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2008年4月 9日 (水)

第29話 吉宗君って素敵

まさかの恋敵、鬼瓦興業の愛犬ヨーゼフ、通称与太郎のおしっこ攻撃を受けた僕は、犬小屋のわきの水道で身体についたアンモニア臭を洗い流していた

そんな僕の姿を当事者与太郎は、知らん振りで寝転びながら、時折片目を開けてはふてぶてしい顔で眺めていた

「まったく、白々しい顔しやがって、」

僕はぬれたダボシャツをぬいで、頭から冷たい水をかぶりながら、ぶつぶつ呟いていた

 

「吉宗君、タオルと着がえもらってきたよー」

めぐみちゃんがそう言いながら、両手にバスタオルとまっさらなダボシャツをかかえて走りよって来てくれた

「あー、ありがとう、めぐみちゃん」

僕はぬれた髪の毛を手で払いながら彼女の方を振り返った

Hadakayosimune

 「あ、、!?」

めぐみちゃんは上半身裸の僕を見て、はずかしそうに頬を赤く染めながら、もっていたタオルをそっとさしだした。

「あ、、ご、ごめん」

僕はめぐみちゃんから慌ててタオルとダボシャツを受け取ると、大急ぎでぬれた頭と身体を拭いてシャツの袖に腕を通した。

 

「、よ、吉宗くんってもっと細いきゃしゃな身体だと思っていたら、た、たくましいんだね、、、、驚いた、、」

めぐみちゃんはそういいながら真っ赤な顔で僕を見た

「え、、、? あ、中学、高校って剣道部だったからかな、毎朝素振りだけは、欠かさずやってたんだ、、ははは」

僕はダボシャツのボタンをしめながらはずかしそうに笑った

「へえ、剣道部だったんだ、、、すごい」

「すごいって、万年補欠だから、全然すごくなんかないよ、、、で、でも、、」

「でも?」

「うん、でも一つだけ小さな自慢なんだけど、6年間一度も練習を休んだことないんだ、、、それだけが僕のポリシーっていうか誇りだったから、、、ははは」

僕はそういいながら、頭をポリポリかいてめぐみちゃんを見た、 

「一度も?、、、、すごい、すごい、それって大きな自慢だよ、、、」

めぐみちゃんはうれしそうに微笑みながら、手のひらにメモをかく素振りを見せた

「また一つ吉宗くんの、好いところ知っちゃった、、、、へへ」

めぐみちゃんはそう言いいながら、ペロッと可愛い舌をだしながら僕をみつめた、、、

Meguperor  

(か、、、かわいい、、、やっぱりめぐみちゃんは、かわいすぎる、、、)

 

僕は得意のお公家様の笑顔で彼女をぼーっと見つめていた

「や、やだー!また、その面白い顔、、、、吉宗君ってすぐふざけるんだから、、、」

めぐみちゃんは、笑いながら持っていたカバンで僕の顔面を思いっきりぶったたいた

バゴッ!!

鈍い音と共に僕の両鼻から、たらーっと鼻血がながれおちた

 

「あー!ご、ごめんなさい、、、、」

めぐみちゃんは慌ててポケットからティッシュを出すと、一生懸命僕の鼻血を拭いてくれた

愛するめぐみちゃんの愛の一撃、そう思うと不思議とまったく痛みは感じなかった、僕は両鼻にティッシュをつめた間抜けな顔で、頬を染めながらにんまり微笑んでいた、、、

 

そんな僕たちの幸せな光景を、クソ面白くない顔で眺めている奴がいた、そう、それは僕と同じようにめぐみちゃんに恋心を寄せているヨーゼフだった

わん!わん!わん!

与太郎ヨーゼフはさすがはテキヤ犬といったどすの聞いた声で、小屋の中から必死に吼えていた

「あー、そうそう、君の事を忘れてたねヨーゼフ」

めぐみちゃんはヨーゼフを小屋の外に連れ出すと、やさしく頭をなでてあげた

ヨーゼフはさっきまで僕を見てた時とはうって変わった人懐っこい表情でめぐみちゃんの横で幸せそうにお座りをしていた

「吉宗君、小屋の掃除があるんでしょ、、、この子はしばらく遊んでいてあげるから、すませちゃっていいよ」

「でも、めぐみちゃん学校は、」

「実はパパとちょっとあって、少し早く家をでちゃったから、、」

「パパとって、、、、もしかして僕のことで、、?」

めぐみちゃんは少し悲しい顔をしながらヨーゼフを撫でていた

 

「吉宗君は気にしないで、私とパパの問題だから、、、、、それより掃除掃除、手を休めてたら別の恐い人が来るんじゃない」

僕の頭に恐怖の孫の手を持った追島さんの姿が浮かんできた

「そうだ、、、いけない」

僕は慌ててヨーゼフの小屋の掃除にとりかかった

 

僕は一生懸命デッキブラシでヨーゼフの小屋をゴシゴシ磨いていた、そんな僕を見つめながら、めぐみちゃんはうれしそうに話しかけてきた

「吉宗君って、まっすぐで、どんなことにも一生懸命になる人なんだね、、、」

 

「え?どうして急に、、」

「うん、お掃除している姿を見ててそう思ったの、他の人はもっといい加減にやってるのに、吉宗君は隅々まですごい一生懸命だなーと思って、、ふふふ」

めぐみちゃんは、そういいながらニッコリ笑っていた

「なんだか、そう言われると、よろこんでいいのか、悪いのか分からないな、、、、」

僕は恥ずかしそうに頭をかいた

「喜んでいいと思うよ、私、そんな吉宗君のこと、とっても素敵だなーって思うもん、、」

 

「え、、、、、!!」

僕は目を輝かせてめぐみちゃんを見た

「あ、、、!?」

「よ、ヨーゼフ良い子だね、静かにしていて、、、」

めぐみちゃんは自分で言った言葉に急に照れて、顔を真っ赤にしながら、恥ずかしそうにヨーゼフの頭をなでた

 

(素敵、、、めぐみちゃんが、めぐみちゃんが、僕を素敵って、、、、本当の春がきたんだー!)

僕は幸せだった、幸せで幸せで、ルンルンになって、ハゲ虎のことなどすっかり忘れて、心はパタパタ空を飛びながら、犬小屋の掃除に勢を出していた

 

そんな僕を見つめながら、めぐみちゃんは嬉しそうに訪ねてきた 

「吉宗くん、今日はどこのお祭りに仕事に行くの?」

「今日?、確か今日は川崎のお祭りに行くって、銀二さんが言ってたけど、、」

 

「川崎!?」

 

めぐみちゃんは、川崎という言葉を耳にしたとたん、急に顔色を変えて黙りこんでしまった、、、、、

 

「、、、、?、ど、どうしたの、めぐみちゃん、、、、」

「、、、、、、、、、、」

「ねえ、どうしたの急に、めぐみちゃん、、、めぐみちゃん、、、」

「え、、、あ、ごめんなさい、、、、何でもないの、私の勝手な思いこみだから、、、」

「思い込み?」

僕はデッキブラシを握ったまま、めぐみちゃんの急な変化を見つめていた

「本当に何でもないんだから、ごめんね、、、へへへ」

めぐみちゃんはそういって笑いながらも、なぜか不思議な不安の影をのぞかせていた、、、

続き
第30話 めぐみちゃんの願いへ

イラストは近日アップします


Onegai2

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第一章 侠客鬼瓦興業」カテゴリの記事

コメント

こんにちは~
ヨーゼフは吉宗くんのライバルなのですね!
ヨーゼフにおしっこをかけられるとは、思わぬ展開でした~(笑)

川崎に何があるのかな?またまた続きが気になるところです
ところで、川崎って、ちょっとなつかしい!・・私は以前東京大田区の久が原というところに住んでいたので(ちなみに私は東京生まれです)川崎は近かったんですよー♪

投稿: みゅうー | 2008年4月12日 (土) 16時22分

みゅうーさん、こんばんわー^^
おしっこ騒動、書いている私もびっくりしました
全然違う展開の予定が、突然ヨーゼフがあんなことをしてしまったのです^^

みゅうーさん、大田区に住んでいたのですね、あの有名な田園調布に家が立つの大田区ですね(byセントルイス)
さてさて川崎でいったい何が起こるのか、、、今日千葉にステイドリームいあいに行った帰りに、事件現場通りました
川崎競馬場の向かい側であることが、、、あくまでも構想ですが、どうなるかはキャラ任せです^^

投稿: 光一郎 | 2008年4月13日 (日) 21時50分

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