« もう少しだけ、お待ちくださーい(汗 | トップページ | 激突!フライデイフライトvsニードルポイント »

2009年5月18日 (月)

第84話 めぐみちゃんが危ない!!

「おう、三波、わりゃー調子のええこと抜かしおって、さっきから川崎の町くるくるまわっとるだけやないか!」

保育園バスの後部座席に、どっかと腰を下ろした西条竜一は、不機嫌な顔で、イケメン三波に声をかけた…

「あの…もう少しで何とかしますから…」

「何とかって、われ、めぼしい女のところ電話しても、全部断られとるやないか…」

「いや、あの…たまたまみんな用事があったみたいでして、ははは…」

「何がたまたまや、このアホ…えらそうにイケメンとか抜かして、我は顔だけで中身は空っぽなのがバレバレなんや…」

「空っぽって、西条さん、それは無いですよ…」

「ほんまのことやろが…、おう、約束は約束やからの、きっちり素人娘ごちそうせいよ!…でけんかったら、ただじゃおかんぞ!」

西条は三波を睨み吸えると、近くに席に置いてあった、小さな黄色い帽子に目を移し…

「なんや、忘れもんかいな…!」

手にとりながら、ふっと表情を曇らせた…、しかしすぐにもとの冷めた目つきにもどると、

「ケッ、アホらし!」

小さな帽子を自分の頭の上に乗せ、ぐっと深く腰をおろし、大声を張り上げた…

「おい!三波ー、早うせいよーーーー!」

「は、はい…」

三波は額に汗を流しながら、ミラー越しの西条に頭を下げた… 

「ハイって、ほんまに分かっとるんか…、だいたいここは何処やねん?…こんな人気の無いところ入ってきて、どうやって素人娘引っ掛けるちゅうんや?…」

「それがですね、実はこの先の土手が以外に穴場で、いい女がポツンと一人でいることがあるんすよ…」

三波は苦笑いを浮かべながら、土手へ向かう細い路地に入って行った、とその時、前から一台のワゴン車がバスの前に現れた…

 

「おい、下がれ下がれ、ここじゃかわせねーよ、このバカワゴン車…」

三波は目を吊り上げながら、前方でじっとしているワゴン車を睨みすえた…ワゴン車の中からもヤンキー風の男がしばらくじっと三波の様子を見ていたが、やがて、するすると後ろの広い通りに下がっていった…

「さっさと下がれっての、このばーか!…」

三波は捨て台詞を吐きながら、すれ違いごしに、ワゴン車の運転手をジロッっと見たあと、土手へ向かって園バスを走らせたのだった…

 

 

そのころ僕は…

「めぐみちゃーん!めぐみちゃーん!!」

大声で叫びながら、彼女が向かった国道脇の通りを走っていた…

「めぐみちゃーん!どこにいっちゃったんだよーー!」

僕の頭の中に、大粒の涙をこぼしていためぐみちゃんの姿がよみがえってきた…

(あぁ…あんなに彼女を傷つけてしまうなんて…僕は…僕は最低の男だ……ごめん…ごめんよ、めぐみちゃん!…もう絶対に行かないから、お風呂屋さんになんか行かないから…だから、お願いだから許して…そして姿を見せてよ…)

 

「めぐみちゃーーーーん!」

悲痛の叫び声をあげた、その時だった…

ガサガサ!

前方に見える土手の草むらが、かすかに揺れ、その中に小さな人影が写った… 

「め、めぐみちゃん!?…、」

「………」 

「そ、そこにいるのは、めぐみちゃん?…」

カサカサ…

「………」

「やっぱり、めぐみちゃんなんだね…」

カサカサ、カサカサ…

草むらの人影は、僕の声に反応するように、あわてて動き始めた

「待ってー、お願いだから僕の話を聞いて!!」

「………」

草むらの影は、じっと動きを潜めた…

「めぐみちゃん……、そんなところに隠れたりして…、ごめんよ、本当に君のことを傷つけてしまったんだね……」

じっと草むらに隠れている彼女の影を見て、熱い思いを抑えきれず、僕の眼には大粒の涙があふれかえっていた

「ごめんよー、めぐみちゃん……ごめんよーー!!」

気がついた時、僕は全速力で草むらに向かって走っていたのだった…やがて彼女が身を潜める草むらの前に立った僕は、

「めぐみちゃーん、ごめんなさーい!」

大声で叫ぶと同時に、彼女の前に覆われた草むらをがばっと掻き分け、

「えっ!?」

思わず点になった目で、固まった…

  

「えっ?…えっ?…」

 

僕の目に写ったのもの、それは、茶髪のパンチパーマに口ひげを蓄えた、鋭い目つきのめぐみちゃんだったのだ…

「な、なんで?…」 

「なんで?じゃねーだろ、この野郎…」

「あーー!?」

聞き覚えのあるその声に僕はハッと我に帰った、

「もしかして、ぎ、銀二さん!?」

「もしかしなくてもそうだ、このバカ!」

「なっ、何やってんですか、こんな所で?…」

「な、何って見りゃわかるだろうが!」

銀二さんは恥ずかしそうにしゃがんだままで叫んだ…

「えっ?見ればって…?…あーー!?」

そこには下半身すっぽんぽんで、草むらにしゃがみこみ、片手にティッシュを握り締め、じーっと脂汗を流している銀二さんの姿があったのだった…

Ginjitoile  

「あーー、ご、ごめんなさい!!」

「ごめんなさいって思ったら、あっち行けー、バカーーー!!」

「あっ、はひー!」

僕はあわてて銀二さんの超恥ずかしい現場から離れると、

「めぐみちゃーん、めぐみちゃーん…」

ふたたび、彼女を探して走りはじめた、

 

「あんにゃろう、人が仁義きってる時に…何なんだ、まったく!…」

 

「ねえ、銀ちゃん…どうしたの~、今のだ~れ~…」

少し離れた草むらから、はだけたブラウスから片パイをプルリンっとさらけ出した、それはおバカ風のお姉さんが声をかけてきた…

「俺の仲間だ…」

「ふーんテキヤさんだ~、…それより銀ちゃん、ま~だ~…」

「わりいな…なんか腹の調子悪くてよ、ばっちり仁義切リ終わったら、また俺の真珠入り、たーっぷり食わしてやっからよー!楽しみに待ってろって…」

「分かった…待ってる…」

おバカ風なお姉さんは、片パイをさらけ出したままつぶやくと、再び草村の茂みの中に姿を隠した、銀二さんはそんなおバカ姉さんの事をあきれ顔で見た後、ふっと不思議そうに首をかしげながら

「あれ!?そう言えば、さっきあいつ、めぐみちゃんごめんって泣いてたけど……ま、まさか…」

青ざめた顔で、遠ざかる僕の後姿に目を移したのだった…

  

 

   

国道を挟んで反対の土手では、三波が園バスを止め、窓からあたりを見渡していた、しかし数艘の小船が風で揺れているだけで、人影など何も無い光景にがっくりくると

「だめだ…ここにもいい女なんて落ちてねーっすわ…」 

渋い顔で後部座席の西条に振り返った

「こんな所に女が落ちてるわけ無いやろが…お前はやっぱりアホや…こないなアホの言うこと信じたワイもアホやった…もうええ、そこ曲がって堀の内行くで、銭はお前の貸しや、あとできっちり金利つけて返しいや!」

「あっ、あの、ちょっと、もう少しだけ…」

三波は、車の窓を閉めると、あわててバスを走らせた、そして、土手沿いの道から、小さな通りに入ったところで、急に目を輝かせた…

 

「あっ、いたいた…!」

三波の目線の先に、小走りで大通りへ向かう女の子の後姿が…

「西条さん、落ちてましたよ…、今度こそきっちり御馳走しますんで…」

「ほう、スタイルはよさそうやの…ツラはどうや?ツラは…」

「今、横通りますから、吟味してくださいよ…」

三波は言うと同時に、アクセルを踏んで女の子の脇を通り過ぎながら、いやらしい目で顔をのぞき見た…そして一瞬不思議そうに首をかしげると、

「あっ、この女?」

大声で叫びながら、車のブレーキに足をかけた…

三波が見た女の子、それは、うれしそうに僕の元へ向かおうとしている、めぐみちゃんだったのだ…

 

「何や?三波…知ってる女か?…」

「はい、昼間出会った、テキヤの女です…」

「テキヤの女?」

西条はそう言うと、後ろの座席からそっと、めぐみちゃんの顔を覗き見た…

「ほーう、少しばかし青臭いが、ええ女やないか…で、何処の組の女や…」

「何処って、西条さん、追島の所に生意気な若いテキヤの三下がいるんすけど、この女、その野郎のこれですよ…」

そういって小指をつき立てた… 

「何!、追島の所の三下の女?…」 

「どうしますか?西条さん…」

「どうするも、こうするもあるか、追島に関係あるんやったら、なおさらのことや、さらってでもここに連れてこんかい!」

「分かりました、それじゃ、西条さん、ちょっと頭下げて、隠れててください…」

三波はそう言うと、今までの魔性の顔から、突然さわやかな保父さんの顔へと表情を変貌させた、そして車の窓を開けながら、 

「めぐみさーん!」

キラキラ光る瞳で、元気に声を発しながら手をふったのだった…

 

「えっ?…」

めぐみちゃんは、いっしゅん驚きの顔をうかべたが、手を振る男が三波だと気がつくと、

「あっ三波先生だったんですか…こんばんわー!」

笑顔で頭を下げた…

「いやあ、びっくりしたな…こんな所でめぐみさんに会えるなんて、はははは…」

「私もびっくり、急に名前を呼ばれて、誰かと思いました…」

めぐみちゃんはそう言いながら、三波の運転する保育園バスを見た

「三波先生、まだお仕事中なんですか?…」

「えっ?…あっはい、実は夜間保育の子の送迎の途中なんです…」

三波は園バスの後の座席からちょこんと見えている黄色い帽子を指差した…

「大変ですね…こんな時間まで…」

「いやっはは、僕の大好きな仕事ですから…全然大変じゃありませんよ、はははは…」

さわやかに白い歯をきらきらさせた…

「本当に子供たちの事がお好きなんでね、三波先生…」

「いやっははは……ところで、めぐみさんはどうしたんですか、こんな時間に、こんな所で…」

「あっ、あのちょっと…」

「ちょっとって?…」

めぐみちゃんは少し困った顔で

「実は事情で彼、吉宗君とはぐれてしまって、それで探そうと思っていた所なんです…」

 

「吉宗君とはぐれた?…」

三波はそうつぶやくと同時に、ギラッと目を輝かせた…そして急に、驚きの顔を浮かべると

 

「あれー、彼だったら今しがた見ましたよ…向こうの大通りを渡って、うちの保育園の方へ走って行くところを見た見た…」

 

「えっ!三波先生の保育園の方へですか?…」

「はい、なんだか一生懸命走ってましたけど…」

「吉宗君が走って?」

「はい…」

「ありがとうございます、三波先生…それじゃ私も急いで追いかけます…」

めぐみちゃんはうれしそうに眼を輝かせると、通りに向って走ろうとした、三波は一瞬口元を吊り上げほくそ笑むと

「あっ、待って、めぐみさん!…」

ふいに大声で彼女を呼び止めた 

「はい?…」

「よかったら乗って行きませんか?…」

「えっ?でも…」

「実は最後の一人、園の近くの子なんです、どうせ同じ方向だし、それに彼、全力で走ってたから、車じゃないと追いつけないかもしれないでしょう…」

三波はさわやかな笑顔を向けた、めぐみちゃんはふっとバスの後部座席で揺れる小さな黄色い帽子に目をやった、

 

「ああ、実はね、あの子も最後で寂しがってて…めぐみさんが少し相手してもらえると、僕も助かるんです…」

「そうなんですか?…」

「はい、できたらお願いします、めぐみさん…」

めぐみちゃんは再び後部座席で揺れる黄色い帽子を確認すると、

「私でお役に立てるんでしたら……、あの、それじゃ三波先生、よろしくお願いします…」

可愛い笑顔で三波に頭を下げた

 

「さあ、そうと決まれば急いで乗って下さい、早くしないと彼に追いつけないでしょう…」

三波は笑いながら、運転席の反対側にあるバスの扉を開いた…めぐみちゃんは小走りでそれに近づくと、

「それじゃ、よろしくお願いします…」

頭を下げながら、ひばり保育園の黄色いバスの中へ、恐ろしい魔物が潜んでいるとも知らず、足を踏み入れようとしていたのだった……

続き
第85話 消えためぐみちゃんへ…

イラストカットは近日アップします^^

Megulank_3
青いボタンのどれか一つと下の恐いおじさん達のイラストをポチしてねlovely
にほんブログ村 小説ブログ 学園・青春小説へ にほんブログ村 小説ブログ コメディー小説へ
Banar←これも押してくれるとうれしいのらーcrying

good↑侠客☆吉宗くんの他、楽しい
ブログがいっぱい紹介されているサイトです^^

 

|

« もう少しだけ、お待ちくださーい(汗 | トップページ | 激突!フライデイフライトvsニードルポイント »

第一章 侠客鬼瓦興業」カテゴリの記事

コメント

更新お疲れ様ですuphappy01


やっぱり三波イヤgawk
めぐみちゃんっ、なんとか無事で…bearing


銀二さんノグ○てcatface

投稿: けんさぁ | 2009年5月18日 (月) 10時15分

けんさぁさん、ありがとうございますーcoldsweats01
今回はちょっとサボりすぎてバナナも効かないくらい頭がピーマンになってましたがどうにかアップできましたcoldsweats01

さてさて、これからどうなって行く事か、吉宗君がいったい何をやらかすか、書いている私もたのしみですnote

もうじきダービー、仕事が手につきませーんhappy02

投稿: 光一郎 | 2009年5月19日 (火) 10時36分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/166831/45018852

この記事へのトラックバック一覧です: 第84話 めぐみちゃんが危ない!!:

« もう少しだけ、お待ちくださーい(汗 | トップページ | 激突!フライデイフライトvsニードルポイント »