき起こされたのが6時半、今眠い目をこすりながら仕事をしています(汗
13話では新たなキャラクターが姿を現す予定です、ご期待くださいませー^^
投稿: 光一郎 | 2008年2月12日 (火) 10時35分