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2008年8月26日 (火)

第54話 めぐみちゃんの嫉妬

お大師さんの仕事(バイ)も二日目、僕は前日と同じように、保育園横のお弁当屋さんに向かって笑顔で歩いていた

なぜ笑顔か?

それは何と、僕の隣にまたまたエプロン姿のめぐみちゃんがいたのだ、、、

めぐみちゃんは夕べ鬼瓦興業で僕を待っている時、親父さんからアルバイトをたのまれたらしく、楽しそうに笑いながら僕の隣をあるいていた

 

「うれしいなー、また吉宗くんと一緒にアルバイトができるんだね、、、」

「うん、、、」

めぐみちゃんの言葉に僕も笑顔で微笑んだ、、、

「でも大丈夫なの、ハゲ虎、じゃなかった、めぐみちゃんのお父さん?」

「今日はパパ、署の慰安旅行で、伊豆に行ってるんだ、、、、、」

「伊豆か、、、、で、でも、ばれたら?、、、」

僕は一昨日、ハゲ虎にピストル突きつけられた恐怖体験を思い出しゾクゾクっとした、、、、

「大丈夫、大丈夫、、、、吉宗君は気にしないで、、、」

「気にしないでって言われても、、、、」

「あー、、、なんだか私が一緒がいやみたいな言い方だ、、、、」

「そ、そんなことないよ、僕だってすっごくうれしいよ、、、」

「本当にうれしい?」

「う、、、嬉しいに決まってるじゃないか、、、、、」

「私もうれしい、、、」

めぐみちゃんは僕の腕に両手をまわし、ぐっと体をすり寄せてきた、彼女のホンワカした胸の感触が僕の腕に、、、

「、、だはははは~、、」 

僕は嬉しさのあまり、ハゲ虎のことなどすっかり忘れ、それはだらしなーい顔で歩いていた、

Lovel  

お弁当屋さんに到着後、頼まれたお弁当を注文して外に出ると、めぐみちゃんが一人保育園をながめた

「かわいいね、、、みんな楽しそうに遊んでるよ、吉宗君、、、」

「うん、、、」

静かにめぐみちゃんの横によりそうと、保育園の中で無邪気に遊びまわる子供達を見つめた、、、

お砂場で遊ぶ子、ぶらんこを勢いよくこいでいる子、うさぎ小屋の前で草をあげている子、そんな中、一人花壇の脇で寂しそうにぽつんと座っている子がいた

「あ、、、あの子は、、、」

それは昨日、お大師様の境内から泣きながら連れ去られた、追島さんの娘のユキちゃんだった、、、

「あの子って?吉宗くん知ってる子なの?」

「うん、、、追島さんの娘さん、、、」

 

「え!?、、、追島さんの娘さんって、、もしかしてユキちゃん?」

「!?」

僕はめぐみちゃんの口から、ユキちゃんという名前を聞いて、一瞬驚いた、、、

「めぐみちゃん、知ってるのユキちゃんのこと、、、、」

「うん、、、あの子が3歳くらいの時だったかな、鬼瓦のおじちゃんの所でよく遊んだんだ、、、」

「そ、、、そうか、、、、、」

「ねえ、どこ?吉宗君、、、、どこにユキちゃんがいるの?」

めぐみちゃんは園庭をキョロキョロ見渡した

僕は花壇のわきで寂しそうに座っているユキちゃんを指差した、、、

「あー、あの子がユキちゃんね、、、、すっかり大きくなって、、、」

めぐみちゃんは真剣に見つめていた、、、

「こんな所でユキちゃんに会えるなんて、、、、」

嬉しそうに微笑んでいたが、その瞳にはいっぱいの涙があふれていた、、

 

「めぐみちゃん?、、、、」

僕はユキちゃんをじっと見つめている、めぐみちゃんに声をかけた、、、

「めぐみちゃん、それじゃ、、、お慶さんのことも?」

「お慶さん?、、、、吉宗君お慶さんにも会ったの?、、、、」

「うん、、、、実は昨日、、、、」

僕は昨日起こったことを、めぐみちゃんに話し始めた

 

追島さんが、あの園庭の外の草むらで悲しそうにユキちゃんを見つめていたこと、、、、

境内で、追島さんを慕って泣いていたユキちゃん、そして久しぶりの再開に涙を流していた追島さんのこと、、、

怒ったお慶さんが、むりやりユキちゃんを連れ去っていったこと、、、、、

そして、喫茶慶で再びお慶さんに出会ったこと、、、、

静かにめぐみちゃんに話していた、、、、 

 

「そんなことが、あったんだ、、、、、」

 

めぐみちゃんはそっとつぶやくと、涙をいっぱいの瞳で、花壇のすみに座っているユキちゃんを見つめていた、、、

 

「はーい」、幕の内弁当5つ注文のお客さーん、お待ちどう様ーー」

「あ、、、はい、、、」

お弁当を受け取った僕とめぐみちゃんは、花壇のユキちゃんを見ながら、お大師さんに向かって歩き出した、、、

「ねえ、吉宗君、、少しユキちゃんとお話ししていいかな?、、、」

「え?」

「ちょっとだけでいいんだ、、、」

めぐみちゃんはそう言いながら、ユキちゃんが腰掛けている花壇の近くのフェンスに歩いていった、、、 

 

「ユキちゃん、、、ユキちゃん、、、、」

フェンスごしにめぐみちゃんは声をかけた、、、

「、、、?、、」

「こんにちわ、ユキちゃん、、、」

「誰?、、、、おねえさん、、」

「覚えてないかな?、、私のこと、、、、」

ユキちゃんはしばらく考えていたが、パッと表情を明るくさせて

「あーー、めぐみお姉ちゃん?」

そう言いながら、嬉しそうに、僕たちのほうへ走りよってきた、、

 

「覚えていてくれたんだ、ユキちゃん、お姉ちゃんのこと、、、」

「うん、、だって、大好きなめぐみお姉ちゃんだもの、、、」

「ありがとう、、お姉ちゃんとってもうれしいな、、、、」

「へへへ、、、、」

 

「ママは元気?」

「うん、、、、」

めぐみちゃんは保育園の様子を静かに見渡したあと、

「保育園、楽しそうだね、、、」

微笑みながら再び話しかけた

しかしユキちゃんは、ちょっと寂しそうにうつむいていた、、、、

「どうしたの?保育園楽しくないの?、、、」 

「うん、、楽しかったり、楽しくなかったり、わかんない、」

 

「楽しかったり、楽しくなかったりなの?」

めぐみちゃんは心配そうに聞きかえした、、、

「うん、、、春菜先生とお友達と遊んでいる時はとっても楽しいんだ、、、、」

「春菜先生?、、保育園の先生ね、、、」

「うん、とっても優しくて、めぐみおねえちゃんと同じくらい、大好きなんだ、、」

ユキちゃんはうれしそうに微笑んだ、、、、

 

「それじゃ、、楽しくないって、何なの?」

「うーん、、、、」

ユキちゃんは小さな眉間にしわをよせながら考え込んでいた、、、、、

めぐみちゃんはそんなユキちゃんを静かに見つめていたが、優しく微笑むと、、、 

「そうか、、、ちょっと言いにくいことなのかな、、、、」

「、、、、うーん、、」

「いいよ、いいよ、、、ユキちゃんがお話したくなかったら、いいんだからね、、、」

「うん、、」

ユキちゃんはそっとうなずきながら顔を上げると、めぐみちゃんの後ろでぐっと涙を我慢している僕を見て目を輝かせた、、

「あーー!、金魚すくいのお兄さんだーー!!」

「え、、、あ、、ははは、、や、、、やあ、、、、」

僕は慌ててユキちゃんに手をふった、、、、

「ねえ、ねえ、めぐみお姉ちゃん金魚すくいのお兄さんとお友達なの?」

「うん、、、、」

めぐみちゃんがうなずくと、、、

「ねえねえ、恋人?お姉ちゃんの恋人なの?、、、」

「いや、、、あの、、、」

めぐみちゃんと僕は、顔を真っ赤にしながら見つめあった、、、、

「あーー、二人とも、お顔真っ赤になってる、、やっぱり恋人なんだ、恋人なんだー、、、」

ユキちゃんは保育園児とは思えないませた顔で、僕達をからかいはじめた、、、

 

 

「はーい、みんなお部屋に集まってー!!」

保育園の教室から優しい声が聞こえてきた、、、

園庭で遊んでいた子供達がいっせいに、その声のもとに集まり始めた、、、

「春菜先生だー、」

「春菜先生ー」

子供達の言葉に僕も顔を上げると、そこには、あの美しい春菜先生が手をふりながら微笑んでいたのだった、、、、

 

「あ、、、春菜先生だ、、、」

気がつくと、僕も子供達といっしょにそうつぶやいていた、、、、

「あ、春菜先生だって、知ってるの吉宗くん、、、」

「え、、、あ、昨日境内で、、、、」

「ふーん、、、、」

めぐみちゃんは、ちょっとむくれながら春菜先生の方を見た、、、、

先生も僕達に気がついたのか、不思議そうにこっちを見ていた、、、

「へー、とっても綺麗な人だね、、、、」

「うん、、、」

「え、、あ、いや、、、、あの、、、、、」

 

「何でそんなに慌ててるの?馬鹿みたい吉宗くん、、、、」

めぐみちゃんは明らかに不快といった顔でむくれていた、、、、

 

「ユキちゃん、このお姉さんたちはどちら様?、、、」

気がつくと、僕達の前に春菜先生が、近寄っていた、、

「先生、私が大好きなめぐみお姉ちゃん、、、」

ユキちゃんはそう言いながらめぐみちゃんを指差した、、

「ユキちゃんの大好きなお姉さんだったの、、、はじめまして、ユキちゃんの担任の春菜です、、、」

「あ、、、はじめまして、神咲めぐみ、、です、、」

めぐみちゃんは慌てて春菜先生に挨拶をかえした、、

 

「先生、このお兄ちゃん覚えてるでしょ、、、ほら金魚すくいのお兄さん、、」

ユキちゃんが今度は僕をゆびさした、、、

「あー、昨日の?、、、、、」

春菜先生は一瞬驚いた顔で僕を見た後、ポッと頬をそめて

「やさしい、テキヤのお兄さんですね、、、昨日はありがとうございました、、、」

深々と頭をさげた、、、

「いや、、僕は何も、、、」

真っ赤に照れながら両手をばたばたとふった、、、

 

「何、そんなに赤くなってるの?吉宗君、、、、、」

僕の耳に小さな声が、、、、振り向くとそこには、明らかに嫉妬の表情を浮かべためぐみちゃんが睨んでいたのだった、、、、

 

そんなめぐみちゃんにユキちゃんが、両手を頭にのせながら、、

「めぐみお姉ちゃん、、、」

 

「なに、?ユキちゃん、、、、」

 

「この金魚すくいのお兄ちゃんね、実はねー、昨日ねーー、」

ユキちゃんはニヤッと笑いながら、僕を見た、、、、その表情はまさしく、いやらしい顔をしたときの追島さんの目そのものだった、、

(な、、、何だこの目は、、いったい何をこの子は、、、、)

僕は思わず青ざめた

 、

「ユキちゃん、、、、このお兄ちゃんがどうしたの?」

めぐみちゃんは、真剣な顔でユキちゃんを見た、、、

ユキちゃんはそんなめぐみちゃんと僕を見ながら再びニヤッと笑うと、春菜先生を指差し、とてつもない言葉を発射した、

 

「このお兄ちゃん、昨日、春菜先生のパンツを覗き見したんだよーーー!!」

 

「えーーーー!?」

  

「どわーーーーユ、ユキちゃ~ん!?」

Lovelodoroki   

子供って、無邪気でかわいい、、、、無邪気でかわいい、、、、、無邪気で、、、、、

そう思っていたのに、、、僕は子供の無邪気さとは表裏いったいの、恐ろし~いものを、その時、知ってしまったのだったのだった、、、、

続き
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イラストは近日更新します

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第一章 侠客鬼瓦興業」カテゴリの記事

コメント

あははは
子供は無邪気で素直で正直で、それがゆえに、、、残酷
そ~りゃ、怒るで~めぐみちゃん
これで、すべ~るすべるまでばれたら、、、と思うと

投稿: けんさぁ | 2008年8月27日 (水) 22時28分

けんさぁさん

まさかユキちゃんの口からあんな爆弾発言が、、、
子供の口はやっぱり恐いです
私もこっそり子供に話した、山ノ神(奥方様)の悪口を全部ばらされたことがあります
その後、ダイニングでビシビシと鞭を入れられてしまいました

これから物語りは今まで出てきたキャラにめぐみちゃんも加えて、複雑になっていきますよー、

投稿: 光一郎 | 2008年8月28日 (木) 09時17分

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