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2008年4月 1日 (火)

第27話 ハゲ虎vsめぐみちゃん

鬼瓦興業のお隣、神咲家では、昨日のピストル騒動から冷戦状態が続いていた、神咲虎三、人呼んで閻魔のハゲ虎は、そんな冷戦状態を打開すべく、新聞の影から流し台の前に立つ、めぐみちゃんに猫なで声でそっと話しかけた

「おーい、めぐみー、めぐみちゃんやー、、、、、」

「ふん、、、、」

虎三の猫なで声もむなしく、帰ってきたのはめぐみちゃんの冷めた返事だった

「ふんって、おいパパにそれは無いだろう、、、、なあ、めぐみちゃん、、、」

虎三はひっしに作り笑いを浮かべていた、

「、、、、、、、、、、、」

しかしめぐみちゃんの返事はなかった

「あのー、めぐみちゃん、、今日の朝ごはんは何かなー?」

虎三は、新聞をたたみながら、ダイニングで声をかけた

 

「はい、どうぞ!」

どん!

めぐみちゃんは虎三の前のテーブルに、ビニールがついたままの魚肉ソーセジ一本を無愛想に置くと、さっさと台所から出て行ってしまった

「あ、、ちょっと、めぐ、、、これだけ、、、?」

「おい、めぐみ、、、何を、いつまでも怒ってるんだよ、、、、、」

虎三はソーセージを片手にめぐみちゃんを追いかけた

「怒るにきまってるじゃない、パパがあんなひどいことしたんでしょ、、」

めぐみちゃんは半分うるんだ瞳でハゲ虎を睨んだ

 

「ひどいって、あ、、あの小僧が悪いんだろうが、テキヤ風情の分際で、うちの大切なめぐみにちょっかい出したんだぞ、、、、」

「どうして昔からそうなの、、、私が男の人と仲良くするとすぐに、ひどいことをして、、」

めぐみちゃんは泣きながら、ハゲ虎に食ってかかった

「馬鹿もんが、それはわしが、お前のことを思ってだなー、お前に悪い虫がつかん用に守ってるんだろうが!」

「吉宗君は悪い虫なんかじゃありません!!」

めぐみちゃんは涙を拭きながらプイっと横を向いた

 

「お前は全然わかっとらんのじゃ!あの男だって大人しい顔して一皮向けば、狼なんだ、狼!なんだかんだと言い寄りながら、本当はお前の体が目当てなんだぞー!!」

「いやらしー!、自分がいつも外でいやらしい事ばかり考えているから、人のこともそんな風に見えちゃうんです!」

「いやらしいって、、お前なんてことを、わしは事実を話しとるんじゃ!あの男だって今はまじめな顔しておるが、時期に本性を現すに決まっておる、」

「本性って何よ、本性って、、、」

めぐみちゃんは真剣な顔でハゲトラに食い下がった

 

「それはお前、ことわざでも、朱に交われば赤くなる、って言うだろうが、銀二や鉄のような遊び人の連中とつるんでいて、染まらない訳がないんじゃ、わしは刑事だから、その辺はよーく分かるんじゃ」

「、、、、、、、、」

めぐみちゃんは一瞬だまって心配そうに考え込んでいた

 

「あいつだってそのうち、博打に酒に喧嘩ざた、おまけに女遊びだってするにきまっとるんじゃ、例えは川崎のソープランドにだって行ったりするんだぞ、銀二らといっしょに、、、」

 

「ソ、、、ソープランド!?」

 

「そうだ、ソープランドだ、川崎のソープランド、、、どうだ、分かったか、、、、」

めぐみちゃんは一瞬恐い顔で固まってしまった、

しかし、お祭りで見せたあの情熱のこもった涙顔を思い出して、首をよこに振った

「吉宗君は絶対にソープランドなんて行きません!そんなエッチな人じゃありません!!」

「いや行く、ぜーッたいに行くにきまっとる!」

「行かないったら行きません、吉宗くんはパパ見たいな、スケべで変態親父じゃないんです!!」

 

「へ、、、変態親父、、、!?」

ハゲ虎はその一言で、急に固まってしまった、、、、

 

「父親に向かって、、へ、、、変態おやじ、、、、、」

ハゲ虎は急に目頭を抑えると一目散に仏壇の前に駆け寄り、置いてあった金色のりんを鳴らした

ちーん!!

「母さん、、わしは、めぐみの育て方を間違えてしまったようじゃ、、、、」

「めぐが、めぐが、、わしの事を、変態親父だなんて、変態親父だなんて、、、かあさん、かあさん、、、」

ハゲ虎は仏壇の前で、泣きながら飾られた写真に向かって訴えていた

 

「やめてよー、パパー、いつもそればっかり、、、」

「そんなこといったって、お前がわしのことを変態親父なんていうから、、、、」

「わかりました、言いすぎました、ごめんなさいー!!」

めぐみちゃんは、制服のジャケットをはおりながらl、つっけんどんにそう言った、

ハゲ虎はその言葉を聞いて嬉しそうにつぶやいた

「わかってくれたんじゃな、めぐみ、もう二度とあんな男と話しなんぞするんじゃないぞ、、」

めぐみちゃんは慌てて振り返ると、首を大きく振った

「それとこれとは話が別です!」

「うぐおーーー?!」

「それじゃー、わしよりもあの青二才の方が大切だって言うのかー!そんなこと言って死んだ母さんが聞いたら怒るぞー!!」

「お母さんが生きていたら、絶対に反対しないで私たちのこと応援してくれます!」

 

「私たち、、?応援って、、、、おまえ?」

ハゲ虎はきょとんとした顔でめぐみちゃんの顔を見た、めぐみちゃんはハッとした顔で頬を赤く染めた

「お前、もう付き合ってたのかー、まさかあの小僧と、チューしたんじゃないだろうなー!?」

「チューなんてしてません、それにまだ付き合ってるわけじゃないけど、、、」

めぐみちゃんは言葉を詰まらせながら、ぽーっと何かを考え込んでいた、そして昨日おまつりで吉宗が叫んだ愛の言葉を思い出していた

めぐみちゅわん、うぐえ、僕は、僕は君にどんなに悲しい秘密があろうとも、君が好きだーー!!君を好きになることで、どんな辛い未来があったてかまうもんか、僕は君が好きだったら、好きなんだーーー!)

めぐみちゃんは、ぽーっと頬を赤くしながら吉宗の言葉をかみしめて微笑んでいた

 

(決してドラマみたいなカッコイイ言葉ではなかったけど、あんなにハートのいっぱい詰まった愛の告白なんて、はじめてだったなー、、、、)

めぐみちゃんは手を頬にあてながら、遠くを見つめて固まっていた

 

「お、、、おい、、おいどうしたんだ、、、めぐみ、、、、」

ハゲ虎はそんなめぐみちゃんの様子に慌てて、近寄っては顔の前で手をばたばたしたり、めぐみちゃんの心を呼び戻そうとしていた

「おい、、、めぐみ、、めぐや、、、、、」

 

「吉宗くん、、、、、、

めぐみちゃんは頬に手をあてながら無意識につぶやいてしまった

「は、、、!?」

めぐみちゃんが気がついた時、目の前にはその一言を聞いて驚きのあまり口をポカンとあけてきょとんとした目で彼女のことを見ている、虎三の顔が間近にあったのだった。

「あ、、、、、、、、!?、」

めぐみちゃんは、慌てて近くにあったカバンを手にかかえた

「あのクソガキー、ここまでめぐみの心を、、、、むむむむ」

「許さんー!絶対に許さんぞー!」

ハゲ虎は床をバンバン蹴飛ばしながら大声で怒鳴り続けた

「許さんって、私だったもう子供じゃないんだから!絶対に私たち二人の中は、パパなんかに邪魔させないからね!」

めぐみちゃんはそういい返すと、玄関で慌てて靴をはいて外へ走って行った

「あーめぐみーーー!!」

ハゲ虎はそんなめぐみちゃんを、呼びとめた、しかしめぐみちゃんはそのまま走りさってしまった、

「めぐ、、、、めぐみ、、、、、」

ハゲ虎はそうつぶやきながら、その場に崩れ落ちた、そして再び仏壇に向くと、めぐみちゃんのお母さんの写真に泣きながら訴えた

「母さん、、、、母さん、、、めぐみが、わしの大切な、めぐみが、、、うううう」

ハゲ虎は泣きながら仏壇の写真に語り続けた、、、、そしてしばらく下を向いて泣き崩れたあと、ふっと顔をあげると、すごい鬼の形相で玄関を睨み据えた、、、、

「おのれ、、、、あの吉宗とかぬかすクソガキがーーー、絶対にただじゃおかんからな~!」

虎三は、まさに怒りの閻魔大王と化したすさまじい顔で、唇をかみ締めていたのだった。

  

 

めぐみちゃんとハゲ虎が激しいバトルを繰り広げていたころ、僕は、まるでムーミンのように腫上がったお尻をかかえて、犬小屋に向かってとぼとぼ歩いてた

なぜ僕がこんな姿になってしまったか?

それは前回のお話を読んでくださった方には分かると思いますが、なんと僕は、テキヤさんの守り神、神農さんの頭を照れた拍子にバシバシとシバキまくってしまったのだった。

運悪くその姿を鬼瓦興業の鬼軍曹、追島さんに見つかった僕は、100孫の手の刑を執行され、哀れこんなムーミンちゃんになってしまったのだ。。

 

「いたた、、いたたたー」

僕は片手に水とブラシの入ったバケツを持ち、もう一方の手では、ひりひりするお尻を押さえながら、やっとの思いで鬼瓦興業倉庫脇の犬小屋まで辿り着いた。

「おーい、与太郎くん、、、掃除に来たぞー」

そういいながら小屋の前に立った僕は、その小屋の広さに呆然とした、

約三メートル四方の鉄の檻の中には、さらに大きな部屋がひとつ置かれていて、その中に与太郎と呼ばれる親父さんの愛犬が隠れているのか、あたりは不気味に静まり返っていた

「で、、でかい小屋だなー」

僕はふっと追島さんから犬小屋の掃除と、朝の散歩を言いつけられた時のことを思い出していた、、、、、

 

「掃除が終わったら、新入り、お前は与太郎の小屋の掃除だ、それが終わったらやつを連れて多摩川まで散歩に行くんだぞ!!」

追島さんの言葉に一瞬、銀二さんは青い顔をしてたずねた

「追島の兄貴、、、与太の散歩って、こいつ一人でですか?」

「あたりめーだろが、お前らこれから川崎の仕事(バイ)の準備で忙しいだろうが、犬の散歩ごときに二人も三人もいるか、、、」

「、、、、、、、」

銀二さんと鉄は、青い顔をしながら僕を見た

「あ、、、あの僕昔から動物大好きですから、、、」

僕のその答えに、追島さんはニヤッといやらしい笑顔を浮かべた

「親父さんの大切な愛犬だからな、粗相のないよう大事に扱うんだぞ、、、」

「はい!!」

僕は明るく返事を返すと、銀二さんと鉄の顔を見た しかしどういうわけか二人の顔には明らかに僕の恐ろしい未来を予知するかの様な、影が隠れていた、

 

「、、、、さっきの銀二さんたちの顔、何だったんだろう、、、、」

僕は首をかしげながら、小屋の入り口の鍵を空けようとしゃがんだ、そしてそこにはられた表札をみて思わず噴出してしまった

『 ヨーゼフのお家 』

「なんだこれ、、、あ、そうか、、」

「みんなが与太郎とか与太とか言っているからそれが名前だと思っていたけど、ヨーゼフのよで、与太郎って言ってるんだははは、、」

僕はそういいながら嬉しそうに微笑んだ、

 

「でもヨーゼフってどこかで聞いた名前だけど、なんだっけな、、、フランダースンの犬はパトラッシュだったけど、、、うーん、、、」

僕はヨーゼフという優しそうな名前を見てすっかり安心しきっていた、そして不用意に小屋の鍵をあけると

「おーい、ヨーゼフ、お散歩に連れて行ってあげるよー」

そういいながら小屋の中に入っていった、そして僕が小屋の中のもう一つの大きな部屋に近づいた瞬間、中から突然巨大な怪物が僕に襲い掛かってきたのだった、、、

「ぐおあーーーー!!」

「わーーーー!?」

怪物はまるで、総合格闘技のマウントポジションのように、僕の身体の上にその巨大な毛むくじゃらな身体を覆いかぶせてきた

僕はその重圧に押されながら、息が出来ず遠のいていく意識の中で、ヨーゼフという名前の犬がアルプスの少女ハイジに登場していたセントバーナードだったことを思い出した、、

「ぐえ、、くるちーー、くるちーー、どいてー、ヨーゼフ、、、、、」

僕は虫の息になりながら、僕の上でマウントポジションをとっている巨大な怪物をかいま見た、、、

そこにはまさしく ヨーゼフ といった、今どき図鑑でしか見ることのない、2メートル近いセントバーナードが、目を血走らせながら僕に襲い掛かっていたのだった、、、

続き
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イラストは後日更新します


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コメント

こんにちは~♪
めぐみちゃんの吉宗くんに対する気持ちを知ったハゲ虎・・これから、吉宗くんと決闘(笑)するかも?と、なんかワクワクしますね~、どうなるのかなぁーー♪
魚肉ソーセジって、なんかなつかしい!子供のころ、すごく好きだった記憶が~

投稿: みゅうー | 2008年4月 3日 (木) 17時34分

みゅうーさんこんばんわー^^
いつもありがとうございます
食卓に魚肉ソーセージ一本、それにご飯と醤油とヌカズケのきゅうり、実はこれってお店屋さんをやっていた母がいそがしくて私に出してくれた朝食でした^^
兄達はそのソーセージをめぐって毎朝喧嘩してました(笑

さてさて続きどうなっていくのか、私にも分からなくなってしまいましたが、でも、近い将来吉宗君はあるところにいってしまうかもしれません^^
めぐみちゃんが絶対に行かないと信じている場所、、、
やば、、、、ネタばらしすぎてしまった、、

投稿: 光一郎 | 2008年4月 3日 (木) 19時47分

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