第21話 吉宗くん愛の告白
「めぐみちゃん、僕は君を愛しています、、、、、」
彼女に降りかかるつらく悲しい秘密を想像した僕は、心の高まりを抑えることができなくなってしまった
そして三寸の下でひっそりと隠れていめぐみちゃんに、思わず愛の告白をしてしまったのだ
その後も僕は、感情の赴くまま、めぐみちゃんに対して熱い思いを語り続けた、、、
「めぐみちゃん、君は、人を好きになってはいけない、、、そう言ったけど、それは間違ってる、、」
「例えどんな秘密を心に秘めていても、自分に嘘をついてはいけないんだ、、、」
僕の目からは涙がポロポロ滝のように流れ落ちていた
「君はやさしいから、自分の心に嘘をついてしまうんだ、、、でも、人を好きになるってことは理屈じゃない、、、、」
「人を好きになるって、その人のことを思うだけで、幸せな気持ちになれて、そして辛いことも忘れられる、そう言うことだと思うんだ、、、」
「、、、、、、、、、、、」
めぐみちゃんはそんな僕の話を三寸の下でじっと真剣に聞き入っていた
「僕はね、僕は昔から辛い事があったときは、楽しいことを考えるんだ、、、、楽しいことを考えると、なんだか心の中がポッと暖かくなって、頑張ろう!そんな力が湧いて来るんだ、、、」
「めぐみちゃん、、、、今の僕にとって楽しいこと、辛い事を乗り越えるために必要な楽しいこと、それは、、、、」
「、、、、、、、、、」
「それは、、、、君の笑顔を思い出すことなんだ、、、、」
「、、、、、!!」
ガタっ、、、、
僕のその言葉に下で隠れてるめぐみちゃんが微かに動く音が聞こえた、
それから僕はじっと空を見上げてずずずーッと鼻をすすり、ぐっと涙をおさえようとしていた、
しかし、無実の罪を背負わされて、人を愛することをあきらめためぐみちゃんの悲しい心を思うと、もうこみ上げてくるものを抑えることはできず、思わず大声で泣き出してしまった
「うぐ、、、、うぐえ、、、、うぐわあああああああ」
その後も僕は大声で泣きながら、めぐみちゃんへの思いをさらに熱く語った
「めぐみちゅわん、うぐえ、僕は、僕は君にどんなに悲しい秘密があろうとも、君が好きだーー!!」
「君を好きになることで、どんな辛い未来があったてかまうもんか、僕は君が好きだったら、好きなんだーーー!」
はたから見ればそれは、実にかっこ悪い愛の告白だった、
しかし僕にとっては真心のこもった真実の愛の言葉だった、、
そして泣きながら、心の中のすべての思いを熱く語りきった僕は、その場に立っていることができず、ついに号泣しながら、床に崩れ落ちてしまった、、、
「うぐえええええん、、うぐええええええーん!!」
通りがかりの人たちは奇妙な顔で僕を見ていたが、そんなことはお構いなしで僕は泣き続けていた
「うぐえーーーーん、うぐえーーーーーん」
「、、、よ、、、吉宗くん、、、、」
小さな声が、僕の耳に聞こえてきた、僕は鼻水と涙でぐしゃぐしゃになった顔を持ち上げた、すると目の前には、潤んだ瞳で僕をじっと見つめている、めぐみちゃんの美しい姿があったのだった。。。。
「、、、あっ!?、、、」
「ありがとう、、、吉宗くん、、、、」
めぐみちゃんはそう言いながら、目にたまった涙を指でぬぐっていた
「、、、、、!? め、、、めぐみちゃん、、、、!!」
僕はめぐみちゃんと目と目があったその瞬間、自分が無意識のうちに、彼女に対して愛の告白をしてしまったことに気が付いた、
「あ、、、あああーーーーーーーー!!」
一瞬にして、僕の心臓はバックン、バックンと巨大な音を立ててうなり始めた、そして、そのまま僕は恥ずかしさのあまり呼吸困難に陥ってしまった
「ぜほー!ぜほー!ぜほー!」
「だ、、、大丈夫、、、吉宗くん、、、」
露店の中で隠れているめぐみちゃんは慌てて出てこようとした、しかし僕は真っ赤な顔で胸を押さえながら彼女のことを静止した。
「だ、、、だいじょうぶ、、、だいじょうぶだから、、、ぜほー、ぜほー!」
めぐみちゃんはそんな僕を、潤んだ瞳でじっと見つめていた
「ありがとう、、ありがとう、、、吉宗くん、、、、」
めぐみちゃんは嬉しそうに、なんども僕にそうささやいてくれた、、、、、
僕は彼女の美しい潤んだ瞳を間近に見つめながら、更に熱く心に誓いを立てた、、、、
(僕は、、僕はこの命に代えても、めぐみちゃんを守るんだー!!)
そのとき、鉄の声が聞こえて来た
「兄貴ー!吉宗の兄貴ー、もう大丈夫っすよー、ハゲ虎のやつ、何も知らずに、いなくなりましたよー、」
鉄は嬉しそうに笑いながら、僕の泣き顔を見て驚いていた
「、、、、え? 、、、、何で泣いてるんですか?、、、、兄貴、、、、、」
「え、、、!?あ、、、これはその、、何でもない、何でもない、」
僕は頭の鉢巻を取ると、あわてて涙を拭き取りチーンと鼻をかんだ
鉄は首をかしげていたが、すぐに大きな声で笑い出した
「しかし、さすがは兄貴っすね、軽く閻魔の旦那をあしらっちまうんだから!ははは」
鉄が笑っている間に僕は、めぐみちゃんの前に積んだダンボールやビニールをどかしながら真っ赤な顔で彼女に声をかけた
「めぐみちゃん、もう、大丈夫だって、、、」
「あ、、ハイ、、、、」
めぐみちゃんは恥ずかしそうに頬を染めながら、露店の下から這い出てきた
「あ!」
長い間しゃがんでいた影響で、足がしびれてしまっためぐみちゃんは、思わずバランスを崩して僕の胸にたおれこんだ
「あぶない!!」
僕はあわててめぐみちゃんを胸で抱きとめた、、、
「!?」
バランスを崩した拍子に、僕の胸に顔をおしつける形になってしまっためぐみちゃんは、恥ずかしそうに頬を染めていた、それは僕にとって最高のハプニングだった
「ご、、、、ごめんね吉宗君、、、、」
「だ、だいじょうぶ?」
「足がしびれちゃって、、、、あっ、、、」
めぐみちゃんは僕から離れようとしたが、足のしびれがひどく再び僕の胸に顔をうずめてしがみついてきた、
「しばらく、、じっとしてた方がいいよ、、、」
僕はそう言いながら真っ赤な顔でめぐみちゃんを見つめた、
「ごめんね、、、、」
そう言いながらめぐみちゃんは、頬を紅くそめながら、静かにうつむいていた
僕の胸の中にじっとしているめぐみちゃんは、美しい花の香りを漂わせていた、、
僕は幸せだった、、、、最高に幸せだった、、、、、
「す、、、、すげえ、、兄貴、、、、もう、めぐみちゃんと出来ちまうなんて、、、」
鉄が恐れおののいた顔で僕たちにつぶやいた
「ば、、馬鹿何言ってんだよ鉄、、、ははっは」
僕は鉄の言葉にそう反論しながらも、うれし笑いをしていた
「そ、、、そうよ鉄君、、これは足がしびれて、、、」
めぐみちゃんも頬を染めながら鉄に微笑んだ、、、
「ふいー、あついあつい、、、」
鉄はそう言いながら、相変わらず人相の悪い不気味な顔を、ほころばせていたが、やがて静かに自分の持ち場にもどっていった
邪魔者はいなくなり、二人きりにもどると、めぐみちゃんは僕の事をそっと見上げてうれしそうにささやいた、、、
「吉宗くん、、、、」
「え?、、、」
「私ね、吉宗くんと初めて出会ったあの面接の日、不思議な体験をしたの、、」
「不思議な体験?」
「うん、、、、なんて言うんだろう、吉宗くんを見た瞬間、ふっと風が動くのを感じたの、、」
「風が?」
「うん、、ビルの中で、窓も開いていなかったのに、不思議な風を感じたんだ、、」
「不思議な風、、、」
僕はめぐみちゃんのその言葉を、じっと聞き入っていた
「私ね、その後、ずっと考えていたの、もしかしたら、あの人が私の未来を変えてくれる人なんじゃないかって、、、」
「めぐみちゃんの未来を、、、」
「うん、、、、やっぱりその予感は当たってたんだね、、、、」
めぐみちゃんはそっとうつむいて、嬉しそうに微笑んだ、
「めぐみちゃん、、、、、」
僕は顔を真っ赤にして久々にお公家様のような笑顔でにやけていた、
やがて足の痺れがとれたのか、めぐみちゃんは軽く屈伸運動をすると、晴れ晴れした笑顔で僕に言葉を発してきた
「吉宗くん!!」
「私、さっきの言葉とりけします、、、、」
「言葉?」
「うん、人を好きになっちゃいけないって言う、あの言葉、取り消します、、、」
めぐみちゃんは、頬を赤く染めながら大きな声でそう言うと、今までにまったく見せたことのない、澄み切った空のような明るい笑顔で僕に微笑んだ
その笑顔こそ、すべてのもやもやから開放された本来の彼女の笑顔だった
(春だーーーー!本当に春が来たんだーーーー!)
僕の心は再び小さな天使達と共にパタパタと空を羽ばたいていた
しかし僕は空を飛びながら、忘れていた大切なことを思い出してピタッと羽を止めた
そう、それはめぐみちゃんの無実の罪についてだった、、、、
「さあ、いらっしゃい、いらっしゃいー」
明るい笑顔で再び外に向かって叫んでいるめぐみちゃんを見て、僕は更なる熱い思いを決意した
「よし!!」
僕はそう叫ぶと、めぐみちゃんに、思いきって声をかけた、、
「めぐみちゃん!」
「はい?」
めぐみちゃんは嬉しそうに振り向いた、
「たとえ警察や世界中の人々が、めぐみちゃんの事を犯人にしたてようとも、僕は、、、僕だけは君の無実を信じているからね、、、」
「え?、、、」
めぐみちゃんは、きょとんとした顔で、首をかしげていた、、、
「、、、無実?」
「いや、、、、いいんだ、いいんだ、僕の独り言だから、、、、」
僕は今はまだ彼女の深い傷口に触れてはいけないと話を途中でにごらせた、、、、
「何がいいんだー、んー?」
突然後ろから、気味の悪い聞き覚えのある声が響いてきて、僕の背筋にぞーっと寒気が走った、、僕は顔を動かさずに目だけでめぐみちゃんを見た、すると彼女も、凍りつくような青ざめた顔で僕の後ろを見つめていた
僕は額から汗をながしながら、そっと振り返った
「!?」
そこには、まさに閻魔大王といった怒りの表情で僕達を睨んでいる、ボーリング玉男、閻魔のハゲ虎が立っていたのだった。
つづく
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「第一章 侠客鬼瓦興業」カテゴリの記事
- 侠客☆吉宗くんは、修筆のためnoteの吉宗くんのマガジンに引っ越しました。(2023.11.06)
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コメント
こんばんはー
ヒェー!ボーリング玉に見つかってしまった!???
めぐみちゃんと吉宗くんは引き裂かれてしまうのかっ!?
上手く隠れることができるのか!?運命や如何に???
続きが楽しみですね~^^
投稿: 楽楽 | 2008年3月11日 (火) 23時06分
楽楽さんいつもありがとうございますー^^
次回でいよいよ、、、、ですが、今ここでは内緒ということで^^
昨夜は修筆まえに自宅近くにできた温泉に行ってぼーっとしていました
そのとき天のお告げが、、、
吉宗君にもっと試練を与えて彼を大きく成長させなさい、、、
というわけで、めぐみちゃんのとの恋の行方も簡単には実りませんよー^^
21話の修筆をしながら、やっと吉宗くんの性格がわかってきました^^♪
投稿: 光一郎 | 2008年3月13日 (木) 01時07分
こんにちは~
掲示板でのトラブルからゴタゴタしていたのですが、どうやら収まったので、久しぶりに来ました~(汗)
18話から21話まで一気読みです!!♪
心が冷たくなっていたんですが、お陰さまで笑わせてもらってほぐれました~(^-^)
吉宗くん、めぐみちゃんに愛の告白!!おぉ!やった~~
新しい登場人物のボーリング玉男、登場ですね。見つかってしまって、どうなるんでしょう??
めぐみちゃんの秘密、ついに解き明かされるのか?・・・次が楽しみです~
投稿: みゅうー | 2008年3月14日 (金) 16時31分
みゅうーさん、いろいろいやなことが起きていたのですかー、新作作りに没頭していてわからなかったのですごめんなさい、でも冷たくなってしまった心がほぐれてくれたと聞いてほっとしました。
日光の柱も一本はさかさまを向いていると聞きますが、12千万いれば中には、不思議な完成を持っている方もいるようなので、気にしないで頑張ってくださいね^^
さてさていよいよ、めぐみちゃんの秘密が、、、、と続きを書きたいのですが、会社の仕事が忙しいのと、実家に行っていたオレオがもどってきてしまったりとで、まだ手をつけていません、
続き更新したらいち早くお知らせにうかがいますよー^^
最近のひそかな夢は、吉宗くんの主題歌を作詞、楽楽さん、作曲みゅうーさんで作ってもらって、私が歌いたい
そんなことを夢見ながら物語を書いています^^
投稿: 光一郎 | 2008年3月14日 (金) 18時21分