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2009年8月18日 (火)

第93話 めぐみちゃんの唇…

「めっ、めぐみちゃん…!!」

彼女の姿を見た瞬間、僕の両目から、涙が、どぶぁーっとあふれ出した…

「めぐみちゃん…めぐみちゃん…」

僕は必死に彼女の元へ近寄ろうとしたが、今までの激闘の影響から、足がもつれてその場にコロッと転がってしまった…

「めぐみちゃん……」

それでも必死に体を起こした僕にめぐみちゃんが

「吉宗君!!」

大声で叫びながら、飛びついて来た…僕は生きて再び彼女に会えたうれしさから、満面の笑みを浮かべながら 

「勝った…僕、勝ったよ…めぐみちゃん、勝ったよ…」

「うん、すごい…すごかったよ…かっこよかったよ、吉宗君…」

「よかったー、めぐみちゃんを助けることが出来た、本当に良かったーー」

「ありがとう…吉宗君、ありがとう…」

めぐみちゃんは僕の胸に顔を寄せながら大粒の涙をこぼしていた…、そんな彼女を僕は一生懸命にぼろぼろの体で抱きしめたのだった…

 

少しして僕は、ハッと大切なことに気がついた

(そ、そう言えば、めぐみちゃん…あの男にひどい目に!…)

そう思った僕は、優しく彼女の肩を抱いて

「可愛そうに…酷い目に合わされて……」

「えっ?…」

「ううん、何も言わなくていいのらよ…いいのらよ…」

身も心も傷つけられてしまった彼女の悲しさを思い、再びボロボロと涙を流していた…

めぐみちゃんは不思議そうに首をかしげると、ハッと明るい表情をうかべ

「吉宗君?…私…」

真剣な顔で話しかけてきたが、僕はあわてて彼女の口を押さえると

「ううん、いいんら…、何も言わなくていいんら…たとえ野獣に花園を踏みにじられたって、めぐみちゃんは、めぐみちゃんなんらから…」

「花園を踏みにじられる?…」

めぐみちゃんは再び不思議そうに僕を見た後、ケラケラと笑い始めた…

「違うよ吉宗君…」

「えっ?」

「さっき、あの人が言ってた言葉でしょ…あれ全部嘘だよ…」

「えっ、嘘?…」

めぐみちゃんは再びケラケラと笑うと

「私、あの人に、変なことなんて、何もされて無いんだよ…」

「えっ?…らって、めぐみちゃんの処女を?…」

「やっ、やだ!もう!!…」

バシッ!!

めぐみちゃんは急に真っ赤になると、僕の顔面に強烈な張り手を見舞ってきた

「ぐわっ…」

僕は鼻血を噴出しながら、その場に仰向けに倒れた…

 

「あっ!…ごめんなさい、つっ、つい…だって、吉宗君、変なこと言うから…」

「変なことって、らって…あの人が…」

「あの人の言葉は全部嘘…」

めぐみちゃんは倒れている西条を指差すと、

「バスの中に連れ込まれた時、私、正直にもう駄目だって、そう思った…最初はあの人、すごい血走った怖い目だったし…」

「怖い目…」

「うん…、でもね、私バスの後ろの席に追い詰められながら思ったの…命がけで助けに来てくれた吉宗君のためにも、私も頑張って闘わなきゃって…私だって命がけで身を守らなくちゃって…それでね…」

めぐみちゃんは、照れくさそうにうつむくと

「それで、私、あの人に向かって、思いっきり叫んだの……この体は、吉宗君以外にはさわらせない!絶対にさわらせないんだから!…死んでも、さわらせないんだからって…」

 

「めっ、めぐみしゃん!…」

僕は鼻水まみれの顔で、真剣に彼女を見つめた…

「えっ、あっ!…やだ…私……、だって、あの時は必死だったから…」

「めぐみしゃん…うっ、うれしいのら…そこまで僕の事を…うれしすぎるのら…うぐぅ、うぐうぉ~!」

僕は感激のあまり、ぐしゃぐしゃの顔で、泣き崩れていた…

「やだー、ま~た、そんなに泣いて、さっきとはまるで別人じゃない…」

「さっき?…」

「あの人と闘っていた時の吉宗君よ、すっごくかっこよかったのに…ふふふ…」

 

「あっ!?」

僕はめぐみちゃんの言葉で、ふっと桃さんの事を思い出した…そしてあわてて首を横に振ると

「ちっ、違うんだ…めぐみちゃん、さっきの僕は、僕であって僕じゃないんだ…」

「吉宗くんじゃない?…」

「うん、うん…あれは桃さんなんだ、桃さんが僕に憑依して…」

「桃さん?憑依?…」

「そう、桃太郎侍さんが、僕に憑依したんだ、それで、あんな風に…」

「桃太郎侍!?…」

めぐみちゃんは、しばらくの間、僕を見ていたが、突然目を三日月のように細めると

「きゃはははは…何言ってるの、面白~い…吉宗君ったら、桃太郎侍が憑依しただなんて、おもしろすぎ~…きゃははははは…」

大声で楽しそうに笑い続けた…

「いや、笑ってるけど、本当なんだって…本当に桃さんが…」

「吉宗君らしい…」

「えっ!?…」

「本当はすごい力があるくせに、そんな冗談言ってごまかしたりして…でも、そんな謙虚な所がまた、すご~くいい所なんだよね…ふふふ…」

めぐみちゃんはうれしそうに微笑みながら、僕の腕に手をまわしてきた…

「いや、謙虚じゃなくて…」

そんな時、再び僕の耳に、桃さんの野太い声が響いてきた…

(倅殿よ、良い良い…確かにワシの働きも大きかったが、それはそなたの真実の愛の力があったればこそじゃからのう…) 

(桃さん!…)

(さーて、これで、ワシの役目も終わった…そろそろ帰るとするかのう…)

(帰る?…)

(うむ…その愛する女子と、末永く睦めよ、倅殿…)

(桃さん!)

(でわ、いざ、さらばじゃ!)

その声と同時に僕の体から、何かがぐっと抜け出ていくのを感じた……

(さらばじゃ…倅殿よ…倅殿よ…倅殿よ…)

桃さんの野太い声は僕にそう告げると、静かに遠さかって行ったのだった……

 

(ありがとう…ありがとうございました…桃太郎侍さん…)

  

「吉宗くん?…ねえ、吉宗くんってば…」

「えっ!…あっ!?」

気がつくと、めぐみちゃんが、不思議そうに僕を見つめていた

「どうしたの?遠くの方を見つめちゃって、ぶつぶつと…」

「あっ、だから、桃さんが…」

「また、それ…しつこいですよ…」

めぐみちゃんはそう言いながら口をぷっと膨らますと

「私が一生懸命、バスの中での続き話してるのに、また桃さんがなんてふざけて…本当は心配してなかったんだ、私のこと…」

「えっ、違う…そんなことない、すっごく心配で心配で…」

僕は大慌てで手を振った…めぐみちゃんはしばらくじーっと僕を見た後、再び興奮した様子でさっきの続きを話し始めた…

 

「そう、私がバスの中で必死に叫んだ後…」

「叫んだ後?…」

僕も真剣にめぐみちゃんを見つめた…

「うん…私が叫んだ後、あの人しばらく真剣に私の事を見ていて…それから急に笑い始めたの…」

「わっ、笑う?…」

「うん…、急に笑い出したと思ったら、今度はバスの入り口に腰掛けて、一人静かにタバコを吸い始めて…それでも私、すごく怖かったから、後ろの席からじーっと、あの人のこと見てたんだけど…」

めぐみちゃんは再び倒れている西条を見ると

「今度は急に悲しそうな顔をして…黙って窓の外を見ていたの…」

「悲しそうな顔?…」 

「うん…それどころか、あの人、三波先生に首を絞められている吉宗君の事を見たとき、あわてて止めに行こうとしたんだよ…あのバカ、まじで殺すきや…そう言いながら…」

「えっ?…僕を…どっ、どうして?…」

「わからない、でも、吉宗君の言ったとおり、あの人、本当は悪い人じゃないって、私も思うの…」

「………」

僕は、静かに倒れている西条を見た…

 

「でも、どうして…この人はめぐみちゃんを犯したなんて、あんな嘘を…」

「わからない…」 

めぐみちゃんは不思議そうにつぶやいた後、照れくさそうにそっと僕の腕に顔をすり寄せて来た…

「でも、うれしかったな…、吉宗君が言ってくれた、あの言葉…うふふっ…」

「僕の言葉?」

「うん、私に何があっても、真実の愛は変わらないって…」

「そっ、そんなことを僕が?…」

「あの時の吉宗君…すごーくかっこよかった…私、もっともっと大好きになっちゃった…」

そう言いながら、めぐみちゃんは熱い瞳で僕を見つめてきた…

 

「め、めぐみちゃん…heart04

「吉宗くん…heart04

僕たちは、ほんわか~っとしたバックを背景に、じーっと潤んだ瞳で見つめ合っていた…そして、気がつくと彼女は美しいピンクの唇を僕に向けながら、そっと目を閉じていたのだ…

 

(えっ、めっ、めぐみちゃん…これって、もしや、キス!……)

僕の心臓はドキドキと爆音を鳴らし始めた

(つっ、ついに僕とめぐみちゃんが、キッ、キッスを…、)

心臓の爆音を響かせながら、再び彼女の事を見た…そこにはやはり目を閉じて頬を染めているめぐみちゃんが…

 

(キスだ…やっぱりキッスなのだ…、ここは、かっ、かっこ良く決めなくては…)

そう思った僕は、あわてて目を閉じると、重大な事を忘れたまま、彼女の可愛い唇に、震える僕の唇を近づけていった…と、その時だった…

 

「お、おおお…俺も、大好きになったっすーーーー!…」

 

「えっ!?」

「!?」

僕とめぐみちゃんはあわてて目を開いた…そこには、ボロボロに欠けた歯でうれしそうに笑っている金髪の鉄の大きな顔があったのだった…

「うわーーー!?」

僕は驚きのあまり、もんどりうって倒れた…忘れていた重大な事、それは僕の隣に、あの鉄がいたという、最悪の事実だったのだった…

「いやだー、鉄君も…、いっ、いたんだよね…」

めぐみちゃんも、あわてて僕から離れると、顔を真っ赤にして鉄を見た…

 

「でへへへ~、今…兄貴と、めぐみさん、チューしようとしたでしょ……ねえ、ねえ、チューしようとしたでしょ…」

「なっ、何言ってるのよ、鉄君、ちっ、違うってば、ただ、眠くて目を閉じただけで…」

「じゃ…じゃあ、兄貴は?…兄貴は…な、な、何で…目閉じてたんっすか?…ねえ、ねえ…」

「あっ、あの、それは…僕も闘いで疲れて眠かったから…ははは…ほら、あの人との闘いで…」

そう言いながら、僕の横で倒れている西条の方を指差した…がっ!!

「あれ!?…」

見るとそこには、今まで倒れていたはずの西条の姿が消えていたのだ…

 

「いっ、いない!…あの人が、いない!!」

僕はあわてて後ろを振り返り、思わず青ざめてしまった

「ぐわっ、いっ、いつの間に!?」

そこには再び木刀を握り締め、恐ろしい顔で僕を見ている悪鬼、西条竜一の姿があったのだった…

続き
第94話 吉宗くんは日本最強 へ…

イラストカットは近日アップします^^

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第一章 侠客鬼瓦興業」カテゴリの記事

コメント

めぐみちゃん無事で良かったuphappy02

もう桃さん居ないのに、なになにsign02sweat01
大丈夫なんshock

投稿: けんさぁ | 2009年8月18日 (火) 13時10分

けんさぁさん

盆休みと別の仕事で更新がおくれてしまいましたが、どうやらめぐみちゃん、無事だったようですcoldsweats01
よかった~sweat01

ところが一難さってまた一難、ふたたび西条が…shock

と、そんなさなか書いてる私は、吉宗くんのソープランドのシーンを読んで笑っていました…
あのシーンはけっこう笑えますね^^自分で書いたくせに大番頭にかくれてケタケタ笑ってましたcoldsweats01

投稿: 光一郎 | 2009年8月18日 (火) 17時40分

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