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2009年6月

2009年6月27日 (土)

第88話 吉宗君とめぐみちゃん、涙の再会!

「はぁ、はぁ…めぐみちゃん…今行くから、僕が…助けに、行くから…はぁ、はぁ…」

多摩川の最下流に沿って立ち並ぶ倉庫街、僕はすごい行相でママチャリをこぎながら、めぐみちゃんを連れ去ったバスを探し続けていた…バスにはあの2mのスキンヘッド熊井さんを襲った凶悪な男が乗っている、でも、その時僕はめぐみちゃんを救うことだけに頭がいっぱいで、不思議と恐怖は感じていなかった…

「絶対に……僕が助けに行くから…絶対に、絶対に…」

ところが走っても走っても、あたりは静まり返った倉庫だらけ、

「いない、ここにもいない…たしかに、感じたんだけど…こっちの方でめぐみちゃんが助けを呼んでいるのを…あれは、錯覚だったのかな……」

僕は古びた倉庫の前で自転車を止めると、一瞬、あたりをきょろきょろと見回した…と、その時だった、

ガサガサ…

先の大きな倉庫脇で小さな物音が…

「あっ…あそこか!?」

あわてて自転車のペダルを踏み込むと、古びた倉庫の前から離れ走りはじめた、

「めぐみちゃん!」

叫びながら音がした倉庫へ、ところがそこには…ニャー、ニャー…数匹の子猫が鳴いていただけで、まったくバスの気配すらなかったのだった…

「はぁ…やっぱり、錯覚だったのかな…」

僕は不安な気持で、倉庫街をさらに奥へ向かって走っていった…

  

 

僕が一瞬立ち止まった古びた倉庫、実はその裏手の暗い駐車場に黄色いバスはひっそりと止まっていた…

バスの中ではイケメン三波が、眠っているめぐみちゃんを、恨めしそうに見つめていた…

「おせえなー、西条さん…もう我慢も限界だぜ…」

三波はバスの入り口をキョロキョロと見た後、めぐみちゃんにぐっと顔を近づけ、

「しかし、間近に見ると、まじ可愛いかも…、ますますそそられるな、こいつ…」

いやらしそうににやけながら、彼女の上にかけられた上着をそっとめくった、そこには透き通るような白い肌とかわいいブラが光っていた…

「かー、たまんねーな…、早くやりてー!…」

三波はむくっと顔をあげて再びバスの入り口を見ると

「西条さん、当分来ないみてーだな…、どうせ後で犯しちまう女なんだ、ちょっと見るぐらいは…」

ニヤニヤしながら、めぐみちゃんのブラをはずそうと胸に手をかけた、と、そのとき、

ガタ!

バスの入り口で大きな物音が響いた、

「やっ、やば!?」

三波はブラから手を放すと、あわてて彼女の肌に上着をかぶせた、そして何事もなかったように顔をあげると 

「さっ、西条さん…遅いですよー!」

ごまかしながらバスの入り口を見て、ハッと驚いた 

「てってめえは!?」 

イケメン三波の先に立っていたのは、西条ではなく、怒りに体を震わせながら仁王立ちしている、僕の姿だったのだ…

  

「みつけたぞ三波!…めぐみちゃんはどこだー!!…」

「なっ、何だてめえ、どうしてここが!?…」

「めぐみちゃんは何処だー!」

僕は再び叫んだ後、三波の横でひっそりと目を閉じているめぐみちゃんの姿に気がつき

「ぐっぉおおおおおーーーー!」

まるで獣のような雄たけびをあげた…

「めっ、めぐみちゃんが…めぐみちゃんがーー!?」

僕は怒りで体を震わせながら、イケメン三波を睨み据えた 

「三波ーー、よくも、めぐみちゃんをーーー、この野郎ーーーー!!」

まじめ一筋だった僕が、こんな言葉を発するなんて、そのくらい僕の怒りはすさまじかった…

 

「お、おい、まてよ、俺はまだ何にも…」

「だまれ、このケダモノめーーー!」

大声で怒鳴りながら突進していくと、

「ぐおぁあーりゃぁーーーー!」

今までに見せたことも無いようなすさまじい怪力で、三波を天高く持ち上げ、そのまま数メートル先のバスの床に投げ飛ばした…

「ぐおあ、いたーーー!」

痛みに悶絶する三波を横目に、僕はあわてて後部座席に走ると、 

「めぐみちゃん、めぐみちゃん…」

静かに目を閉じているめぐみちゃんを必死に揺すぶった…しかし彼女は僕の呼びかけにまったく答えてはくれなかったのだ…

「めぐみちゃん、めぐみちゃん…なっ、何で、何でこんな変わり果てた姿に…、」

どぶわぁーーーーーーー!

僕の目玉からとてつもない量の涙が…

(なっ、なんてことだ、めぐみちゃんが…めぐみちゃんが………)

(めぐみちゃんが、死んでしまうなんてーーーー!)

 

「…なっ、何でだーーーーーー!!」 

僕は天に向かって泣き叫びながら、涙と鼻水まみれのぐしゃぐしゃの顔で、必死に彼女の亡骸を抱き起こし

「何で、何でやさしい君が、こんな目に…うぐ…ごめんよ、僕が、僕が、もう少し早く助けに来ていたら…こんなことには…うわぁーーー!!めぐみちゃん、めぐみちゃーーん!」

大声で泣き叫び続けた…

と、その時だった、めぐみちゃんの体にかけられていた上着がはだけて、彼女の美しいブラ姿のやわ肌が僕の目に飛び込んできた… 

「ぐわーー!?」

その姿を見た瞬間、僕の心に今までに経験したことのない、とてつもない怒りがこみあげてきた…

 

「こ、こんな…こんな姿に……ぐおーーー!!」

人の怒りは頂点にたっすると、髪は逆立ち、目玉は血走り、この世のものとは思えないくらいのすさまじい形相へとかわっていく…その時の僕はまさにそうだった…、頭からはメラメラと怒りの炎が立ち登り、見る見るうちに僕は、まるで鬼神の様な姿へと変貌していったのだった…

そして、バスの前で背中を押さえながら、呆然としている、三波を睨み据えると

「この野郎ー、よくもめぐみをーーー!!」

鬼神の形相のまま立ちあがった…

Ikari  

「よくも、よくも、めぐみを殺したな…!」

「えっ?こ、殺す…?」

三波はあわてて手を振った、

「おい、ちょっと待てよ、違う、違う…」

しかし怒りに満ちた僕はメラメラと燃え盛る背景とともに、一歩、また一歩と歩をすすめ、

「ぐぉあぁぁーーーーーーー!」

大声と共にまるで天狗のような跳躍力でバスのシートを飛び越え、三波の顔面めがけて飛びかかって行った!

「ぐわあああああああーーー!よくもーーーーー!」

「ちょっと、待てって、違う、違うって…」

「やかましい、このけだものめー!」

まるで鬼神とかした僕は三波の上にまたがると、やつの鼻の穴、口の穴、耳の穴、穴という穴に指を突っ込んで、ぐわーっと思いっきり、それはメチャメチャにかきむしった!

「ぐはあー、痛い、痛いはなへ、こらーーー」

「ぐおあー、うるさい!殺されためぐみの痛みは、こんなもんじゃなかったんだぞーー!」

「はから、勘違いするなって、あの女は死んでなんかいないっての、おい!」

「何を今さら、言い逃れしやがって、この野郎ーーー!!」

「違うって言ってるんだよーー」

「だまれーーーーーー!ぐおーーー!」

僕は鬼神の顔に加え涙と鼻水でぐしゃぐしゃの、この世のものとは思えない形相で、イケメン三波の顔から髪から、すべてをぐしゃぐしゃにかきむしっていた…

 

と、そんな騒ぎの最中…、静かに眠っていためぐみちゃんが、ふっと目をさました……

 

「…あれ?…ここは……」

めぐみちゃんはボーっとした顔であたりを見渡し、そこが恐ろしいバスの中だと気がつくと

「いっいやーーーー!!」

気絶する直前の恐怖をよみがえらせて大声で叫んだ…そしてあわてて身体を起こすと同時に、三波の上にまたがっている僕の後姿に気がつき、一瞬不思議そうに目を見開いた

 

「えっ?…」

僕は怒りのせいで彼女が目を覚ましたことに気づかず 

「ぐおわーーーー、この野郎ーーー!!」

大声でわめきながら、三波をぐしゃぐしゃにかきむしり続けていた…そんな僕の後姿にめぐみちゃんは首をかしげながら 

「…よ、吉宗君?…もしかして吉宗君?…」

小さな声で恐る恐る話しかけた…

「この、ケダモノーー、このケダモノーーー」

「ぐぎゃー、痛い、やめれーーー」

「吉宗君!!」 

「!?」 

僕は背中越しに飛び込んできた、聞き覚えのある美しい声に気がつき、三波をかきむしる手を止めた……

「い、今の声は…たしかにめぐみちゃんの声…そ、そんなバカな、彼女は死んでしまったはずなのに…気のせいか?…」

「吉宗君!…」

「えっ、また…、また、めぐみちゃんの声が!?…」

僕は恐る恐る、後ろを振り返った…

そこには、ブラのまま、うるんだ瞳で僕を見ている、めぐみちゃんの姿が…

 

「めっ、めぐみちゃん!?…」

「やっぱり、吉宗くんだったのね…」

めぐみちゃんの瞳からぽろぽろと大粒の涙がこぼれおちた…

 

「あの幽霊?…そこにいるのは、めぐみちゃんの幽霊?」

「え?…」

「だって、そ、そんなに悲しい泣き顔して、やっぱりめぐみちゃんの幽霊なんだね…」

僕はそう言いながら立ち上がると、プルプルと震えながら彼女に近づいて行った…

「ちょと、吉宗君、幽霊って何言ってるの?…」

「そうか、めぐみちゃん、自分が死んじゃったこと分かってないのか?」

「私が死んだ?」

めぐみちゃんはあわてて、自分の手や足を見た

 

「幽霊でもいい、もう一度、君に会えたんだから、こうして話ができたんだから…めぐみちゃんーーー!」

僕はぐしゃぐしゃの顔で泣きながら、力いっぱい彼女のことを抱きしめ…

「めぐみーーー、たとへ君が幽霊になろうとも、僕は、僕はずーっと君を愛し続けるよーー!うわぁーーーーー!」

号泣しながら叫び続けた…

「私が幽霊って?えっ?えっ?それじゃ私、死んじゃってるの???」

めぐみちゃんは、あわてて自分の体を見ると、あちらこちらつねってみた…

「痛い…やだ、ちょっと、吉宗君、私幽霊なんかじゃないよー、ほら…ちゃんと手も足もあるし…それに、こうして吉宗君とも触れあえてるじゃない…」

「えっ?幽霊じゃない?」

「ほら、吉宗君だってこうして私のこと抱きしめること出来てるでしょ…」

「あっ、そ、そう言えば…」

「もう、相変わらずそそっかしいんだから、吉宗君…ふふ…」

めぐみちゃんのそんな笑顔を見て、僕は目をきらきら輝かせた 

「め、めぐみちゃん…めぐみちゃんが……生きてた!…」

「よっ、吉宗君!?…」

「よ、良かったー、本当に良かったー、、良かったーー!」

僕は大粒の涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、彼女のことを夢中で抱きしめた…めぐみちゃんも、涙をぽろぽろと流しながら、

「よっ、吉宗君、吉宗君!…会いたかったー、私、吉宗君にすごく会いたかったんだよー…」

僕の胸に夢中でしがみついていた…

僕は幸せだった、それはまさに幸せいっぱいの再開だったのだった…

 

しかし、そうはイカのちんちんタコがひっぱる……しばらくして、彼女はふっと何かを思い出すと、あわててキョロキョロとあたりを見渡しはじめた

「ど、どうしたのめぐみちゃん?…」

「そういえば、さっ、さっきまで、すごい怖い人が乗ってたの、このバス…」

「怖い人……!?」

「うん、私その人に襲われそうになって…それで…あっ!?、やっ、やだ私…」

めぐみちゃんは自分のブラウスのボタンがはずされていることに初めて気がつき、あわてて胸を隠しながら僕に背を向けた…

「あっ、ごっ、ごめん…」

僕はあわてて目をとじると、はっとある重大なことを思い出した…

「そっ、そうだ、その怖い男って、熊井さんを襲った人かも?」

「えっ、熊井さんって、あの!?」

「うん…」

「…熊井さんを襲うなんて…あっ、あの人だったら、分かる気がする……」

めぐみちゃんは、再び恐怖を思い出し、カタカタと振るえはじめた…

「やっぱり、そ、そんなに恐ろしい人…」

それまでめぐみちゃんを救いたい、ただその一念で張り詰めていた僕の背中にも、突然と恐怖の震えが…

「…と、とにかく、急いでバスから降りよう…」

「うん…」 

めぐみちゃんは、うなずきながらも、よほど恐ろしかったらしく、あたりをきょろきょろと見渡していた…、僕はそんな彼女を見て大きく息を吸い、ぐっと気合をいれると

「だっ、大丈夫…めぐみちゃん、僕が絶対に守るから…」

「吉宗くん…」

「絶対に絶対に守るから…」

何度もそう言うと、ありったけの勇気を振り絞り、彼女の肩をやさしく抱え、バスの入口に向かって歩きはじめた…

そして僕達がバスの入り口付近に差し掛かった時だった

ガシッ!

突然僕の足に冷たい感触が

「うわーー!」

見るとそこには、ぼろ雑巾のような姿で床に這いつくばっている男が、僕の足をにぎってこっちを見ていたのだ……

「まっ、待て…待ってくれよーー」

「うわーー、何だーー!?このミイラ男みたいな人は!?」

「ミイラって、お前がやったんだろ…」

「えっ?…ぼっ、僕が?……」

突然脳裏に鬼神と化して暴れている僕の姿が…

 

「あー!?」

そう、そのぼろ雑巾のような男、それは僕によってボロボロにされてしまったイケメン三波だったのだ…

「待ってくれよ…その女、連れていかねーでくれよ…たのむよー…」

三波はポロポロと泣きながら、僕の足をひっしに握りしめた、

「はっ、放せこら、その手を放せって…」

「たのむよ、そんなこと言わないで助けてくれよーー」

 

「助けて?…なっ、何言ってるの、あなた、私のこと騙したくせに…」

めぐみちゃんはムッとした顔で、ぼろ雑巾三波を見た…

「だましたのは、謝るから…だから行かねーでくれよ…、やべえんだよ、そいつ連れて行かれたら、俺がやばいんだよー」

「俺がやばいだと?」

僕はその言葉に再び目を吊り上げた…

「俺がやばいって、どこまで勝手なんだお前…自分さえ助かればめぐみちゃんはどうなってもいいのか!」

「…うぐ……」

三波は無言で僕達を見たあと、再びポロポロと涙をこぼし始めた…

「だましたことは悪かったよ、謝るから、でも、助けてくれよ…俺も助けてくれよーー」

「助けてって言われても…」

めぐみちゃんは静かに三波の事を見た後、

「吉宗くん…こんなに真剣に涙をながしてるんだし、一緒に連れて逃げてあげたら…」

「一緒に?…だって、めぐみちゃん…」

「頼む、頼むよ…このままじゃ俺、マジで殺されちまう、彼女の言うとおり一緒に連れてってくれよ…」

「……」

僕が無言で三波を見た後、そっとめぐみちゃんに顔を向けた、

「吉宗くん…」

彼女もやさしく微笑みながらうなずいた…

「それじゃ、一緒に行きましょう、三波先生…」

「ありがとう、本当に君はやさしい人だね、めぐみさん…」

 

「それじゃ、急いでついて来いよ…」

僕とめぐみちゃんはバスを降りた後、中で這いずっている三波に向かって振り返った…ところがやつは…

「あっ、痛い、痛たたたた…だっ、駄目だ俺、さっきあんたにやられた傷のせいで足が…」

そう言いながらなかなかバスから降りようとはしなかった…

「足って、お前…」

僕はあわててあたりを見回すと、

「仕方ない、ほら…僕の背中に乗れよ…」

そう言いながらしぶしぶ三波に背中を向けた

「あっ、ありがとう…あんた、本当はすげえいいやつだったんだな…」

「そんな言葉言ってる場合じゃないだろ、ほら急げよ…」

「それじゃ、お言葉に甘えて…」

イケメン三波はうれしそうに涙を流すと、痛々しい表情でバスを降り、僕の背中にしがみついた…と、その瞬間だった

「うぐえーーーー!!」

突然、三波の腕が強い力で僕の首に巻きついてきたのだ…

 

「おい…そっ、そんなにしがみついたら、くっ、苦しい…苦しい…」

僕はひっしに締め付けられたやつの腕をはずそうとした…ところがやつは腕の力を緩めるどころか、さらに強く僕の首を締めあげてきたのだ…そして僕の耳元で

「苦しいに決まってんだろ、絞め殺そうと思ってんだからよ…ふっふっふふ…」

不敵な笑い声を響かせたのだった…

続き
第89話 めぐみは僕が守る…へ

イラストカットは近日アップします・・・coldsweats01ってそればっかsweat01

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2009年6月22日 (月)

第87話 悪鬼西条の真実…

「なんや?…おい、姉ちゃん、どないしたんや?…」

西条竜一はあわててめぐみちゃんの顔の近くに耳を近付けると

「あかん、気失ってもうたわ…」

渋い顔でつぶやいた

「まあ、暴れる中服脱がす手間が省けたってもんかの…悪う思うなや、姉ちゃん、恨むんやったら、追島の野郎を恨みい…」

ふてぶてしく笑うと、めぐみちゃんのブラウスのボタンをはずし始めた…ひとつ、ふたつ、西条の太い指によってボタンが外されると同時に、中から彼女の綺麗な白い肌と可愛い白いブラが姿をあらわした…

「ほう、何や?…三波の奴、テキヤの三下の女言うとったが、こいつひょっとすると処女かもしれんぞ、こらあほんまにとんだ拾いもんかもしれんな…」

西条が悪魔のような笑みで、すべてのボタンを外し、めぐみちゃんの透きとおるような肌がさらけ出された、その時だった…シートの背もたれにかけられていた、さっきまで西条がかぶっていた保育園児の黄色い帽子が、不自然に落ちてきたと思うと、めぐみちゃんのはだけた素肌を覆い隠したのだ…

「んっ!?」

西条はその帽子を見たとたん、一瞬顔をゆがめた…そしてあたりをキョロキョロと見回すと、ふたたびめぐみちゃんの肌の上の帽子に目を落とし… 

「そんな、アホなことあるか、まさか、お前が?……」

突然体を震わせながら目を閉じた…そして、唇をかみしめながら天を仰ぐと

「やっぱり、おまえか?…ここにおるんか?…こんなワイでも、まだそばにおってくれたんか?…おまえ…」

苦しそうな顔でつぶやき、無言でバスのシートにもたれかかった…そして、床で気を失っているめぐみちゃんの事をじーっと静かに見つめると

「…ふー、追島の名前聞いて、かっとなってもうたが、この姉ちゃんよう見ると、まだ十七八のガキやないか……」

めぐみちゃんの顔をさわると同時に

「まったくアホらし……」

彼女を抱きかかえて、後部座席にそっと寝かせた、そして自分が羽織っていた上着を脱いで、眠っているめぐみちゃんの、はだけた素肌の上にかけると…

「こっ、これでええんやろ、これで、…………」

何やら不思議な一人ごとつぶやきながら、落ちていた黄色い帽子を片手に立ち上がり、バスの出口へと歩き始めた…

 

「あれ?西条さん、もう終わったんっすか?…」

バスの入り口でイケメン三波が首をかしげながら、西条に声をかけた

「アホ…そないに早く終わるか、ボケ…ちっと小便ついでに涼んでくるだけや…」

「小便ついでに涼むって?…それじゃあの女は?」

三波はバスの中を覗き込むと、後部座席で横になっているめぐみちゃんを見てハッと驚きの顔を浮かべ

「さっ西条さん…ま、まさか殺しちゃったんじゃ…!?」

「アホー、気うしなっとるだけや…」

「びっ、びっくりしたー、」

「ほんまにアホやな、お前は…」

「でも、それだったら、そのままやっちまえばいいじゃねえすか…なんで涼みにって?」

「気絶してる女なんぞ犯して、何がおもろいんやアホたれ…それやったらダッチワイフと変わらんやろうが…」

「で、でも…」

「ええか、三波、わいが戻るまで、あの女しっかり見張っとるんやで…」

「は、ハア…」

「よう考えると、あの姉ちゃん追島のガキ、おびき寄せるための大事なネタに使えるからの…」

「ネタって、それじゃ、西条さん、やらねーつもりなんすか?あの女…」

「アホ、誰がやらん言うた、やるやらんは目が覚めてからの事や…」

西条はそう告げると、黄色い帽子を見ながら、倉庫街の奥の海辺に向かって歩き出し、ふいに振り返って三波を睨み据えた

「おい、わいが戻る前に、あの女に手だしおったら、我、ぶち殺すからの…」

「えっ!…あっ、はっ、はい…」

西条の言葉に、三波はしぶしぶうなずくと、チッと舌うちをしながら、バスの中に乗り込んで行った、そして後部座席で静に眠るめぐみちゃんの前にしゃがみこむと、そっと彼女にかけられた上着の中を覗きこんだ…

「おうおう、可愛いブラが丸出しじゃん、へへへ……しっかし、ここまで脱がせといて、急に涼みにいっちまうなんて、西条さん何考えてんだか…」

「あの人が、さっさと一発すませてくれねえと、何時までも、お預けじゃねえか、まったく、たまんねーぜ……」

三波はよだれをすすりながら、めぐみちゃんの寝顔を恨めしそうに眺めていた…

 

 

「お慶ちゃん、ヨッチーちゃん見つかったかしらー!」

「それがさっぱり…」

お大師さんへ向かう大通りでは、お慶さんと栄二さん、それに銀二さんらが、自転車で消えた僕と黄色い保育園バスを探していた

「バスはともかく、追いかけて行ったヨッチーちゃんまで消えちゃうなんて、ああ、どうしよう、私の大切なヨッチーちゃんの身に何かあったら…」

女衒の栄二さんはふりふりのついたハンカチをかみしめながら目をうるませた…

「バスはともかくって、なんて事言うのよ栄ちゃん、中にはめぐみちゃんが乗ってるのよ…」

「めぐっぺなんて、どうでもいいのよ、イケメン保父に誘われて、ホイホイケツ振ってついて行った罰なんだから…」

「なんてこと言っているのよ栄ちゃんったら…」

そんな、二人の言い争いの横で、銀二さんは携帯を耳にあてていた

「はい、はい…分かりやした、どうもすんませんっす…」

銀二さんは携帯を閉じると、

「おかしいな、この先でテキヤ仲間連中も探してるんだけど、黄色いバスも吉宗の姿も見てねえらしいって…」

渋い顔で栄ちゃんとお慶さんを見た、そして何かを思い出したように

「お慶さん、西条って野郎知ってるでしょ…」

「西条!?銀ちゃん、それって竜一さんのこと?」

お慶さんは、さっきまで喫茶慶で話していたその男の名前に驚きの顔を浮かべた…

「はい、今、聞いたんですが、熊井さんを襲ってバスに乗ってる男、その西条って野郎らしいんですよ…このあたり仕切ってるテキヤ、川龍一家の元幹部で俺がこの世界はいる前に破門になった、西条竜一って男です…たしか追島の兄いの兄弟分だった人っすよね…」

 

「竜一さんが、熊井さんを……嘘よ、どうしてあの竜一さんが…」

お慶さんは、栄二さんを見た…

「さっきも話したでしょ、お慶ちゃん、今の竜一は、あんたの知ってるやつじゃないって、全く別人になったって……」

「ど、どうして…」

「あの事件よ、あれが竜一を別人に変えたのよ…」

栄ちゃんはそう言うと同時に眉間にしわを寄せた…お慶さんは、そんな栄ちゃんの表情からハッと思い出したように、目を見開くと

「健太君…健太君のこと!?」

栄ちゃんは静にうなずいた…

そんな二人の様子を見ていた銀二さんは、首をかしげながら 

「俺の聞いた西条って男は、どうにもならねえ悪で有名だったって、破門された後も、ふてぶてしく関西で悪どい金貸しやってる男だって…そうじゃねえんすか?なあ、お慶さん、事件って、何よ?……」

 

「そうか、銀ちゃん知らないのね…竜一さんのことも、事件のことも…」

お慶さんは目を潤ませると

「追島と西条が学生時代から親友だったことは知ってるでしょ…」

「あっ、はい…それって実は不思議だったんっすよ、何で追島の兄いが、そんな達の悪い野郎とまぶだちだったのかって?…」

「竜一さんは、達の悪い男なんかじゃないのよ、とても優しくて、思いやりのある人なのよ」

「……?」

 

「私と追島が結婚した時も、本当に自分の事のように喜んでくれてね、それに、ユキが生まれた時も……」

お慶さんは静に夜空を見あげた…

 

ユキが生まれた時、小さな産婦人科だったけど、竜一さんったら大きなリボンの付いた箱を抱えて大声で叫びながらあらわれてね…

(おーい、追島ー、慶ちゃん!)

あんまり大きな声だから、竜一さんったら、看護婦さんに…

(ちょっと、あなた、ここは病院なんですよ、そんな風に走って危ないでしょう)

(いや、あかん、こら、えらいすんまへん看護婦さん…何しろ、未来のうちの嫁さんが生まれたもんやから、ハハハ…)

そんなふうに頭をかきながら、それでもすごくうれしそうに竜一さん、私たちの病室に来てくれたの…

 

(おう、追島ー、慶ちゃん、おめでとうー!)

(あら、竜一さん、来てくれたんだー、ありがとう…)

(来てくれたってあたりまえやろ、慶ちゃん、何しろ未来のうちの嫁はんが生まれたんやからな…はははー)

(おい、竜、未来の嫁、嫁って、勝手に何言ってやがんだ…)

(勝手にって何いっとるんや?、これは慶ちゃんとわいとの間に結ばれた約束なんやで、女の子が生まれたら、うちの嫁にするって…)

(お前の嫁って、ふざけんな竜…おい、慶、お前もなんて約束してんだこら!)

(わいの嫁?…追島…お前何訳の分からん事、ぬかしとるんや?)

(えっ?)

(やだー、あなたったら、健太君よ、竜一さんの息子さんの健太君のお嫁さんにって話なの…)

お慶さんは生れたばかりのユキちゃんを抱きながら、笑顔で追島さんを見た…

(健太?…なっ、なんだ、健太のことか…)

(まったく、そそっかしいわね…)

(ほんまや、アホ、それやからゴリラの脳みそ言われるんや…)

(ゴリラってこら…)

(竜一さん、それじゃゴリラに失礼よ、…)

(お、慶、お前まで!?)

 

(そんなことより、慶ちゃん、赤ちゃん見せたってやー、実はワイ、楽しみで楽しみで、ここんところ眠れんかったんや…)

西条はうれしそうにはしゃぎながら、お慶さんの手の中にいる小さなユキちゃんを覗き込んだ…そして幸せそうに微笑むと

(かわいいのう…おう、慶ちゃん、あんたそっくりの美人さんやないか…なあ、抱っこさせてくれんか?)

(あっ、はい…)

(おー、おー、ほんまにベッピンさんや、よかったなー、お父ちゃんに似ないで、おっちゃんそれだけが心配で心配で、眠れんかったんや……おい、追島、名前は?名前は考えとるんか?…)

(あ、ああ、今ん所、ユキって、つけようかって…)

(ほう、ユキちゃんか…そらあ、ええ名前や…)

(ユキちゃん…ええか、ユキちゃんは将来うちの倅の、健太の嫁はんになるんやで…約束やで……)

(勝手に決めるなって言ってるだろ、竜…)

(勝手やない言うてるやろ、慶ちゃんと約束した言うとるやろうが、アホ…)

(慶、お、お前勝手に…)

(あら、良いじゃない健太君だったら、この子より三歳年上でつりあいも良いし、それに可愛いし、竜一さんと君江さんに似て、やさしくて思いやりもある子なんだから…)

(でも、それは大人になってユキが…)

(アホ、うちの健太が大人なったら、どれだけええ男になるか…なあ、慶ちゃん…)

(そうよね、すごいモテモテになるんだろうね、健太君…だからこっちからも今のうちに予約しておかないとね…)

(そやろ、そやろ…慶ちゃんもそない思うやろ…ワイも実はほんまに楽しみでな、あいつの成長した姿想像すると、うれしくて、うれしくてな、ハハハハ…)

(竜一さんの命だものね、健太君…)

(ああ、あいつのためやったら、ワイは何でも出来る…どんなに仕事がしんどくても、親分にこずかれても耐えられるんや…ははは…)

 

「あの時竜一さんは、うちのユキを優しく抱きながら、本当にうれしそうに笑っていた…彼、本当に心から健太君の事を愛してたの……」

「…なのに…」

お慶さんは、急にやりきれない表情になると、瞳にいっぱいの涙をうかべていた…

「なのに、健太君……健太君、あの火事で……」

そう言ったまま、うつむき、ポロポロと涙を流した…

「あの火事?…」

「………」

お慶さんは静にうなずいたまま、言葉を失っていた……そんなお慶さんの肩をそっと支えながら栄二さんが…

「健太ちゃん、火事で小さな命を奪われたの、それも受験に失敗した学生がその腹いせに放った火のせいで……」

そうつぶやいた後、悔しそうに夜空を見上げた…

 

 

「健太……」

多摩川と東京湾をつなぐ海岸わき、黄色い帽子を握り締めた男の影が、苦しそうに震えていた…

そう、それは西条竜一その人だった…

「何でや…何で、お前が、何の罪も無いお前が…うぅぅ…」

西条は海岸のコンクリートの壁にもたれると、帽子を胸にかかえて一人苦しそうに唸り声を上げ続けた…

「健太…父ちゃんあかんのや、お前が熱い火の中で苦しんで泣いてる姿を…うぅぅぅ、父ちゃんその事考えると、もう、胸がぐちゃぐちゃなんや…もう、ほんまにあかんのや…うぅぅ…うぅぅぅぅぅ…」

しばらくの間、壁にへばりついたまま、唸り声を上げ続けていた…

 

どれくらいたったか、コンクリートの壁の上には、ぐしゃぐしゃに握りつぶされた小さな帽子が無造作に置かれ、今まで聞こえていた悲痛の唸り声はいつしか消え、あたりはシーンと静まり返っていた…そして、それまで苦しみの声をあげていた西条竜一の顔は、すべての世を呪った悪鬼の顔に戻っていたのだった……

続き
第88話 吉宗君とめぐみちゃん、涙の再会へ

Megulank_3
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2009年6月17日 (水)

第86話 吉宗君助けて…

保育園バスの後部座席に深々と腰掛けた西条竜一は、まるで罠にかかった獲物の品定めをするかのように、めぐみちゃんの事をジーっと見据えていた…

「えっ!?…」

めぐみちゃんは慌てて運転席の三波を見た、するとそこには今までのさわやかな笑顔の三波ではなく、鋭い冷めた表情の奴の目が、バックミラー越しに光っていた…

「みっ、三波先生、ど、どういうことですか?…」

「どういうこと?」

「だって、さっき子供が乗ってるって!…」

「あれ?俺、そんなこと言いましたっけ?…」

「そっ、そんなことって…それじゃ、騙したんですか…」

「騙す?、おいおい、えれえ人聞き悪い言い草だな、」

「………」

めぐみちゃんは、とっさに僕がイケメン三波に飛び掛っていった時の事を思い出した…

(そ、そういえばさっき吉宗君、よくもマライアさん…って……それじゃ、、マライアさん…真理絵さんが言ってた男って…)

「やっぱり、あなただったの…吉宗君が言ってたとおり、真理絵さんにひどいことをした人って…」

「真理絵?…」

三波はタバコくわえながら、不思議そうな顔でめぐみちゃんを見た

 

「おい?何だよ、お前も真理絵のこと知ってんのかよ?…ははは…あの田舎出のホルスタイン女か、あれは最高の女だったな、すっかり俺に夢中で、よーく稼いでくれたっけな…」

「…ひ、ひどい…あなたって、やっぱり吉宗君の言ってた通りひどい人だったのね…」

「吉宗、吉宗ってさっきから、うるせえんだよ!…」

「………」

めぐみちゃんは無言で三波を見たあと、ハッとした顔を浮かべ

「…それじゃ、あなた、春菜先生も、真理絵さんのように利用しようと…」

「春菜か、ああ、あれも田舎出のお人よしのバカ女だからな、これからたっぷり稼いでもらうつもりだ、くっくくくく…」

「……さ、最低…あなたって最低の男…」

「…最低か、ははは、まあ、今のうち何とでもぬかしとけ…西条さんが楽しんだ後は、お前、その最低の俺にやられる運命なんだからな…」

「西条さんのあと?…」

めぐみちゃんはあわてて振り返った、と、そこには何時の間にか、間近にぬっと立っている西条の姿が…

「!?」

西条はその大きな腕で、いきなりめぐみちゃんの腕を握ると、力任せに彼女をその胸に引き寄せた

「なっ、何するんですか!?」 

「何?…アホやな姉ちゃん、ええことするに決まってるやろ……」

不気味に笑いながらその大きな顔をめぐみちゃんに近づけると、そのままめぐみちゃんをバスの後部座席へと押し倒した…

 

「ちょっと、何ですか、やめて!!」

「ほう、またその困った顔がええのう、そそられるわ……」

「放してよ!この変態!」

めぐみちゃんは叫ぶとどうじに、西条の鼻の頭を拳で強く殴りつけた

「うぐあ…痛てててーー!」

西条の鼻から真っ赤な血が…

 

「放せって言ってるでしょ!」

「うーん、かわいい顔して威勢のええ姉ちゃんやのう、ぐははははは…」

西条は鼻血を流しながら、運転席の三波に向かい大声で

「おーい、三波、こらあええで、我もたまにはええ女プレゼンしてくれるやないか…」

笑いながらめぐみちゃんを睨みすえてきた…イケメン三波はミラー越しに目を光らせると

「西条さん、終わったら、俺にも頼みますよ…」

ニヤニヤ笑いながら、ウィンカーを左につけて、大通りから狭い路地の倉庫街へと入り、やがて小さな古びた倉庫の前でバスを停止した…そして後ろの西条とめぐみちゃんを見ると

「西条さん、自分も朝からその女狙ってたんすよ、まじで終わったらやらせてくださいよ、頼みますよ…」

「おう、分かったから、我は早く外に出とらんかい、そのボケ面でじっと見られとったら、楽しめんやろが、アホ…」

「す、すいません…」

あわてて頭をかくと、未練がましく押し倒されためぐみちゃんを見ながら、バスの外へと出て行った…

 

「ほれほれ、これで邪魔者は消えたでー、さあ、たっぷり楽しもうやないか、姉ちゃん…」

「ちょっと、楽しむって何よ、ふさけんじゃないわよ!…」

めぐみちゃんは再び西条の下から拳を振り上げた、しかし今度は軽く交わされ、西条にその腕をわしづかみに握られてしまったのだった…そして西条はめぐみちゃんのもう一方の腕も押さえつけると、その顔を彼女の顔に近づけ、クンクンとにおいをかぎ始め

「うん、においも格別ええわ…、まだ青臭い女やが、顔もええし…」

同時に、その大きな手のひらでめぐみちゃんの胸を鷲づかみにすると

「乳もちょうどええ、こらあ久々のヒットや、ぐあははははーー」

 

「やめてよ、ちょっと何するのよ…」

「何ってさっき言うたやろ、ええことするって…ほれ、まずはチューからや、チューから、ははは…」

「き、気持ち悪い顔近づけないでよ、放してよ!」

めぐみちゃんは必死に西条の下でもがいた、しかし

「ええかげんに、暴れるのはやめい言うとるやろが!」

その怪力と巨体に無理やり押さえられ、やがて身動きが出来なくなってしまった…

 

「どうや、もうあきらめて、姉ちゃんも楽しんだほうが得やで…」

「楽しむって、冗談じゃないわよ、この変態が!」

「おいおい、そう変態、変態って言わんといてくれんか?…これでもワイは傷つきやすい性格なんやでーー」

西条は静かにつぶやきながら、大きな舌を出すと、べろっとめぐみちゃんの頬を舐めてきた…

「止めてよ…お願いだから、止めて…」

「アホか、姉ちゃん、ここまで来て止める訳が無いやろ…どうや、姉ちゃん、あんたが静かにしとったら、ワイも優しく終わらしたるんやでー、ええ加減あきらめいや、んー?…」

「じょ、冗談じゃないわよ、だ、誰があんたみたいな男に…」

めぐみちゃんはそう言うと、再び西条の下でもがき始めた

  

「ええかげんにさらさんかい!!」

バシッ!

「ギャッ!!」

西条はその大きな手のひらで、めぐみちゃんの顔をおもいっきり張り飛ばし、その衝撃で彼女の上半身は後部座席から下の床に強く叩き付けられた…そして鬼のような形相でバスの床に倒れた彼女を見据えると

「我もかたぎの女ちゃうやろがー、おー!…何時までも調子暮れさらすな、アホたれ!…テキヤの女風情が、おーこら!」

力任せにめぐみちゃんの髪の毛をつかんだ、が…

「ん?…なんや、どないしたんや?…」

頭を強く打った衝撃で、気を失いかけている、彼女に気がつき、一瞬きょとんとした顔を浮かべていた…

 

そんな西条竜一の下で、めぐみちゃんは遠のく意識の中、必死に心の中で叫び声をあげつづけていた…

(助けて…吉宗君……)

(吉宗君…助けてー!…)

(助けて…た、す、け…て……よし、むね…く…ん……………)

何度も何度もそう叫びつづけながら、やがて彼女は完全に意識を失ってしまったのだった…

 

 

 

(助けて、吉宗君!!……)

「!?」 

突然、めぐみちゃんの悲痛の叫び声が、僕の頭の中で響いてきた…

「めぐみちゃん!?…めぐみちゃん!?…」

僕はおばちゃんから奪い取ったママチャリを全力でこぎながら、愛のテレパシーで彼女の危険を感じ取ったのだった…

「どこだー、めぐみちゃーん!めぐみちゃーん!!」

彼女を連れ去った黄色いバスには、熊井さんを襲った恐ろしく凶暴な男が乗っている、そんなことは百も承知だった、しかし、愛するめぐみちゃんの危機に、僕はまったく恐れることなく、必死にバスを探し続けていた…

「めぐみちゃん、めぐみちゃん、絶対に僕が行くからー、僕が助けに行くからーーー!」

(神様ーー、どうか、僕が行くまで、めぐみちゃんを守ってくださいーー!)

心の中で懸命に祈りながら、ひたすら大通りをママチャリで走り続けていた…

 

と、そんな最中、倉庫街へ入る小さな路地を通りすぎようとした僕の頭に、

(助けて、吉宗君!………)

ふたたび彼女の心の叫びが、響いてきたのだった…

あわてて自転車のブレーキを握ると、あたりをきょろきょろと見渡した

「めぐみちゃん!?…この近くにいるのか?…めぐみちゃん…はぁ、はぁ…」

僕は静かに目をとじると

(めぐみちゃん、僕だよ、どこ?何処にいるんだい?)

まるでSF小説の主人公のように、彼女に対し必死に愛のテレパシーを送り続けた…その時だった、左方角から、かすれながら小さくなっていく彼女の心の叫びが…

(よ、し、む、ね…くん……たす、け、て…………)

(めぐみちゃん!?…)

(た、すけ…て………)

 

「こっちかー!?」

僕は大声で叫びながら、倉庫街へと向かう小さな路地に目を向けた…

(この先に、めぐみちゃんが、めぐみちゃんがいる…)

 

「待ってろ、めぐみーー!今、助けに行くからーーーーー!」

大声で叫ぶと同時に、ママチャリを急発進させ、鬼のような形相で路地の中へ入っていった

その先に、今までに経験したことも無い、恐怖の闘いが待ち受けていることを知っていながら……

続き
第87話 悪鬼西条の真実へ

Megulank_3
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2009年6月 9日 (火)

第85話 消えためぐみちゃん…

「めぐみちゃーん…めぐみちゃーん!」

銀二さんの超恥ずかしい仁義現場からあわてて離れた僕は、再びめぐみちゃんを探しながら、やがて国道沿いにある小さな薄暗いガードにたどりついた

「あれ?…こんな所に…」

中を覗き込んだ僕は、

(なんだろう、このいやーな感じ?…)

直感的にその先で、めぐみちゃんが何か得たいの知れない危機にさらされている、そんな気配を感じ取ったのだった…

「めぐみちゃんが!?…この先に…、この先にいるのか?」

それは、まさしく彼女に対する愛のテレパシーだった…そして僕は夢中でガードを通りぬけ、国道の反対にある静かな通りに出ると同時に、はっと目を輝かせた…

「あっ、あれは?」

遠く離れた所に停車している黄色い保育園バス…そして、その脇に、うれしそうな笑顔で立っている、めぐみちゃんの姿が!

(あー!めっ、めぐみちゃん!…めぐみちゃんが…)

僕は彼女を見つけた喜びから、思わず目を潤ませた…そして声をかけようとしたその時、

(はっ!…でっ、でも、どうやって声をかけたら、あんなに傷つけて怒らせてしまった彼女に…ど、どうやって……)

僕の頭に、そんな迷いが…、その一瞬の迷いの隙に、何とめぐみちゃんはバスの中へと入っていってしまったのだった…

「あっ、めぐみちゃん!!」

ブシューーー!

「あーーーーーーーーー!?」

まさに一瞬の迷いが生み出した出遅れから、無情にもドアは閉ざされ、めぐみちゃんを乗せた園バスは静かに走りはじめてしまった…

 

「あーーー、待ってーー!!」

夢中で叫びながらバスを追いかけた、しかし、バスはスピードを上げ、やがて僕を振りきるように、先の大通りへ出ていってしまった…

「めっ、めぐみちゃん…めぐみちゃん…待って…そのバス待ってー」

僕は大声で叫びながら、無我夢中で大通りに飛び出した、と、その瞬間!

キキキキーーーーー!!

「あーー、危ない!!」

「うわーーー!?」

グシャガゴー、ガラガラガッシャーーーン

通りに飛び出した僕は、歩道を走るママチャリのおばさんと激突、そのまま飛ばされて、道路脇の街路樹の中へ… 

「痛たた、何よあんた、危ないじゃないの急に飛び出して来て!」

おばさんが倒れた自転車の前で大声で叫んでいた、しかし、僕の耳にはそんな声など入らず

「めぐみちゃん…めぐみちゃん…」

街路樹の垣根の中から、ぐしゃぐしゃな顔で、遠ざかるバスの姿を見つめていた…

 

「あらー、ヨッチーちゃん!そこにいるのはヨッチーちゃんじゃない…ねえ、お慶ちゃんヨッチーちゃんよ」

そんなところへ、一緒にめぐみちゃんを捜していた女衒の栄二さんが、おネエ走りで近づいてきた…

「あー栄二しゃん、お慶しゃん……」

「何やってのそんな所で、めぐみちゃんは、見つかったの?…」

「はい、見つかったんだけど、だけど…」

「だけど、どうしたの?」

僕はバスが走り去った方角を指差すと

「バスに乗って行っちゃったんですーーー」

「バス?」

「はい、黄色いバスに…あれ?…」

「どうしたの、吉宗君…」

「そういえばあのバス、ひばり保育園って書いてあったような…」

「ひばり保育園?」

お慶さんは不思議そうに首をかしげると

「ひばり保育園のバスだったらいつも保父の三波先生が運転して、子供達の送迎をしているんだけど…」

「三波!?」

「ええ、でもおかしいわね、あそこ夜間送迎はしてないはずなのに…」

「三波が…三波が…」

僕はイケメン三波の氷のような顔を思い浮かべ思わず唇をかみしめた、そんな様子を見ていた栄二さんが

「お慶ちゃん、その保父の三波って、いったいどんな殿方なのかしら…」

「若くてかっこよくて、お母さんがたからも人気がある子だけど…」

「アラ…若くてかっこいい?」

ニヤッと笑うと、僕を見て

「若くてカッコいい男の運転するバスに、うれしそうに乗り込むなんて、めぐっぺったら、まあ、やるわねー」

「やるって、あ、あの栄二さん…」

「めぐっぺも所詮そのレベルの女だってことよ、いい男に誘われると、ほいほいケツふってついていくそんな女だったのよ…ホホホホホ」

「ち、違います、めぐみちゃんはそんな人じゃないです!」

「ヨッチーちゃんは女の本性を知らないのよ、女なんてみんなそんなもの、だから女のめぐっぺより男の私がいいっていってるんじゃない、ホホホホホホ…」

「ちょっと栄ちゃんドサクサにまぎれて何言ってるの!」

お慶さんはムッとした顔で栄ちゃんの腕をこずいた

 

(そっ、そんな、めぐみちゃんが、ほいほいお尻をふって付いていくなんて……)

「コラー、吉宗君!あなたも今めぐみちゃんのこと疑ったでしょ!」

「えっ!?」

「彼女はそんな子じゃないって、分かってるでしょ…」

「あっ…はい!」

僕はあわててうなずいた

 

「あれー?そこにいるの栄ちゃん?栄ちゃんじゃん…」

僕が飛び出してきた路地から、今度は仁義を済ませたらしい銀二さんが姿をあらわした

「あらまあ、銀ちゃんじゃない…あんた、これと好いことしてたんじゃないの?これと…」

栄二さんは小指をつき立てると、笑いながら銀二さんをからかった

「そうなんだけどさ、急に追島の兄いから電話があって…あっ!…」

銀二さんは栄二さんのとなりにお慶さんをいるのを見て、思わず声をあげた…

「何で、栄ちゃんとお慶さんがいっしょに?……やべ、お慶さんの前で、追島兄いの名前は禁句すね…」

あわてて頭を掻いた…お慶さんはそんな銀二さんに照れくさそうに

「銀ちゃんいいのよ、もう気を使わないで…」

「えっ?」

「銀ちゃん、お慶ちゃんね、追島ちゃんのこと許すことにしたのよ…ホホホホ」

「許す?…」

「まあ、話せば長くなるからさ、それで銀ちゃん、追島からどんな電話があったの?」

「あっ、実は車を捜してるって」

「車?」

「はい、黄色い鳥の絵が描いてある保育園バスを探せって…なんだかすげえあわてた様子で…」

「黄色いバス!?」

僕は、垣根のなかから目を丸く見開いた

 

「銀二さんそのバスっていったい?」

「ああ、詳しくはわかんねーんだけど、熊井さんがぼこぼこに襲われたらしくてな、犯人のその危ねえ野郎と舎弟分が二人そのバスに乗ってるらしいから、手分けして探せってよ…」

「熊井さんが襲われた?」

「あぁ、驚きだろ、あの二メートルのスキンヘッドの巨漢をボコボコに襲うぐらい、とんでもない野郎がいるなんてよ…」

 

「くっ…熊井さんを襲った男って…そ、そんな危ない人が、あのバスの中に……」 

「あのバス?…何だ吉宗、お前見たのかそのバス…」 

僕は青ざめた顔で小さくうなずくと

「そ…その中にめぐみちゃんが、めぐみちゃんが……」

「めぐみちゃん!?」

「たっ大変だ…めぐみちゃんが…めぐみちゃんがー!……」

「おい、吉宗、めぐみちゃんがどうしたんだよ、おい!」

「た、大変だーーめぐみちゃんが、大変だーーーー!」

僕は大声で叫ぶと同時に、あたりをキョロキョロ見渡した、そして目の前のおばさんとその横に置かれたママさん自転車に目を止めると

「それ!かじてくださいーーーーーーー!」

大声で叫びながら、おばさんを押しのけ、となりにあった自転車にまたがった、そして大声で

「めぐみちゃーーーーーーーーーーーーーーーーーん!」

叫ぶと同時に、ママチャリをすさまじい速さでこぎながら、バスが向かった方角に走り出したのだった

「な、なに?、なんなの?…」

突然の出来事に、一瞬キョトンと見ていたおばさんは、やがて、自分の自転車を持ち去られたことに気がつくと

「あーー私のの自転車!?、こらーー待てーーどろぼーーーー!」

あわてて僕に向かって叫んでいた…

 

 

 

そのころ、バスの中では、自分の身に危険が迫っていることなどまったく知る由も無い、めぐみちゃんが、真剣な顔でバスの外を見つめていた

「あの、三波先生、吉宗君を見た所っていったい?」

「ああ、たしかさっき、このあたりを走っていたから、もう少し先にいってるんじゃないかな?…大丈夫ちゃんと見つかりますよ…」

「ありがとうございます…」

「それより、ちょっと後ろの園児、お願いできますか?…」

「あっ、はい…」

めぐみちゃんはうなずくと、後ろの席で静かにじっとしている、黄色い子供の帽子を見た、

「三波先生、それじゃ私後ろの子のそばに行ってますから、彼のこと見つけたらよろしくお願いします…」

「はいはい、大丈夫ですよ、ちゃんとお教えしますから、安心して下さい……それにしても、よっぽど好きなんですね、彼のこと、ちょっ焼けちゃうな、はははは…」

三波はさわやかな笑顔でめぐみちゃんを見た

めぐみちゃんは照れくさそうに微笑むと、揺れるバスのシートづたいに後部座席へ近づいていった、そして黄色い小さな帽子の子に顔を近づけると

「少しの間だけど、お姉ちゃんでよかったら、一緒に遊んでくれる?」

そう声をかけながら、ハッと顔を引きつらせた…

「ほう、姉ちゃんがワイと遊んでくれるんかいな?そらあ、楽しそうやのう…」

「!?」

そこに座っていたのは、小さな園児ではなく、鋭い目つきで薄ら笑いを浮かべ、じっと彼女を見ている西条竜一だった…

続き
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Megulank_3
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2009年6月 3日 (水)

ダービー14着…涙TT

楽しみだった日本ダービー、トライアンフマーチの結果は14着に終わりました…crying

午前中の馬場コンディションだったらまだ良かったものの、突然降りだしたバケツを返したような大雨、おかげで芝もダート状態…正直レースになりませんでしたーshock

そんな状況であの見事な足を見せたロジユニバース、彼はやはり世代最強馬ですね…

マー君、今後はいったんグリーンウッドへ放牧に出して、おとなしくしていたら北海道で夏休み、やんちゃするようなら、レースを使ってくるそうです。

私としては、鬼の居ぬ間に…で、ここで賞金を加算しながら、もうすこし競馬を教えこんでもらえたら、そんな事を思っています。

結果は残念でしたが、無事応援幕も張り出して、楽しいダービー観戦になりましたーhappy01

正直ダービーの間、仕事も何も手につかず、吉宗君の更新もさぼりまくってましたが、ウマウマモードもこれで一段落、さあ、これからは吉宗君のお話をメインにバシバシ書きまくりますよーhappy01

本当にしばらくお待たせしましたが、明日か明後日には新作アップしますので、もうちょっとだけお待ちくださいcoldsweats01

とりあえず、今日はダービーのときの模様VTRをどうぞcoldsweats01

来年もこの感動を味わいたいなー、出来れば優勝なんて…

ここは、山の神もまだ知らない、一口愛馬、マー君の弟、インペリアルマーチに期待しましょうhappy01

Markunkinenmini

ダービー出走横断幕用のイラストで作ったマー君のデザインです、綺麗にプリントしたものをご希望の方に記念馬券付きでで差し上げまーす…happy01

ご希望の方はメールに送り先など書き込んでお送りくださいnote

アドレスはお笑い漫画職人サイトのメールコーナーから、お願いいたしますhappy01

数に限りがありますので、無くなってしまったらごめんなさーいですcoldsweats01

Megulank_3
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