第22話 吉宗くん偶然の秘策
関東のテキヤ一家、鬼瓦興業へ就職して二日目、僕はなんと感情の高まりから、憧れのめぐみちゃんに愛の告白をしてしまったのだった
僕の熱い心が伝わったのか、めぐみちゃんは明るい笑顔で僕に最高の言葉をプレゼントしてくれた
「私、人を好きなっちゃいけないっていうあの言葉、取り消します。。。」
それはめぐみちゃんが僕の熱い思いを受け入れてくれたという証の言葉だった
しかし、そんな思いを引き裂くように、僕達の前にあのボーリング玉男、閻魔のハゲ虎が姿をあらわしたのだ
「何が、良いんだ?、、、ん、小僧?」
ハゲ虎は憎々しい表情を浮かべながら、僕たちに近づいてきた
「あ、、、、、あわわ、」
僕は驚きのあまり言葉をうしなってしまった
「それにしても、お前さん、単純っていうか、嘘がつけない分かりやすい男だなー、、、、俺の顔を見ていきなり、ここに隠れてますって、その面で教えてくれるんだからな、、、」
ハゲ虎はそう言いながら僕を押しのけると、めぐみちゃんに近づいて彼女の腕をつかんだ
「さあ、一緒に来るんだ、、、、」
ハゲ虎はそう言いながら、めぐみちゃんを三寸の中から引きずり出そうとした
「いやー、絶対にいやー!!」
めぐみちゃんは、青ざめた顔で、ハゲ虎に握られた手を引きはなそうと頑張っていた
(め、めぐみちゃんが、、、、めぐみちゃんが、、、、)
「いいから来るんだー!」
「いやー、放してってばー」
ハゲ虎から必死で逃れようと悲しく訴えるめぐみちゃんの姿を見た僕の心は、熱く燃え上がっていた
(めぐみちゃんを守らなければ、、、、、守らなければ、、)
「その手を放せー!めぐみちゃんは、無実だーーーーーーーー!」
気がついた時僕は大声でそう叫びながら、ハゲ虎に飛びかかっていた
「うわあああああああああああああああ!!」
僕は夢中でめぐみちゃんからハゲ虎を引き離すと、必死にハゲ虎にしがみつきながら、めぐみちゃんに叫んでいた
「めぐんみちゃん、逃げろーーー、早く逃げるんだーーー」
「この小僧!何しやがる放せー、放せーこらー!!」
ハゲ虎は真っ赤な顔で怒りながら、僕の頭を何度も殴りつけてきた、僕はボコボコに殴られながらも必死にハゲ虎にしがみ付きながら、めぐみちゃに訴え続けた
「早くー、ここは僕に任せて早く逃げるんだー!」
「よ、、、吉宗くん、、、」
めぐみちゃんは僕の命がけの訴えにも関わらず、その場から離れようとしなかった
「何やってるんだー早く逃げないと逮捕されちゃうんだよー、ここは僕に任せて逃げるんだー!」
「、、、、逮捕?」
めぐみちゃんは、急にキョトンとした顔になって僕を見ながらその場に立ちすくんでいた
(め、、、めぐみちゃん、、、こんな急場に直面しながら、僕のことを心配しているのか?)
僕はハゲ虎を必死に抑えながら、その場に立ち尽くしているめぐみちゃんを見てそう思った
「めぐみちゃん、僕のことは良いから、逃げてくれーーー!」
僕が再びそう叫んだのと同時に、ハゲ虎の気合いのこもった大声が鳴り響いた
「うおりああああああああああああ!!」
「うわ!!」
同時に僕のからだはふっと空高く舞い上がっていた
ハゲ虎は僕の腕をその両手でかかえると、見事な切れ味の一本背負いで、僕の体を宙に浮かせていたのだ
「うわわわわーーーー!!」
「吉宗くんー!!」
めぐみちゃんが心配する声もむなしく僕の体はすさまじい勢いで、露店(さんずん)に叩きつけられていた
グワシャーーーーーン!!
崩れ落ちる三寸の音とともに僕の頭と背中に激痛が走った
ハゲ虎の強烈な一本背負いをくらった僕は、ぐしゃぐしゃに崩れた三寸の中、意識をもうろうとさせていた、、、、
「吉宗くん!!」
めぐみちゃんの僕を心配して叫ぶ声が、かすかに聞こえていた、、、、
しかし僕は動くことができなかった
「この小僧が、、、、」
ハゲ虎はスーツをはたきながら僕を睨むと、今度はめぐみちゃんに向きなおり、再び恐ろし形相で彼女に近づいていった
(め、、、、めぐみ、、ちゃん、、、、)
僕はぐしゃぐしゃになった三寸の中でもうろうとしながらめぐみちゃんを見つめていた
「さあ、もう観念して来るんだー!」
ハゲ虎はそう言うと再びめぐみちゃんの腕を鷲づかみして、彼女を三寸から引きづり出した
「痛い、放してー放してったらー!」
「やかましい、いいから来い!」
ハゲ虎は抵抗するめぐみちゃんを怒鳴りながら、強引に腕を引っ張っていた
「行くからー一緒に行くから、放してー、」
めぐみちゃんはそう言いながら、心配そうに僕の方を見た
「吉宗くん、、、吉宗くん、大丈夫、、、大丈夫、、、」
めぐみちゃんは、必死になって僕を心配していた
(めぐみちゃん、、、君が、こんなに大変なときだって言うのに、僕のことを心配して、、、、、)
僕は彼女を見つめながら感動の炎をちらちらと燃え上がらせていた
「いいから来るんだー!」
ハゲ虎は非情な顔でめぐみちゃんを連れ去ろうとしていた、
「吉宗くん、、、ごめんね、、私のせいでごめんね、、、、」
めぐみちゃんの泣き顔が僕の目に映しだされた、その瞬間僕の心でちらちら燃えていた炎が、今度はごうごうと赤く大きく広がり始めた
(めぐみちゃんを守らなければ、、、、守らなければ、、、、、、)
僕は心の中で何度も叫び続けた、
(守らなければ、、、、、めぐみちゃんを守らなければ、、、、)
気がつくと僕はボロボロの三寸の中から、再び立ち上がっていた
「まてー、ハゲ虎ーー!!」
僕は無意識のうちに、大声でそう叫ぶと、ハゲ虎に向かって走りだしていた
「何ー!?」
ハゲ虎が僕の突然の突進に驚いておもわず声をだした
「めぐみちゃんは無実だーーーーーーーー!!」
僕はそう叫びながらハゲ虎に向かい両手を広げて思いっきりタックルを仕掛けようとした
しかし、ハゲ虎まであとわずかという半歩手前で、僕は散乱していた水あめの缶に足をつまずかせてしまった
ガコー!!
「うわーー!?」
僕はその拍子にバランスを崩しながら、必死に両手で何かをつかんだ、
しかしむなしくも僕はあと半歩及ばず、ハゲ虎の目の前で地べたに向かって勢いよく崩れ落ちた
ぐしゃーーー!!
「ぎゃーーーー!」
鈍い音と僕の奇声が神社に響き渡った、、、
気がつくと僕は勢いよく倒れた拍子に顔面を見事石畳にぐっちゃりぶつけて、気絶してしまったのだった、、、、
しーん、、、、
それから、しばしの間、あたりは静まり返っていた
ハゲ虎は気絶している僕を見て、
「なんて馬鹿な奴だ、まったく、、、、」
そうつぶやくとめぐみちゃんの方を振り返った
「暴れたって無駄だからな、さあ、行くぞー!!」
ハゲ虎はそう言いながらめぐみちゃんの腕をつかんだ、しかしめぐみちゃんは今度は暴れるどころか、ポカンと口を大きく開いたままある一点を見つめて、じっと固まっていた
「、、、、?なんだ、どうした?」
ハゲ虎は、今度は自分たちを取り巻く群衆の変化に目を移した、
「ん?なんじゃ、、、、?」
見るとそこには騒ぎ聞いて駆け付けた、銀二さんや鉄、それに縁日に来たたくさんの人たちが、みんな揃って、めぐみちゃんと同じ、ある一点をじっと見つめてたたずんでいた
「、、、、、???」
ハゲ虎は首をかしげながら、めぐみちゃんとギャラリーが見つめる一点に目をやった
「ど、、、どわあーーーーー!?なんじゃーーーーーー!!」
ハゲ虎は真っ赤になって飛び上がった
何とハゲ虎がそこに見たものは、下半身すっぽんぽんで、大事な一物を、見事衆目の前にさらしている、自分自身の姿だったのだ
「なんじゃこりゃーーーーーーーーーーー!!」
ハゲ虎は大慌てで股間を隠しながら足元を見た
そこには両手でハゲ虎のズボンとパンツをしっかり握りなら気絶している、僕の姿があったのだった、、、、
何と僕がバランスを崩した瞬間必死につかんだものは、ハゲ虎のズボンとその中のパンツで、倒れる拍子に僕はそれらも一緒にずり降ろしてしまったのだった
ハゲ虎は真っ赤になってめぐみちゃんを見た、するとめぐみちゃんはぷーっと噴き出して涙を流しながら笑い崩れてしまった
同時にその光景を見つめていたギャラリーからも爆笑と拍手が鳴り響いた
「、、、さすがは兄貴だー、閻魔のハゲ虎を、こんなえぐい秘策で打ち破るとはー!」
鉄のその言葉に観衆はさらにどっと湧き上がった、
「ぐ、、ぐおーー!!」
ハゲ虎は恥ずかしさと動揺をかくしきれず、おもわず下で寝ている僕を怒鳴り飛ばながらガンガン殴りつけてきた
「このガキャー、何ちゅうことをさらすんじゃーー、」
ハゲ虎に殴られた痛みで僕は目を覚ました、そして目の前でぶざまな姿で怒りをあらわにしているハゲ虎の姿に驚いて声を張り上げた
「わー、何でそんなかっこしてんですかーー!?」
「なんでってお前のせいだーお前のー!」
ハゲ虎は片手で自分のチンチンを抑えながら、僕の頭をふたたび殴りつけた
ガツン!!
「痛ーーー!!」
「人に恥をかかせやがってー、この小僧がー、小僧がー、小僧がー!!」
ハゲ虎はそう言いながら、僕を何発も拳で殴りつけてきた
「いたー!、ぐえー!あたー!」
「もうやめてーーーーー!」
そこへ悲鳴のような大きな声が聞こえてきた
ハゲ虎は振り上げた拳を僕の頭上にとめたまま、後ろを振り返った、そして僕も頭にたくさんのこぶを作りながら、その声の方向を見つめた
するとそこには、笑いすぎて涙をながしている、めぐみちゃんの姿があったのだった、
そしてめぐみちゃんは、腕をぐっと組んで、キリッとした怖い顔でハゲ虎を見ると、今度は大声でハゲ虎をしかりつけた
「吉宗くんは、わざとやった訳じゃないんだから、もうやめてよ、!」
「わざとじゃないってー、お前、わしは、こんな姿にさせられたんだぞー」
ハゲ虎は、恥ずかしそうに股間を抑えながら、めぐみちゃんに弁解をしていた
「こんな姿って、もともと私のアルバイトの邪魔するから悪いんじゃない!それもあんな風に強引に連れ去ろうとしてー!」
「なんじゃー、連れ去るって当たり前じゃろうがー、前々からこんなバイトは行かんって注意しとったじゃろーが、ばかものー」
めぐみちゃんとハゲ虎の激しいバトルを聞いているうちに僕の頭は、パニック状態に陥り始めていた
「?なんで?何で指名手配のめぐみちゃんが、こんな風に親しく刑事とケンカしてるの???」
僕は小声でつぶやきながら、何度も首をかしげていた、
そんなさなか、めぐみちゃんは驚きの一言をハゲ虎に向けて放ったのだ
「今日という今日は我慢できない!私はパパのおもちゃじゃないんだから!!」
「、、、、、、、、?」
僕はその言葉の中に登場したカタカナのふた文字を耳にして目が点になってしまった
「、、、、パ、、、、、、、パ、、、?」
「、、、、パ、、、パ、、、、?」
「、、、、パパ~!?」
僕はそう叫びながらめぐみちゃんとハゲ虎を交互に見つめ、その場でおじぞうさんのように固まってしまったのだった
イラストは後日更新します^^
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コメント
ついに、めぐみちゃんの秘密が明かされましたね!!
そっか~、そうだったんだ~~っていう感じです~♪
吉宗くん、気絶しながらもしっかりとつかんでいたなんて、さすが!!!(笑)
いつもながら、大笑いさせていただきました~(^-^)
「光’s喫茶」も読みましたよー
時間かけて書いたデータが飛んじゃって、大変でしたね!
やっぱりこまめに保存ですね。
投稿: みゅうー | 2008年3月19日 (水) 01時50分
みゅうーさんこんにちわー^^
いつもありがとうございます
やっとこさここまでたどり着きましたー、
ふと気が付くとまだ吉宗くん入社してから二日しかたってないんですよ
ハゲトラがメンバーに加わって、さらに吉宗くんの試練のまくあけです^^
データ吹っ飛び事件、悔しかったけど、保存をかけない私が悪い♪ですね^^
bbsメンテナンスが頻繁にありますが、またこまったちゃんかな、、、
投稿: 光一郎 | 2008年3月19日 (水) 08時30分