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2009年6月 9日 (火)

第85話 消えためぐみちゃん…

「めぐみちゃーん…めぐみちゃーん!」

銀二さんの超恥ずかしい仁義現場からあわてて離れた僕は、再びめぐみちゃんを探しながら、やがて国道沿いにある小さな薄暗いガードにたどりついた

「あれ?…こんな所に…」

中を覗き込んだ僕は、

(なんだろう、このいやーな感じ?…)

直感的にその先で、めぐみちゃんが何か得たいの知れない危機にさらされている、そんな気配を感じ取ったのだった…

「めぐみちゃんが!?…この先に…、この先にいるのか?」

それは、まさしく彼女に対する愛のテレパシーだった…そして僕は夢中でガードを通りぬけ、国道の反対にある静かな通りに出ると同時に、はっと目を輝かせた…

「あっ、あれは?」

遠く離れた所に停車している黄色い保育園バス…そして、その脇に、うれしそうな笑顔で立っている、めぐみちゃんの姿が!

(あー!めっ、めぐみちゃん!…めぐみちゃんが…)

僕は彼女を見つけた喜びから、思わず目を潤ませた…そして声をかけようとしたその時、

(はっ!…でっ、でも、どうやって声をかけたら、あんなに傷つけて怒らせてしまった彼女に…ど、どうやって……)

僕の頭に、そんな迷いが…、その一瞬の迷いの隙に、何とめぐみちゃんはバスの中へと入っていってしまったのだった…

「あっ、めぐみちゃん!!」

ブシューーー!

「あーーーーーーーーー!?」

まさに一瞬の迷いが生み出した出遅れから、無情にもドアは閉ざされ、めぐみちゃんを乗せた園バスは静かに走りはじめてしまった…

 

「あーーー、待ってーー!!」

夢中で叫びながらバスを追いかけた、しかし、バスはスピードを上げ、やがて僕を振りきるように、先の大通りへ出ていってしまった…

「めっ、めぐみちゃん…めぐみちゃん…待って…そのバス待ってー」

僕は大声で叫びながら、無我夢中で大通りに飛び出した、と、その瞬間!

キキキキーーーーー!!

「あーー、危ない!!」

「うわーーー!?」

グシャガゴー、ガラガラガッシャーーーン

通りに飛び出した僕は、歩道を走るママチャリのおばさんと激突、そのまま飛ばされて、道路脇の街路樹の中へ… 

「痛たた、何よあんた、危ないじゃないの急に飛び出して来て!」

おばさんが倒れた自転車の前で大声で叫んでいた、しかし、僕の耳にはそんな声など入らず

「めぐみちゃん…めぐみちゃん…」

街路樹の垣根の中から、ぐしゃぐしゃな顔で、遠ざかるバスの姿を見つめていた…

 

「あらー、ヨッチーちゃん!そこにいるのはヨッチーちゃんじゃない…ねえ、お慶ちゃんヨッチーちゃんよ」

そんなところへ、一緒にめぐみちゃんを捜していた女衒の栄二さんが、おネエ走りで近づいてきた…

「あー栄二しゃん、お慶しゃん……」

「何やってのそんな所で、めぐみちゃんは、見つかったの?…」

「はい、見つかったんだけど、だけど…」

「だけど、どうしたの?」

僕はバスが走り去った方角を指差すと

「バスに乗って行っちゃったんですーーー」

「バス?」

「はい、黄色いバスに…あれ?…」

「どうしたの、吉宗君…」

「そういえばあのバス、ひばり保育園って書いてあったような…」

「ひばり保育園?」

お慶さんは不思議そうに首をかしげると

「ひばり保育園のバスだったらいつも保父の三波先生が運転して、子供達の送迎をしているんだけど…」

「三波!?」

「ええ、でもおかしいわね、あそこ夜間送迎はしてないはずなのに…」

「三波が…三波が…」

僕はイケメン三波の氷のような顔を思い浮かべ思わず唇をかみしめた、そんな様子を見ていた栄二さんが

「お慶ちゃん、その保父の三波って、いったいどんな殿方なのかしら…」

「若くてかっこよくて、お母さんがたからも人気がある子だけど…」

「アラ…若くてかっこいい?」

ニヤッと笑うと、僕を見て

「若くてカッコいい男の運転するバスに、うれしそうに乗り込むなんて、めぐっぺったら、まあ、やるわねー」

「やるって、あ、あの栄二さん…」

「めぐっぺも所詮そのレベルの女だってことよ、いい男に誘われると、ほいほいケツふってついていくそんな女だったのよ…ホホホホホ」

「ち、違います、めぐみちゃんはそんな人じゃないです!」

「ヨッチーちゃんは女の本性を知らないのよ、女なんてみんなそんなもの、だから女のめぐっぺより男の私がいいっていってるんじゃない、ホホホホホホ…」

「ちょっと栄ちゃんドサクサにまぎれて何言ってるの!」

お慶さんはムッとした顔で栄ちゃんの腕をこずいた

 

(そっ、そんな、めぐみちゃんが、ほいほいお尻をふって付いていくなんて……)

「コラー、吉宗君!あなたも今めぐみちゃんのこと疑ったでしょ!」

「えっ!?」

「彼女はそんな子じゃないって、分かってるでしょ…」

「あっ…はい!」

僕はあわててうなずいた

 

「あれー?そこにいるの栄ちゃん?栄ちゃんじゃん…」

僕が飛び出してきた路地から、今度は仁義を済ませたらしい銀二さんが姿をあらわした

「あらまあ、銀ちゃんじゃない…あんた、これと好いことしてたんじゃないの?これと…」

栄二さんは小指をつき立てると、笑いながら銀二さんをからかった

「そうなんだけどさ、急に追島の兄いから電話があって…あっ!…」

銀二さんは栄二さんのとなりにお慶さんをいるのを見て、思わず声をあげた…

「何で、栄ちゃんとお慶さんがいっしょに?……やべ、お慶さんの前で、追島兄いの名前は禁句すね…」

あわてて頭を掻いた…お慶さんはそんな銀二さんに照れくさそうに

「銀ちゃんいいのよ、もう気を使わないで…」

「えっ?」

「銀ちゃん、お慶ちゃんね、追島ちゃんのこと許すことにしたのよ…ホホホホ」

「許す?…」

「まあ、話せば長くなるからさ、それで銀ちゃん、追島からどんな電話があったの?」

「あっ、実は車を捜してるって」

「車?」

「はい、黄色い鳥の絵が描いてある保育園バスを探せって…なんだかすげえあわてた様子で…」

「黄色いバス!?」

僕は、垣根のなかから目を丸く見開いた

 

「銀二さんそのバスっていったい?」

「ああ、詳しくはわかんねーんだけど、熊井さんがぼこぼこに襲われたらしくてな、犯人のその危ねえ野郎と舎弟分が二人そのバスに乗ってるらしいから、手分けして探せってよ…」

「熊井さんが襲われた?」

「あぁ、驚きだろ、あの二メートルのスキンヘッドの巨漢をボコボコに襲うぐらい、とんでもない野郎がいるなんてよ…」

 

「くっ…熊井さんを襲った男って…そ、そんな危ない人が、あのバスの中に……」 

「あのバス?…何だ吉宗、お前見たのかそのバス…」 

僕は青ざめた顔で小さくうなずくと

「そ…その中にめぐみちゃんが、めぐみちゃんが……」

「めぐみちゃん!?」

「たっ大変だ…めぐみちゃんが…めぐみちゃんがー!……」

「おい、吉宗、めぐみちゃんがどうしたんだよ、おい!」

「た、大変だーーめぐみちゃんが、大変だーーーー!」

僕は大声で叫ぶと同時に、あたりをキョロキョロ見渡した、そして目の前のおばさんとその横に置かれたママさん自転車に目を止めると

「それ!かじてくださいーーーーーーー!」

大声で叫びながら、おばさんを押しのけ、となりにあった自転車にまたがった、そして大声で

「めぐみちゃーーーーーーーーーーーーーーーーーん!」

叫ぶと同時に、ママチャリをすさまじい速さでこぎながら、バスが向かった方角に走り出したのだった

「な、なに?、なんなの?…」

突然の出来事に、一瞬キョトンと見ていたおばさんは、やがて、自分の自転車を持ち去られたことに気がつくと

「あーー私のの自転車!?、こらーー待てーーどろぼーーーー!」

あわてて僕に向かって叫んでいた…

 

 

 

そのころ、バスの中では、自分の身に危険が迫っていることなどまったく知る由も無い、めぐみちゃんが、真剣な顔でバスの外を見つめていた

「あの、三波先生、吉宗君を見た所っていったい?」

「ああ、たしかさっき、このあたりを走っていたから、もう少し先にいってるんじゃないかな?…大丈夫ちゃんと見つかりますよ…」

「ありがとうございます…」

「それより、ちょっと後ろの園児、お願いできますか?…」

「あっ、はい…」

めぐみちゃんはうなずくと、後ろの席で静かにじっとしている、黄色い子供の帽子を見た、

「三波先生、それじゃ私後ろの子のそばに行ってますから、彼のこと見つけたらよろしくお願いします…」

「はいはい、大丈夫ですよ、ちゃんとお教えしますから、安心して下さい……それにしても、よっぽど好きなんですね、彼のこと、ちょっ焼けちゃうな、はははは…」

三波はさわやかな笑顔でめぐみちゃんを見た

めぐみちゃんは照れくさそうに微笑むと、揺れるバスのシートづたいに後部座席へ近づいていった、そして黄色い小さな帽子の子に顔を近づけると

「少しの間だけど、お姉ちゃんでよかったら、一緒に遊んでくれる?」

そう声をかけながら、ハッと顔を引きつらせた…

「ほう、姉ちゃんがワイと遊んでくれるんかいな?そらあ、楽しそうやのう…」

「!?」

そこに座っていたのは、小さな園児ではなく、鋭い目つきで薄ら笑いを浮かべ、じっと彼女を見ている西条竜一だった…

続き
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第一章 侠客鬼瓦興業」カテゴリの記事

コメント

ひぇぇぇぇ~impact
恐ろしいshock

こんなとこで終わらせないでよ作者さんbearing

投稿: けんさぁ | 2009年6月 9日 (火) 16時45分

けんさぁさん、たしかに改めて読み返しても、このラストはshockですね…
急いで続きをアップしなければ…coldsweats01

ダービーモードで休んでいたせいで、さすがのバナナも通じないくらい頭がピーマンになってました…coldsweats01
常にバナナを食べて書き続けないと、やっぱりだめですね…sweat01

投稿: 光一郎 | 2009年6月 9日 (火) 19時35分

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