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2009年4月

2009年4月22日 (水)

第83話 爆裂マライアさんとめぐみちゃん

(めぐみちゃんが…めぐみちゃんが……)

僕は涙をポロポロと流しながら、遠ざかるめぐみちゃんの後姿を見つめていた…

やがて信号が赤から青へ、それでも呆然とたたずんでいる僕にお慶さんが、

「何をやってるの、早く追いかけなさい!」

「で、でも、僕は…彼女を裏切ってお風呂屋さんへ…」

「それでも何でも、早く追いかけて、めぐみちゃんを引き止めるのよ、どんな言い訳でもいいから、とにかく話をするの!」

「あっ、は、はい…」

そう強く言われ僕は、大慌てで交差点を渡っていった、

 

そんな様子を見ていた女衒の栄二さんが

「あらまあ、ヨッチーちゃんもやるわねー、めぐっぺに内緒でこんなお店で有名になってるなんて、やっぱり超一流だわ、ホホホホホホ…」

奇声のような笑い声を上げながら、ピンクの建物の前のマライアさんを見た 

「私…まずい時に出てきちゃったみたい…」

「あら、マライアちゃんあんたが責任感じることじゃないわよ、男がソープに行ったくらいで、あんなに怒るめぐっぺの方がどうかしてるのよ」

「で、でも…」

「いいの、いいの、ホホホホホ…」

「こらっ栄ちゃん!何をうれしそうに笑ってるの、早く私達もめぐみちゃんを追いかけるのよ!」

「えっ!?…あたしも?…」

「そうよ!あの子、すごく傷ついてるんだよ、変な事になったらどうするの?…」

「変なこと?…ま、まさか…」

「あの、固いめぐみちゃんが、あそこまで好きになった人に裏切られたのよ!…鉄君、君も一緒に探しなさい!あんたにも責任あるんだから!」

「あっ…はい…!」

お慶さんはそう言うと、大急ぎで鉄と一緒に交差点を渡り始めた、

 

「何で、あたしが恋敵のめぐっぺの心配なんて…まったく冗談ヨシコさんだわ…」

栄二さんはぶつぶつつぶやいた後、点滅する交差点を内またのおネエ走りで走っていった…

マライアさんは、そんな様子を一人複雑な表情で見つめていた…

「マライアさーん、送迎の車が出発しますよーー!」

ピンクの建物の影からワゴン車にのったヤンキー風の男が声をかけてきた

「あっ、はい、今…」

マライアさんはあわてて、そのワゴンに向かって走っていった…

 

 

そのころめぐみちゃんは、国道沿いの人気の無い静かな通りを、一人歩いていた…

「バカ…吉宗君のバカ……」

目に涙をためながら、側道脇の薄暗いガードを潜り抜け、ふっと左手を見た…そこには彼女の町からつながる多摩川の広い景色が広がっていた…

「……こんなところに?」

大きな川沿いには数艘の小船が静かにゆれていた、気がつくと彼女は、その脇の土手にぽつんとたたずんで…

「約束したのに…吉宗君のこと信じてたのに……。」

「鬼瓦興業の面接ではじめて見たとき、ふっと流れた不思議な風はいったい何だったんだろう?……」

「真剣に私のことを好きだって言ってくれた時の、あのキラキラした綺麗な目、あれも全部うそだったんだ…」

「全部うそ、うそばっかりだったんだ……」

その場にしゃがみこむと、涙をポロポロとこぼしながら、川の流れを見つめていた…

 

それからどれくらいたったか、しばらくの間泣きつづけていためぐみちゃんは持っていたティッシュで鼻をかむと、

「あー!…いっぱい泣いてさっぱりしちゃった…」

「もういいんだ、結局彼だってみんなと同じ、調子の良いただの男だったんだね…そう、風だって何だって、ただの私の思い込み…そうだ、そうだ…」

そして大きく息をすうと

「考えてみると出会ってからも、間もないし、あんな人なんて、どうだっていいじゃん…」

そう言いながら、元気に立ち上がった、その時、

 

「本当にどうだって良いの?…彼のこと…」

  

「えっ!?」

「どうだっていいなら、私がもらっちゃうよ彼…」

振り返ると、そこには見覚えのあるグラマーな女性が…

「あっ!?」

「分かるかな?私のこと…」 

「たしか、マライア…さん…ですよね……」

「マライアって、ここでその名前やめてくれる、私、本名は真里絵って言うんだ…」

「あっ、ごめんなさい…あの、真理絵…さん、どうしてこんな所へ?…」

「あなたのこと探してね、送迎のお兄さんに無理に頼んでここに来てもらったのよ…」

マライアさんはそう言いながら、土手下に止まっているワゴン車を指差した…するとその運転席からガラの悪そうな男がぬっと顔を出し大声で

「マライアさーん、みんな待ってんすからねー、急いでくださいよー!」

「はいはい、すぐ行くから、ちょっと待っててー!」

マライアさんこと真里絵さんは、車の男にそう言うと、ニッコリ笑いながらめぐみちゃんを見て… 

「女ってさ、傷つくと行くところって決まってるでしょ、公園か、川が見たくなるって、あなたが向かった方角から、きっとここだと思ったのよ…」

「はあ…」

「私も嫌なことがあった時、よく来るんだ、ここ…」

「あなたもですか?」

「うん、ここで静かに川の音を聞いてると、なんだかほっとするんだ…、でも夜はちょっとぶっそうなんだけどね…」

笑いながら、そっと川を見つめた……

めぐみちゃんはそんなマライアさんのことを、不思議そうに見ていた…

 

「ねえ、さっきの話、本当かな?」

突然マライアさんが声をかけてきた

「えっ?…さっきって…」

「ほら、彼のこと、どうだっていいって、あれよ…」

「あっ!?……」

めぐみちゃんは少しあわてた後

「はっ、はい、どうでもいいです…」

ムッとした顔でマライアさんを見た

 

「まあ、怖い顔…そっか、やっぱり私みたいな汚れた女と関係した男なんて、汚くて駄目なんだね…」

「汚れてるって!…そ、そんなこと…」

「いいのよ、どう思ったって、本当に汚れた商売女なんだから…」

「そ、そんなこと全然思ってません!」

「あら?」

マライアさんはおどけた顔でめぐみちゃんを見た…

「本当に思ってないの?」

「はい!…どんな仕事をしていたって関係ありません、それに貴方はとっても美人で綺麗な方だと思います…」

「まあ、貴方も同じこと言ってくれるんだ、彼と…」

「彼?…」

「あなたの彼氏よ…夕べ彼もそう言ってくれたのよ、私のこととっても綺麗だって…」

「吉宗君が!?」

めぐみちゃんは思わず顔を真っ赤にして目をつりあげた…

 

「ぞ、そんな、調子のいいことを…」

「えっ?」

「いい人ぶった顔して、あっちでもこっちでも、そんな調子のいいことばかり言ってたんだ、彼!…」

「あっ…ちょっと待って、誤解しないでよ、彼の言った綺麗ってそんな意味じゃ無いわよ…」

「そんな意味じゃないって?」 

照れくさそうに笑うと、

「彼ね、こんな仕事をしてる私の事を、汚れてなんかいない、真っ白で綺麗だって…別の意味で真剣にそう言ってくれたの、それもおいおい泣きながら…」

「泣きながら?…」

「そうなのよ、おかしいでしょ、初めて出会った、それも商売女の私のために、真剣にぼろぼろの顔で涙をながしてくれるなんて…」

めぐみちゃんは、一瞬、僕のぐしゃぐしゃの泣き顔を思い描いてプッと吹き出したあと、あわてて首を振った…

「そ、そんなの嘘の涙ですよ!…そうに決まってます…」

「嘘の涙?」

「彼、何かにつけてすぐに泣くんです、ただそれだけ、きっと調子のいい涙です…」

「そうかな?…調子のいい涙だったら、私も散々見てきたつもりなんだけど…」

「えっ?」

「実はさ、私、その調子のいい男にまんまと騙されて、散々お金をみつがされて、こんな仕事する羽目になったんだ…」

「……!?」

「最低の男だったわ…無理やり売春までさせられたり……」

マライアさんはそう言うと、ぐっと辛そうに唇をかんで、川のほとりを見つめた…そしてその瞳は涙でにじんでいた…

 

「ま、真理絵さん…」

 

「あっ!?、ご、ごめんねー、初めて出会った貴方にまでこんな事…」

「い、いえ…」

「彼ね、そう吉宗君だっけ、私がついつい話してしまったそんなことを聞いて、ぼろぼろと自分のことのように泣いてくれたんだ…」

「……」

「あなたが、こんな私の言う事、信じてくれるか分からないけれど、吉宗君のあの時の涙は、見せ掛けなんかじゃない、まっすぐな綺麗な涙だったよ…」

「………」

マライアさんの言葉を聞きながら、何時しかめぐみちゃんは目に、うっすらと涙が浮かび始めていた…

 

「めぐみちゃん…だよね、」

「はい…」

「彼は口先だけの男じゃないって、本当はそうじゃないって、貴方が一番わかってる事なんじゃない?…」

「私が?」

「そう、だから彼のことを好きになったんでしょ…あなたも…」

 

「で、でも吉宗君、私に約束してくれたんです、お風呂屋さんには行かないって…真剣な目で約束してくれたんです…。それなのに……」

めぐみちゃんはポロポロ涙を流しながらうつむいた、そんな彼女の事を見ていたマライアさんは、ふっと明るい笑顔を浮かべると… 

「あの子、あなたとの約束、破ってなんかいないよ…」

 

「えっ?」

 

「信じられないことに…彼ね、うちの店、スケート場だと思って連れられて来られたんだって…」

「スケート場!?」

「そう、滑りに行くって銀ちゃん達に言われて、みんなでスケートをするんだと思ってたんだって…普通じゃ考えられないけどね…」

「ま、まさか…」

めぐみちゃんは驚きで目を丸くしながら、僕との数々の思い出を頭に描きはじめた…

 

「そ、そう言えば、初めて一緒に仕事をした時も、私のことを指名手配の犯人と間違えてかばってくれようとしたことが…」

「指名手配!?…なにそれ…」

「それから、会社の面接だって、仕事内容がテキヤさんだって確認もしないで、リクルートスーツで元気いっぱいに現れたり…」

「へえ、やっぱり、すごーい天然だったんだ…ははは…」

「はい、他にもいろいろと…」

「どう?まだ、それでも、私の言うこと信じられないかな…」

 

「あっ…いいえ、確かに吉宗君だったら、そんな事もありえるかなって…」

めぐみちゃんは一瞬、明るい顔を取り戻した後、はっと何かを思い出して再び暗い顔にもどってしまった…

「どうしたの?…またそんな顔して…」 

「だって、たとえ間違えて入ったとしても、吉宗君、……し、したんでしょ、真理絵さんあなたと……」

 

「したって…あっ、ああ、あれ?…」

 

「あっいや、あの…」 

めぐみちゃんは恥ずかしそうに頬をそめた…

「やっぱり、そっちの方って、気になるよね……」

「………」

うつむきながら首をコクリと縦にふった…マライアさんは一瞬いたずらな表情で笑うと、

「彼、すごかったわよーー、激しいのなんのって、もう私もメロメロになっちゃってさ…」

「メッ、メロメロー!?」

めぐみちゃんは真っ赤な顔で震えながら、マライアさんを見た…

 

「う、うそよ、うそ…信じられないかもしれないけれど、彼、まだチェリーボーイよ…」

「えっ!ど、どうしてですか?」

「このナイスバディーの私が迫ったっていうのに、実は彼、逃げ出しちゃったのよ、失礼なやつでしょ…、だから、何にも無いの…」

「何にもって、嘘です…だって、さっき入り口で他の人たちが、吉宗君と真理絵さんが廊下で裸で絡み合って立って…」

めぐみちゃんは必死な顔でマライアさんを見た…

 

「ああ、あれ…あれね…はははは…」

「笑ってごまかさないでください!」

「だってさ、あれには私も参っちゃったからさ…」

「参った?…」 

「実はさあ…思い出しても恥ずかしくなっちゃうんだけど…」

マライアさんは照れくさそうに笑いながら、ハメリカンナイトでの一件を語り始めた…

 

「そう、たしか無理やり彼の服をぬがせて、マットプレイに入った直後…」 

 

(駄目ですーーーーーーーーーー!!)

 

「あの子、私の下で、あわててそう叫びはじめてね…」

 

(だめ、だめーーーー!、お風呂屋さんはダメです…絶対にダメなんですー!!) 

「大声でそう叫びながら、私から必死に逃げ出そうと、もがきはじめたのよ…私もびっくりしてね…」 

(あーーちょっと、どうしたのよ急に…そんなに動いたら、危ないって!!)

「あわててバランスをとろうとがんばったんだけど、ローションだらけで、ぬるぬるの体じゃ抑えることができなくて、私達そろってマットの下の床に、ぬるーんって、からまりながら滑り落ちちゃったの…」

  

(い、、痛い、ど、どうしたのよー、)

(ごめんなさーーーい、マライアさん、お風呂屋さんだけは、だめなんですーー ー!!)

 

「彼ぬるぬるの身体でそう叫びながら、私の下から、抜け出して…」

 

(ごめんなんさい、マライアさん!僕、帰りますーー!!)

 

「大声でそう叫んだあと、あわてて外に向かって走ろうとしたの…ところが体はローションでぬるぬる…」

(あーー危ない、そんな体で走ったら…) 

(うわーー!)

ぬるり~んsweat01

ぐしゃーーー!!

  

「私が忠告したにもかかわらず、彼滑って転んで、床に向かって顔からダイブ…」

 

(だから言ったのに、どうしたのよ…そんなに慌てて…) 

(だめなんです…お風呂屋さんだけは、ダメなんです…約束なんです…)

 

「彼ね、大声でそう叫びながら、必死にあなたとの約束を守ろうとがんばったのよ…」

「…よっ、吉宗くんが!…」

めぐみちゃんは目をキラキラさせながら、マライアさんを見た…

「で、でも、どうして廊下で…」

「それがね、あの子ったら…ぬるぬるのローションまみれの身体で外に向かって走って逃げようと、まーた、がんばりはじめちゃって…」

 

ずるーっ!!どてーー!!、ずるー!!どててー!!

 

「まるで特番でローションまみれになている芸人さん見たいに何度もこけては立ち、こけては立ち、やっとの思いで部屋の入口についたのは良いんだけど、扉の手前で、足を滑らせて、頭から扉を突き破って、ぬるぬるの身体で廊下に飛び出していっちゃったの…」

 

「えーー!?」

  

(あーー、ちょっと、お兄さんー!そんなかっこで外に出ちゃダメだってーーー、まってー) 

「そう言いながら、あわてて追いかけたんだけど、気がつくと私の体にもぬるぬるのローションがたっぷり、」

ぬる~sweat01

(きゃーーーー!!)

 

「扉の手前でおもいっきり仰向けに転ぶと、そのまま恥ずかしい姿で、私まで廊下に向って飛び出してしまったの…」

「まっ、真理絵さんまで!…」

「そうなのよ、おまけに私が恥ずかしいポーズで滑っていく先にあの子が…私あわてて叫んだんだけど…」 

(あーーー、ちょっと、どいてどいてーーー!)

(どわー、な、なんらーー!!)

ぶしゅあああーーーーー!!

「きゃあーーーーーーーーーーー」

「ぶぉあーーーーーーーーーーー」

つるぅーーーーーーーーーーーーーーーーsweat01

 

「気がついた時、彼と私は、くるくる回りながら廊下の端まで滑って行ってしまって…そんな騒動を聞いて、マネージャーと銀ちゃん、それに、お店の連中が出てきちゃって…」

  

(あーー、お、お前、吉宗じゃねーかーーーー!!)

(うわー、さすがは兄貴だー廊下まで使って豪快に滑っちまうなんてーー!?)

(お客様・・・出来ましたらマットプレーはお部屋の中でおねがいします・・・)

 

「マネージャーと銀ちゃんたちが、驚いて見ている中、私達は廊下の隅で、ぬるぬるの体で、からまりあっていた……恥ずかしいけれど、これが真相よ……」

 

マライアさんは、すべて話した後、照れくさそうに顔を手で隠した…

 

「そ、そんなすごい面白い事件が、くっくっくっく……」

めぐみちゃんは思わず、お腹を抱えて笑い始めてしまった…

「わ、笑い事じゃないでしょ、あなたの彼氏のせいで、私がこんなひどい目にあったんだよ…あ~ぁ、思い出すだけで、また恥ずかしくなってくるわ…」

 

「ご、ごめんなさい、真理絵さん…あんまりおもしろかったもんだから…」

 

「確かにはたから見ればコント見たいだけど、これが夕べの出来事よ…どう?信じてもらえる?」

「うふふふ、はいっ!…信じられます…吉宗君だったら、それくらいの事、ありえるかなって…」

「それくらいって、すごいことよ…これって…」

「でも、彼だったら…」

めぐみちゃんは何時の間にか、いつもの明るい彼女に戻って微笑んだ

 

「それじゃ、もう一度伺いますけど、今の話聞いても、あんなやつ関係ないのかな?」

「えっ!?」

「関係ないって言うなら、あなたに代わって私がもらっちゃうわよ…めちゃめちゃ、おちゃめでかわいいし、それにルックスだって私好みだしね…」

 

「だっ、駄目です!!」

 

「あら?」

「駄目です、駄目です…吉宗君は絶対に渡しません!!」

めぐみちゃんは、真剣にそう言ったあと、楽しそうにケラケラと笑い始めた…

 

マライアさんは、そんなめぐみちゃんにやさしく微笑むと

「そんなに大切な彼だったら、早くもどってあげなさい、彼、悲しくておいおい泣いてたわよ…」

「はっ、はい…」

めぐみちゃんは、元気にうなずくと、あわてて土手を下り、そこで再びマライアさんの事を見上げ

「あっ、ありがとう、本当にありがとうございましたー!…」

深々と頭を下げると、来た道を走って戻って行った、

 

マライアさんはそんな彼女の後姿を、うれしそうに見つめていたが、

「マライアさん、まだですかーー!」

ワゴン車の中から響いてきた男の声を聞いた瞬間、ふっと暗い表情を浮かべた…

「ねえ、マライアさんってば…」

「ちょっとうるさいわね…、マライア、マライアって、外でその名前呼ぶのやめてくれない…」

「あっすいません…マライアさん、じゃなかった真理絵さん…」

「そう、それでよろしい、お店から出れば、もう私はソープ嬢でも何でもない、ただの一人の少女なんだからね」

「しょ、少女っすか?へへへ…」

「何がおかしいのよ、ふふふ…」

マライアさんは、にっこり微笑むと、土手をくだって、他のお姉さん達の待つワゴン車へと戻って行った…

 

「ねえ、真理絵ちゃんどうしたのうれしそうな顔しちゃって、何があったの?…」

ワゴンの中から一人の女性が声をかけてきた

「えっ、あぁ…、ちょっとだけ昔の幸せだったころを思い出しちゃってさ…」

マライアさんはそうつぶやくと、ワゴン車の中に乗りこんだ

 

「真理絵さん、めちゃめちゃ可愛かったけど、あの子はいったい誰っすか?…」

遠ざかるめぐみちゃんの後姿をじろじろ見ながら、送迎の男がつぶやいた

「誰でもいいでしょ、あんたみたいな男とは一生関係ない子よ…」

「えー、ひでえなー」

男は膨れながらギアを入れると、狭い路地に向って走りはじめた、と同時に前から一台の黄色いバスが姿を現した…

 

「あらー、まいったな、前からでけえのが来ちまったよ、道狭いし交わせねーな…」

「あれって幼稚園のバスじゃない、ねえ、下がってあげなよ」

「ちっ、しかたねえな…」

男はそう言うと、めんどくさそうにギアをバックにいれて道幅の広い元の場所までバックした

「はーい、どうぞーって、親切だろー俺って…」

そう言いながら、バスの運転手の顔を見て笑いながら手を上げた、

ところが黄色い幼稚園バスの運転手は、道を譲られながらも、挨拶するどころか、ぼこぼこにはれた顔で、じろっとこちらを睨みながら通り過ぎていったのだった…

「なんだよ、あの野郎、せっかく人が下がってやったのに挨拶するどころか、ガンくれて行きやがって……むかつく野郎っすねー…」

男はそう言いながら後ろの座席を振り返った…するとそこには、青ざめた顔で通り過ぎたバスをじっと見ているマライアさんの姿が…

 

「あれ、ねえ、真理絵さんどうしたんっすか?すげえ怖い顔して…」

 

「……あ、あいつ……」

 

「えっ?あいつって…あっ!そうか、あったま来たんすね、あのバスの運転手、まったくムカつくっすよねー!」

マライアさんは、めぐみちゃんが走って行った方角と、同じ方へ走って行こうとする黄色い小鳥の絵のついた幼稚園バスをじーっと怖い顔で見ながら、

「みっ、三波……!!」

唇を震わせ、小さな声でつぶやいたのだった…

続き
第84話 めぐみちゃんが危ない!!へ

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2009年4月10日 (金)

第82話 吉宗君なんて…最低!

ここがなぜデンジャラスな場所か?…それは背後にそびえたつピンクの建物、そう、僕が昨日入ってしまったソープランド、ハメリカンナイトの前だったからなのだった…

(お慶さんと追島さん、そしてユキちゃんが、また家族に戻れる…)

その事で頭がいっぱいになっていた僕は、迫りくる不吉な影に気づくこともなく、めぐみちゃんと二人、手を取りあって喜んでいた

 

「それじゃ、急いで戻って、このこと追島さんにお話しよう、吉宗君!」

「うん、そうだね、急ごう…」

「あらあら、ヨッチーちゃん達、ずいぶんと気が早いわね、そんなに浮かれて、追島ちゃんが納得しなかったら、どうするつもり?」

「え!…あっ!?…」

「大丈夫よ吉宗君、その時は鬼瓦のおじちゃんとおばちゃんに、相談すればいいじゃない…」

「そうか!親父さんに相談すればいいのか、さすがめぐみちゃんだ…」

「お慶さん、後は私達に任せてね!さあ、行こう、吉宗君…」

「うん!行こう!」

僕はめぐみちゃんに微笑むと、おおはしゃぎで後ろを振り返り、思わずはっとした…

(うあっ!、そ、そうだった、ここ、ハメリカンナイトの前だったんだ…)

 

「どうしたの?吉宗君急に…」

「あっ、いや、べつに、はは、ははは…」

僕が作り笑いを浮かべたその時だった…

「マネージャー、お疲れさまでしたー」

「お疲れ様でーす」

ピンクの建物の中から、数名の綺麗なソープ嬢のお姉さん達が出てきてしまったのだった…

(どわー、ま、まずい!この中にマライアさんがいたら…)

僕はひきつった顔で、彼女達を見た、が、運よくその中にマライアさんの姿は無かった…

 

(ふわーー、よ、よかったー、とにかく急いでこの場から離れないと…)

そう考えた僕は

「さあ、めぐみちゃん急ごう!」

彼女の手を握って、そのデンジャラスゾーンからの脱出を図ろうとした…

 

ところが、そうはイカのちんちんタコが引っ張る、なんとその中にいた一人の女性が、

「あー、君、昨日のお兄さんじゃない!」

金髪の鉄に向って、うれしそうに話しかけてきたのだった…

声をかけられた鉄も、ほっぺをピンクにしながら、

「あーーーー!、キャサリンしゃーーん!」

だらしなーい顔で叫んだ…

 

(どうあーーー、な、何とーー!!)

ほっとしたのもつかの間、何とそのお姉さんたちの中に、鉄が夕べお世話になったキャサリンさんが…

(ま、まずいーーーー!)

僕はあわてて隣のめぐみちゃんを見た…

「…………??…」

そこには首をかしげながら、鉄とキャサリンさんを見ている、彼女の姿が…

「あ、あの…めぐみちゃん、い、急いでもどらないと…」

僕がおそるおそる声をかけると

「まって!」

めぐみちゃんは眉間にしわを寄せながら

「よ、吉宗君…今あの人、鉄君のこと昨日のお兄さんって言わなかった?…」

「えっ?あ、いや、そんなこと言ったかな?…」

「どうしたの?何で吉宗君、そんなに慌ててるわけ?」

「いや…あわててる訳じゃ…」

「おかしいよ、何か私に隠し事してるんじゃない?」

真剣な顔を僕に向けて来た

「あっ、いや…」

 

そんな大ピンチのさなか、キャサリンさんは鉄にとんでもない言葉を… 

「そうだ、お兄さん、昨日の彼は一緒じゃないの?ほら、マライアちゃんと廊下でアワ踊りした、あの面白いイケメン君…」

 

(どわーーーー、よりによって、ここでそんな事ーー!!)

 

僕はキャサリンさんに見つからないように、あわてて横を向いた…

しかし、ついに恐怖の時限爆弾、金髪の鉄が

「あー、兄貴のことっすね…でへへー、兄貴だったら、ここっすよーー!」

ドカーーン!と、ついに大爆発!

うれしそうに僕の事を指差してしまったのだった

(鉄ー、こらバカーーーー!)

 

「あー!、本当だーー!昨日のお兄さんだーー!」

キャサリンさんは、僕を見つけてうれしそうに、はしゃぎ始めると、隣にいたお姉さんたちに、

「ねえ、ねえ、このお兄さんよ、さっき話した、夕べの面白いお客さん…」

「えー、この子ー?部屋から飛び出して、全裸でマライアちゃんと絡み合ちゃった、豪快な男の子って…」

「キャー、何よ!かっこいいじゃない…」

キャサリンさんとソープ嬢のお姉さんたちは、まるで芸能人を見つけたように僕を見てはしゃぎはじめた…

(どわーー、何てことを…)

僕はあわてて隣のめぐみちゃんに目を移した…すると、そこには引きつった顔の彼女の姿が…

 

「あっ、あの、めぐみちゃん…」

 

「そう言う事だったんだ…鉄君が言った廊下で豪快に滑るって…」

 

「えっ…!」

 

「この中で、アワだらけになって、裸の女の人と絡みあうって、そう言う事だったんだ…」

めぐみちゃんは体を震わせながら、ハメリカンナイトのピンクの建物を指差した…

と同時に、

「マネージャー、お疲れ様でしたーー」

まるで僕に止めをさすかのように、中から一人のグラマーな女性が姿をあらわしてしまった

「ぐあーー!?」

僕はその女性を見たとたん、金縛り状態に…

「あれー!君!?」

グラマーな女性は僕に気づくと、うれしそうに笑った、そう、その女性こそ夕べ僕がお世話になってしまった、爆裂バディーのマライアさん、その人だったのだった…

 

(終わった…何もかも……)

 

僕は、その場で真っ白な灰になってしまった…

 

「どうしたの?お兄さん、お仕事終わっ……あっ!?」

マライアさんは、僕に近寄りながら隣のめぐみちゃんの姿を見て、おもわずハッと驚きの顔を浮かべ

「あっ!あなたも…、い、一緒だったの!?」

動揺しながらめぐみちゃんを見た…

 

「そ、そういうことだったんだ…、吉宗君、私のこと、騙してたんだ…」

めぐみちゃんは目に涙をためながら、僕をにらみつけた…、

「信じてたのに、私…吉宗君のこと信じてたのに…みんなで私のこと騙してたんだ…」

「ヒガフ…ホヘヒア…ワヘア…」

必死になって弁解をしようも、金縛り状態の僕は、言葉出すことができなかった…

「ねえ、何よ!何言ってるんだか分からないってば!」

めぐみちゃんは、大粒の涙をぼろぼろと流し顔をぐしゃぐしゃにしながら、僕にそう叫んだ…しかし、僕は相変わらず…

「はが、はが…」金縛り状態…

彼女はキッと怖い顔で睨むと

  

「吉宗君なんて、最低ーーー!」

ガゴー!

持っていたポーチを思いっきり僕の顔面めがけて投げつけ、その場から走り去ってしまった

「はー、まっへーー!」

僕は必死に追いかけようとした、しかし金縛り状態の足が邪魔をして、彼女を追う事が出来なかった…

 

「な、何やってるの吉宗君!はやく追いかけなさい!」

お慶さんはそう叫ぶと

「めぐみちゃん、待ちなさい!」

僕に代わって彼女を追いかけた、しかしめぐみちゃんが渡り切ったと同時に国道の信号は赤に…あふれるかえる車にさえぎられて、お慶さんもそこから先に進むことができなかった…

 

「うわーーーーー、めぐみちゃーーん!」

大声と同時にやっと金縛りから開放された僕は、必死に彼女を追いかけようとした

しかし僕とめぐみちゃんを無常にも引き裂くかのように、国道には猛スピードで通過する車の波が、途切れることなく続いたのだった…

 

(めぐみちゃん…めぐみちゃん…)

僕は通り抜ける車の隙間から見え隠れする、小さくなっていく彼女の後ろ姿を目で追いながら、ポロポロと涙をこぼしていたのだった…

続き
第83話 爆裂!マライアさんとめぐみちゃん へ

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2009年4月 7日 (火)

赤ちゃんうさぎ誕生^^

吉宗君が大変な時だというのに、なかなか更新できずごめんなさーいcoldsweats02

近日続きはアップしまーす…

さてさて、仕事が忙しいのもさることながら、実のところまたまた赤ちゃんうさぎの誕生

Pic_0066

毎日でれでれ状態ですっかりお笑い漫画職人光一郎から、土木のおじさんモード全開となってしまっていました

更新が遅れているお詫びに、かわいいーーぃ赤ちゃんうさぎの映像アップしますねhappy01

さーてさて、デンジャラスゾーンで喜びにしたっている吉宗君sign03

彼の身にいったい何がおこってしまうのでしょうか…

本当に近日アップしまーーすcoldsweats01

うさぎさんの近況をもっと知りたい方は、
こちらへどうぞーdown

おじさんとうさぎ

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