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2009年8月

2009年8月30日 (日)

第94話 吉宗くんは日本最強!

「ぐはぁ、ぐはぁ…」

木刀を握り締めた西条竜一は、苦しそうな息づかいで、じっとこっちを見ていた…

「ぐはぁ、はぁ…」

僕は、そんな西条から、一生懸命、目をそらさずに、

(桃さん…桃さん…)

心の中で、桃太郎侍さんを呼び続けた、しかし、桃さんはすでに僕の体から離れ、消えてしまっていたのだった…

(そっ、そうだ…桃さんはもういなかったんだ…)

 

「小僧~!…」

西条は、一言つぶやくと、一歩足を近づけてきた…、   

「めっ、めぐみちゃん!こっち…」

無意識に彼女を後ろに隠すと、僕は足を震わせながらも、必死に西条を睨み続けた…

ところが…

カラン!

西条は突然手にしていた木刀を後ろに放り投げると、その場で目をとじてしまった…

「えっ?…」

僕達は目を丸くしながら、じっと目を閉じている西条を見ていた…と、そんな時、今まで震えていた鉄が、  

「おう…こっ、こらっ!…兄貴にやられたくせに、何を、すっ、…すかしてやがんだ…こっ、この野郎!…」

「わっ、やめろ、バカ!…鉄!!」

「いやっ、兄貴は黙って見ててください…あとは、俺がきっちり落とし前つけてやりますから…おうこら~、何黙ってんだよ、このやら~!」

「………」

「何シカトしてんだよ…こっ、こっ、こら~!」

調子に乗った鉄は、西条の胸ぐらをつかんだ…と、その瞬間…今までじっとしていた西条がカッと目を見開き…

「どけっ!!」

その大きな手で、力いっぱい鉄の顔面を張り飛ばした…

バゴッ!!

「ふんがぁ~!!」

踏み潰された蛙の鳴き声のような、あわれな声とともに、鉄はその場から数メートル吹き飛ばされ、ボロボロの歯をおっぴろげて気絶てしまったのだった… 

(だっ、だからやめろって言ったのに…)

僕は情けない顔で鉄を見た後、そっと西条に目をむけ、ハッとした…、僕の前に立っている西条竜一の目は、今までの悪鬼のようなものから、澄み切った優しい目に変わっていたのだった…

 

「えっ…?、えっ、あの?…」

首をかしげている僕たちを、西条はやさしい目でじーっと見ていたが、やがて、

「参ったわ…あそこであんな鋭い突きを出してくるとは…ほんまに参った…完敗や…」

そう言いながら、ガクッとその場に膝を落とした…

「あっ!…だっ、大丈夫ですか?…」

あわてて近寄ろうとする僕を、西条は手で静止すると、今度は僕の後ろにいためぐみちゃんに目を移した…

「姉ちゃん…あんた、この兄ちゃん以外には、指一本ふれさせん言うたな…」

「はっ、はい…」

「あんた、男を見る目があるわ…」

「えっ!?」

「この兄ちゃん、ほんまもんや…、ほんまもんの男や…ええ男や…」

今までとはまるで別人の、とても優しい目で微笑んだ…めぐみちゃんはその言葉に、思わず頬をそめながら

「はっ、はい…吉宗君は、世界一なんです…」

今まで恐ろしい目にあわされたにもかかわらず、素直に微笑み返していた…

 

「世界一か…ははは……」

西条は一瞬うれしそうに笑ったあと、急に真剣な顔で手をつくと、僕たちに深く頭を下げた…

「詫びてすむもんやないが…、ほんまにひどいことして、すまんかった…」

「はっ!?」

「ほんまにすまんかった…」

「あっ、いや、あの…ちょっと…」

急に頭を下げられ、僕はあわててめぐみちゃんを見た

「あの…手をあげてください…」

めぐみちゃんは、そう言いながら西条に近寄ると… 

「あなたは、結局、私に何もしなかったじゃないですか、だから…、手をあげて下さい…」

「すまんかった…ほんまにすまんかった…」

西条はじっと腕をついて頭を下げ続けていた…、

 

「やっぱり、僕の思ったとおりでした…」

「思った通り?…」

「はい、貴方は、悪い人じゃなかった…、貴方の目は、うちの親父さんや、追島さんと同じ、怖いけど、その奥にやさしさが隠れている気がして…だから…」

僕の言葉に西条は思わず顔を上げ…

「ワイが、鬼辰の親父や追島と同じ目?…」

そのまま眉間にしわを寄せた、

「ワイが、…同じ目…、まだ、同じ目しとったんか…ワイが…」

ぶつぶつと一人呟きながら、じっと遠くを見つめていた…

  

「あの…鬼辰の親父って…あなたは御存知なんですか?…鬼瓦のおじさん達のこと?…」

めぐみちゃんの問いかけに、西条は静かにうなずくと、

「よう知っとる…なんせ昔は、ワイも、この兄ちゃんと同じテキヤやったからな…」

「テキヤだった!?…」

「ああ…」

西条は少し寂しげにうなずくと、そのまま夜空を見上げて、

「こんなワイが…まだ、鬼辰の親父たちと同じ目をもっとったとは……健太…お前のおかげかのう…おまえの…」

まるで、見えない誰かに話しかけるように、ぶつぶつと独り言を呟いていた…、僕達はそんな西条のことを静かに見つめていたのだった…

 

どれくらいたったか…、やがて、西条は、何か吹っ切れた、そんな晴れやかな表情で、僕達に顔をむけると  

「やっぱりワイは間違っとった…兄ちゃんに一発もらって、ほんまにようわかったわ…というか、大事なことを教えてもろた…」

「教える?…」

「ああ、ほんまの愛っちゅうものに勝てるもんは無い…、兄ちゃんはほんまに、その愛ちゅうやつで、守り抜きおったからの…」

「はっ?…」

「命をかけて、ほんまに大切なものを守りおったんや…兄ちゃんは守り抜きおったんや…ふふふ…」

「…あっ!…」

僕はめぐみちゃんのことを照れくさそうに見つめた…

「…よっ、吉宗君…」

彼女も僕を見て、ポッと頬をそめてきた…西条はうれしそうに、そんな僕たちを見ながら

「こんなにええ二人に…ワイはもう少しで取り返しのつかんことを、してしまう所やった…ゲホッ、ゲホッ…」

深々と頭をさげながら、僕が突き上げた喉元をを抑えて、むせかえっていた…

「だっ、大丈夫ですか?…」

「だっ、だいじょうぶ、だいじょうぶや…ゲホッ、」

「すっ、すいません…」

「何で、兄ちゃんが謝るんや…ははは…、ゲホッ、ゲホッ…しかし、ほんまにすごい突きやった…現役から遠ざかったとは言え、長いこと棒振りやっとって、初めてやあんあに鋭い突きをくらったのは…」

「あっ、あれは、ぼっ、僕じゃなくて、僕に憑依した桃さんが…」

「桃さん?」

「はい、桃太郎侍さんが僕に憑依して…」

「桃太郎侍?…憑依?…」

西条は驚きの顔で僕を見た後、

「ぐはははは、ぐはははっはははっはっは…」

おなかを抱えて笑いながら、めぐみちゃんを見た

「あんたの彼氏、おもろいやっちゃな~!…がははははは…」

「そっ、そうなんです…さっきから彼、そればっかり…」 

「そしたら、ワイは桃太郎侍に負けたんか?…鬼退治されてもうたんか?…はははは、そらあ、勝てるわけないわ…桃さんじゃ、勝てん勝てん…ははははは…」

「あの、だから、冗談じゃなくて本当に桃さんが…」

「おもろいわ、ほんまに兄ちゃんおもろいわ、はははは」

「ふふふふ、考えると面白い…ふふふふ…」

「えっ、だから…はあ、ははは…」

いつの間にか、僕たちは今まで起きた事件や、わだかまりなどすっかり忘れて、笑い続けていたのだった…

 

そんな時、遠くはなれた倉庫の方から、聞き覚えのある甲高い奇声が響いてきた…

「ヨッチ~ちゃーーーーーーーーん!!」

「…こっ、この声は!?…」

僕は恐る恐る奇声の発せられて来る方角を見た… 

「いたわ~!いたわよ~お慶ちゃん、銀ちゃん、ヨッチーちゃんよ、ヨッチーちゃーーん!!」

予想の通り奇声の主は、女衒の栄二さんその人だった…栄二さんはよほど僕を心配したのか、ぐちゃぐちゃに泣き崩れた、それはすさまじい顔で僕たちの方に向かって、おネエ走りで近づいて来ていた…

 

「えっ、栄二さん!!」

「あ~!、よかったわ~ヨッチーちゃん、無事だったのね…もう私、心配で心配で…」

大声で叫びながら、僕の体に巻きつくと、得意のオロチのような舌をべろべろさせながら、大きなエラをグリグリと僕の顔面に尽きさして来た…

「ぐあっ、痛い…痛いです、栄二さん…」

「何を言ってるのよ、もう!…、一人で飛び出していって、あたしがどれだけ心配したと思ってるのよ…バカ、バカ!!ヨッチ~ちゃんのバカ~ん!!」

栄二さんは泣きながら、首を横に振って、その大きなエラを僕の顔にガンガンとぶち当てて来た…

 

「ちょっと、栄ちゃん!…そんな大きなエラ振り回したら、私の吉宗君が怪我しちゃうでしょ!…放れなさいよ!!」

「あらっ、誰かと思えば、イケメン男にホイホイとお尻を振ってくっついて行った、バカ娘も一緒だったわけ…」

「ホイホイお尻を振ってって?…何、変な事言ってんのよ!」

「あらっ、本当の事言って何が悪いんだわさ、ホホホホ…、イケメン保父にお尻振ってバスに乗り込んだくせに、おかげでヨッチーちゃんが、危険な目にあったんじゃないの…」

「まあ、あったまきた…栄ちゃんでも、絶対に許せない!」

「何よ、どう許さないって訳…」

「こうよ!」

めぐみちゃんはグッと爪を立てると、栄二さんの大きなエラをかきむしり始めた…

「きゃー、痛い、痛いじゃないのさ…このチンチクリン娘が!」

「ちょと、めっ、めぐみちゃん…栄二さん…」

僕は額から数本の青筋を垂らしながら、二人の闘いをなすすべも無く見ていた…、

 

「ほう、なんや兄ちゃん…、かわいい彼女がおりながら、オカマとも二股かけとったんかいな…両刀使いとは、まったく、大したもんやな、はははは…」

「えっ!…あっ、違います…あの人は栄二さんって言って…」

「女衒の栄二やろ…」

「えっ?…」

「ワイのまぶダチや…残念ながら、向こうは今じゃ、そう思うとらんやろうがの…」

西条は寂しげにそう言うと

「おいっ!女衒の栄二!!」

大声でそう叫んだ…

 

「えっ?私を呼ぶのは何方かしら?…」

栄ちゃんはキリンのように首をぬっと持ち上げると、声の方に目を向け、突然今までのやさしい顔から、ぐっと真剣な顔になった…

「りゅっ、竜一!?…」

「ひさしぶりやのう、栄二…」

「竜一、あんた…」

怖い顔をした栄二さんの後ろから、今度はお慶さんが近づいて来た

「竜一さん!?…やっぱり竜一さんね…」

「おっ、お慶ちゃん?何だ、お慶ちゃんじゃないか…」

「あぁ、やっぱり竜一さんだったのね…」

「これまた久しぶりやなぁ、ここでお慶ちゃんと会えるとはのう、ははは…」

「ハハハじゃないでしょ、竜一、あんた…」

栄二さんは急にあたりを見渡し、黄色い保育園バスを見た…、そして、はっと、めぐみちゃんに振りかえると

「めぐっぺ…そうだわ、あんた…大丈夫だったの?…」

「えっ?…大丈夫って…」

「竜一とイケメン保父に、変な目にあわされたんじゃ…」

「あー、それ…」

めぐみちゃんは、うれしそうな笑顔を浮かべ、隣にいた僕の腕に手をまわしてきた

「それだったら、大丈夫よ…、私の吉宗君が、真実の愛で守ってくれたから…真実の愛でね…」

「真実の愛?…ヨッチーちゃんが守る???…」

栄ちゃんは、憎らしそうにめぐみちゃんを見た後、西条の方に目を向けた…

「ああ、始めはこの姉ちゃんを襲ったろう思うたのやがの、この兄ちゃんに、こっぴどくぶちのめされて、あわれ、このざまや…」

西条は腫れ上がった喉を、栄二さんとお慶さんに向けた…

「ヨッチーちゃんに、ぶちのめされた!?…」

「ああ、ワイの強烈な面をかわされ、見事な突きを食らってしもうたんや…」

「面に突きって、それじゃ竜一、あんた、ヨッチーちゃんと剣術で闘ったの?」

「ああ、ワイの得意な棒振りで、見事にぶちのめされてしもうたんや、はははは…」

「ヨッチーちゃんが、剣術で竜一を…」

「吉宗君が、…うっ、うそ…」

栄二さんとお慶さんは、驚き顔で僕の事を見た…

 

「えっ?…どうしたんですか?…お慶さん、栄二さん…」

「ヨッチーちゃんが浪速の武蔵を、剣術で負かすなんて…」

「浪速の武蔵?…あれ、どこかで聞いたような………浪速の?…」

僕はそこで、ハッと子供のころに夢中で見た、剣道大会のテレビを思い出した…

(そういえば昔、全国剣道選手権で三連覇を成し遂げた、伝説の剣術家が、浪速の武蔵そう呼ばれていた…名前は確か、西条?…西条…)

「浪速の武蔵、西条竜一!?」

僕は大きな口を広げながら、栄二さんとお慶さんを見た…

「あらっ、西条竜一って、ヨッチーちゃんも知ってたの?…竜一のこと…」

「知ってるも何も、子供のころあこがれた、伝説の剣士ですよー!」

慌てて西条を見ると 

「それじゃ僕は、日本一の剣術家と闘ってしまったのですかーー!?」

「日本一か…遠い昔の話やな…」

「うそーー!吉宗くんすごすぎるー!剣道部で全然強く無かったなんて言って、あれは嘘だったんじゃない…もう、吉宗くんったら嘘ツキ…」

「いや、だからめぐみちゃん、さっきのは僕じゃなくて桃さんが…」

「もう、吉宗くん、かっこ良すぎ~!」

めぐみちゃんは、僕の言葉など聞かず、うれしそうに腕に顔をすりよせた…そんな僕に栄二さんも 

「すごいわ~!すごいじゃないの、ヨッチーちゃん…現役を離れてるとはいえ、日本一の剣士を打ち負かすなんて…あなたって、やっぱりグレイトな子だったのね~!もう、ますます痺れちゃったわ~ん」

ギラギラ燃えるような瞳で、強烈な熱視線を浴びせてきた…僕はそんな栄ちゃんビームにじりじりと焼かれながら、ふつふつと感動し始めていた…

(たしかに、桃さんの力は借りたけれど、勝ってしまったんだ…棒は日本一の剣士に…勝ってしまったんだ…)

ポーっとした顔で、大きな口を広げ、僕は浪速の武蔵、西条竜一の事を見ていたのだった…

 

 

そのころ…倉庫街から少し離れた、ひばり保育園では…

「あら、研二さん、お帰りなさい…」

「あっ、ただいま姉さん…」

「どうなさったの、顔色が優れないけれど…あれ!それにそのお鼻!?…」

「えっ!?…」

お慶さんの元婚約者、沢村研二は園長である姉に言われ、玄関横にあった鏡に目をやった…

「あっ!…」

そこには、栄二さんの頭突きで、鼻を腫れあがらせた無様な容姿が映し出されていた…

「うぐっ…」

沢村研二はその瞬間、喫茶慶での事を思い出し、悔しそうにぐっと唇をかみしめた…

「ひどい腫れ方じゃないの、とにかく急いでお薬をつけないと…」

園長はそういうと、あわてて部屋の中へ薬箱を取りに入っていった…沢村はそんな園長の後ろ姿を恨めしそうに見た後、ふっと、下駄箱にポツンと一つだけ残っている、小さな赤い靴に目を移した…

「あれ?…この靴は…」

沢村はそっとしゃがみ込むと下駄箱の上に張られた、園児の名前に目をとめ、再び怒りに満ちた表情へと変わっていった…

「何をなさっているの研二さん、薬箱を用意したから、早く中へお入りなさい…」

「あっ、はい姉さん…」

明りのついた教室に足を踏み入れながら、沢村は鋭い目つきで、

「姉さん、あの靴、たしか…」

「ああ、ユキちゃんの靴ね、あの子のママ、そうだ貴方の婚約者ね…ふふ、それがまだお迎えに見えてないのよ…」

「まだ、来てない?…」

「ええ、もう大丈夫だけれど、ユキちゃんお熱を出してしまってね、奥で眠っているのよ…」

園長はそう話しながら、薬箱から消毒薬をとりだすと、それを綿にしたし、沢村研二の鼻の周りの血をそっとふきとった

「ひどいわね、本当にどうなさったの?…こんなに腫らして…」

「あっ、ちょっと木の枝にぶつけてしまって…」

「本当?…気をつけて下さいね…」

「はい…」

「これで大丈夫、明日も痛むようだったら、お医者さんに行った方がいいですよ…」

園長はそう言うと、薬箱の中から体温計だけを取り出し、そっとふたを閉じた…そして静かに立ち上がると

「さあ、それじゃ私、ユキちゃんのお熱、計りに行ってきますね…そうそう、もうじきあの子、私の姪っ子になるんですからね、うふふふ…」

優しく微笑みながら、ユキちゃんが眠っている奥の部屋へと入っていった…沢村研二はそんな園長の後姿をじーっと氷のような視線で見つめていたのだった…

続き
第95話 西条竜一という男 へ

イラストカットは近日アップします^^

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2009年8月27日 (木)

しばしお待ちください(汗

吉宗くんの新しいお話しですが、もうちょっとだけお待ち下さいませ…coldsweats02

進んではいるのですが、とても大事な場面とあって、あれこれと時間をかけちゃっております…

明日かあさってにはアップできますので、ちょっとの間これを読んでお待ちくださいませ…sweat01

侠客吉宗くんの原型漫画ですdownクリックすると以前せっせとアップしたネット漫画がひらけます…

Onigawara

さあ、頑張って楽しく書こうっとnote

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2009年8月18日 (火)

第93話 めぐみちゃんの唇…

「めっ、めぐみちゃん…!!」

彼女の姿を見た瞬間、僕の両目から、涙が、どぶぁーっとあふれ出した…

「めぐみちゃん…めぐみちゃん…」

僕は必死に彼女の元へ近寄ろうとしたが、今までの激闘の影響から、足がもつれてその場にコロッと転がってしまった…

「めぐみちゃん……」

それでも必死に体を起こした僕にめぐみちゃんが

「吉宗君!!」

大声で叫びながら、飛びついて来た…僕は生きて再び彼女に会えたうれしさから、満面の笑みを浮かべながら 

「勝った…僕、勝ったよ…めぐみちゃん、勝ったよ…」

「うん、すごい…すごかったよ…かっこよかったよ、吉宗君…」

「よかったー、めぐみちゃんを助けることが出来た、本当に良かったーー」

「ありがとう…吉宗君、ありがとう…」

めぐみちゃんは僕の胸に顔を寄せながら大粒の涙をこぼしていた…、そんな彼女を僕は一生懸命にぼろぼろの体で抱きしめたのだった…

 

少しして僕は、ハッと大切なことに気がついた

(そ、そう言えば、めぐみちゃん…あの男にひどい目に!…)

そう思った僕は、優しく彼女の肩を抱いて

「可愛そうに…酷い目に合わされて……」

「えっ?…」

「ううん、何も言わなくていいのらよ…いいのらよ…」

身も心も傷つけられてしまった彼女の悲しさを思い、再びボロボロと涙を流していた…

めぐみちゃんは不思議そうに首をかしげると、ハッと明るい表情をうかべ

「吉宗君?…私…」

真剣な顔で話しかけてきたが、僕はあわてて彼女の口を押さえると

「ううん、いいんら…、何も言わなくていいんら…たとえ野獣に花園を踏みにじられたって、めぐみちゃんは、めぐみちゃんなんらから…」

「花園を踏みにじられる?…」

めぐみちゃんは再び不思議そうに僕を見た後、ケラケラと笑い始めた…

「違うよ吉宗君…」

「えっ?」

「さっき、あの人が言ってた言葉でしょ…あれ全部嘘だよ…」

「えっ、嘘?…」

めぐみちゃんは再びケラケラと笑うと

「私、あの人に、変なことなんて、何もされて無いんだよ…」

「えっ?…らって、めぐみちゃんの処女を?…」

「やっ、やだ!もう!!…」

バシッ!!

めぐみちゃんは急に真っ赤になると、僕の顔面に強烈な張り手を見舞ってきた

「ぐわっ…」

僕は鼻血を噴出しながら、その場に仰向けに倒れた…

 

「あっ!…ごめんなさい、つっ、つい…だって、吉宗君、変なこと言うから…」

「変なことって、らって…あの人が…」

「あの人の言葉は全部嘘…」

めぐみちゃんは倒れている西条を指差すと、

「バスの中に連れ込まれた時、私、正直にもう駄目だって、そう思った…最初はあの人、すごい血走った怖い目だったし…」

「怖い目…」

「うん…、でもね、私バスの後ろの席に追い詰められながら思ったの…命がけで助けに来てくれた吉宗君のためにも、私も頑張って闘わなきゃって…私だって命がけで身を守らなくちゃって…それでね…」

めぐみちゃんは、照れくさそうにうつむくと

「それで、私、あの人に向かって、思いっきり叫んだの……この体は、吉宗君以外にはさわらせない!絶対にさわらせないんだから!…死んでも、さわらせないんだからって…」

 

「めっ、めぐみしゃん!…」

僕は鼻水まみれの顔で、真剣に彼女を見つめた…

「えっ、あっ!…やだ…私……、だって、あの時は必死だったから…」

「めぐみしゃん…うっ、うれしいのら…そこまで僕の事を…うれしすぎるのら…うぐぅ、うぐうぉ~!」

僕は感激のあまり、ぐしゃぐしゃの顔で、泣き崩れていた…

「やだー、ま~た、そんなに泣いて、さっきとはまるで別人じゃない…」

「さっき?…」

「あの人と闘っていた時の吉宗君よ、すっごくかっこよかったのに…ふふふ…」

 

「あっ!?」

僕はめぐみちゃんの言葉で、ふっと桃さんの事を思い出した…そしてあわてて首を横に振ると

「ちっ、違うんだ…めぐみちゃん、さっきの僕は、僕であって僕じゃないんだ…」

「吉宗くんじゃない?…」

「うん、うん…あれは桃さんなんだ、桃さんが僕に憑依して…」

「桃さん?憑依?…」

「そう、桃太郎侍さんが、僕に憑依したんだ、それで、あんな風に…」

「桃太郎侍!?…」

めぐみちゃんは、しばらくの間、僕を見ていたが、突然目を三日月のように細めると

「きゃはははは…何言ってるの、面白~い…吉宗君ったら、桃太郎侍が憑依しただなんて、おもしろすぎ~…きゃははははは…」

大声で楽しそうに笑い続けた…

「いや、笑ってるけど、本当なんだって…本当に桃さんが…」

「吉宗君らしい…」

「えっ!?…」

「本当はすごい力があるくせに、そんな冗談言ってごまかしたりして…でも、そんな謙虚な所がまた、すご~くいい所なんだよね…ふふふ…」

めぐみちゃんはうれしそうに微笑みながら、僕の腕に手をまわしてきた…

「いや、謙虚じゃなくて…」

そんな時、再び僕の耳に、桃さんの野太い声が響いてきた…

(倅殿よ、良い良い…確かにワシの働きも大きかったが、それはそなたの真実の愛の力があったればこそじゃからのう…) 

(桃さん!…)

(さーて、これで、ワシの役目も終わった…そろそろ帰るとするかのう…)

(帰る?…)

(うむ…その愛する女子と、末永く睦めよ、倅殿…)

(桃さん!)

(でわ、いざ、さらばじゃ!)

その声と同時に僕の体から、何かがぐっと抜け出ていくのを感じた……

(さらばじゃ…倅殿よ…倅殿よ…倅殿よ…)

桃さんの野太い声は僕にそう告げると、静かに遠さかって行ったのだった……

 

(ありがとう…ありがとうございました…桃太郎侍さん…)

  

「吉宗くん?…ねえ、吉宗くんってば…」

「えっ!…あっ!?」

気がつくと、めぐみちゃんが、不思議そうに僕を見つめていた

「どうしたの?遠くの方を見つめちゃって、ぶつぶつと…」

「あっ、だから、桃さんが…」

「また、それ…しつこいですよ…」

めぐみちゃんはそう言いながら口をぷっと膨らますと

「私が一生懸命、バスの中での続き話してるのに、また桃さんがなんてふざけて…本当は心配してなかったんだ、私のこと…」

「えっ、違う…そんなことない、すっごく心配で心配で…」

僕は大慌てで手を振った…めぐみちゃんはしばらくじーっと僕を見た後、再び興奮した様子でさっきの続きを話し始めた…

 

「そう、私がバスの中で必死に叫んだ後…」

「叫んだ後?…」

僕も真剣にめぐみちゃんを見つめた…

「うん…私が叫んだ後、あの人しばらく真剣に私の事を見ていて…それから急に笑い始めたの…」

「わっ、笑う?…」

「うん…、急に笑い出したと思ったら、今度はバスの入り口に腰掛けて、一人静かにタバコを吸い始めて…それでも私、すごく怖かったから、後ろの席からじーっと、あの人のこと見てたんだけど…」

めぐみちゃんは再び倒れている西条を見ると

「今度は急に悲しそうな顔をして…黙って窓の外を見ていたの…」

「悲しそうな顔?…」 

「うん…それどころか、あの人、三波先生に首を絞められている吉宗君の事を見たとき、あわてて止めに行こうとしたんだよ…あのバカ、まじで殺すきや…そう言いながら…」

「えっ?…僕を…どっ、どうして?…」

「わからない、でも、吉宗君の言ったとおり、あの人、本当は悪い人じゃないって、私も思うの…」

「………」

僕は、静かに倒れている西条を見た…

 

「でも、どうして…この人はめぐみちゃんを犯したなんて、あんな嘘を…」

「わからない…」 

めぐみちゃんは不思議そうにつぶやいた後、照れくさそうにそっと僕の腕に顔をすり寄せて来た…

「でも、うれしかったな…、吉宗君が言ってくれた、あの言葉…うふふっ…」

「僕の言葉?」

「うん、私に何があっても、真実の愛は変わらないって…」

「そっ、そんなことを僕が?…」

「あの時の吉宗君…すごーくかっこよかった…私、もっともっと大好きになっちゃった…」

そう言いながら、めぐみちゃんは熱い瞳で僕を見つめてきた…

 

「め、めぐみちゃん…heart04

「吉宗くん…heart04

僕たちは、ほんわか~っとしたバックを背景に、じーっと潤んだ瞳で見つめ合っていた…そして、気がつくと彼女は美しいピンクの唇を僕に向けながら、そっと目を閉じていたのだ…

 

(えっ、めっ、めぐみちゃん…これって、もしや、キス!……)

僕の心臓はドキドキと爆音を鳴らし始めた

(つっ、ついに僕とめぐみちゃんが、キッ、キッスを…、)

心臓の爆音を響かせながら、再び彼女の事を見た…そこにはやはり目を閉じて頬を染めているめぐみちゃんが…

 

(キスだ…やっぱりキッスなのだ…、ここは、かっ、かっこ良く決めなくては…)

そう思った僕は、あわてて目を閉じると、重大な事を忘れたまま、彼女の可愛い唇に、震える僕の唇を近づけていった…と、その時だった…

 

「お、おおお…俺も、大好きになったっすーーーー!…」

 

「えっ!?」

「!?」

僕とめぐみちゃんはあわてて目を開いた…そこには、ボロボロに欠けた歯でうれしそうに笑っている金髪の鉄の大きな顔があったのだった…

「うわーーー!?」

僕は驚きのあまり、もんどりうって倒れた…忘れていた重大な事、それは僕の隣に、あの鉄がいたという、最悪の事実だったのだった…

「いやだー、鉄君も…、いっ、いたんだよね…」

めぐみちゃんも、あわてて僕から離れると、顔を真っ赤にして鉄を見た…

 

「でへへへ~、今…兄貴と、めぐみさん、チューしようとしたでしょ……ねえ、ねえ、チューしようとしたでしょ…」

「なっ、何言ってるのよ、鉄君、ちっ、違うってば、ただ、眠くて目を閉じただけで…」

「じゃ…じゃあ、兄貴は?…兄貴は…な、な、何で…目閉じてたんっすか?…ねえ、ねえ…」

「あっ、あの、それは…僕も闘いで疲れて眠かったから…ははは…ほら、あの人との闘いで…」

そう言いながら、僕の横で倒れている西条の方を指差した…がっ!!

「あれ!?…」

見るとそこには、今まで倒れていたはずの西条の姿が消えていたのだ…

 

「いっ、いない!…あの人が、いない!!」

僕はあわてて後ろを振り返り、思わず青ざめてしまった

「ぐわっ、いっ、いつの間に!?」

そこには再び木刀を握り締め、恐ろしい顔で僕を見ている悪鬼、西条竜一の姿があったのだった…

続き
第94話 吉宗くんは日本最強 へ…

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2009年8月 6日 (木)

第92話 吉宗くん曇り無き剣

「よくもめぐみちゃんを…許さん、貴様は絶対に、許さん…」

僕は怒りにパンチパーマを逆立てながら、角材を上段に構え、ぐっと西条を睨みすた…

「ほう、上段とはのう…、我も棒振りの経験があるようやの……」

西条は不気味に笑いながら、手にしていた木刀を、再び僕に突きつけた

 

「許さない…絶対に許さない!!」

「きえぇーーーーーーっ!」

叫ぶと同時に、僕は力いっぱい西条めがけて打ちかかっていった…しかし、西条は僕の気合の打ち込みにまったく動じる様子を見せず、

「フン!!…」

ガツッ!

鼻で笑いながら、手にしていた木刀で、軽く僕の一の太刀を交わすと、すさまじいスピードの返し技で、僕の喉元めがけて強烈な突きを打ち込んで来た…

「うぐぁー!」

あまりに速い突きに、完全にやられた!…そう思った時、なぜか僕の体が無意識に反応、間一髪でその突きを交わしたのだ…

あわてて西条の間合いから飛びのいた僕の耳に、桃さんの野太い声が響いてきた…

(気をつけよ、この者、そうとうの使い手であるぞ…)

「えっ?…」

 

「ほう、今のワイの突きを交わすとは…我もなかなかやるやないか…」

西条は一瞬うれしそうに笑うと、今度は木刀を両手で握り、僕に向けぐっと正眼の構えを見せた…

(うっ…、構えにまったく隙が無い…この人、本当に強い!…どっ、どこから攻めれば…桃さん…桃太郎侍さん…)

僕はとっさに、憑依している桃さんに訴えかけた…すると再び僕の頭に、野太い声が…

(倅殿…まずは落ち着かれよ…気を鎮め、無の境地になるのじゃ…)

「無の境地?…」

(そうじゃ、あの者は強い…まずそなたの心の雑念を振り払い、無になるのじゃ…)

「僕の雑念?…」

 

「何をごちゃごちゃ一人でしゃべっとるんや?…ワイを倒して、お前の女を助けるんやなかったんか?…」

「!?」

「そうや、考えてみたら、あの女はもうお前の女とちゃうのう…ワイの女や…はははは…」

「うぐぉ…おのれーーーー!」

僕は西条の言葉で、再び怒りの炎を燃え上がらせた…

 

(この男が、めぐみちゃんを…大切な…めぐみちゃんを…)

僕の脳裏に、この悪鬼西条によって、美しい体をメチャメチャにいたぶられている、愛する彼女の光景が浮かんで来た…

(めぐみちゃんが…この悪魔によって、汚されてしまった…汚されてしまった…)

そう思うにつれ、だんだん僕の西条に対する怒りは、真っ赤に燃えあがる憎しみへと変わっていった…

(いかん!…邪念を捨てよ…!)

桃さんの声がかすかに届いていた、しかし僕は

「よくも…よくも、めぐみちゃんを…きえぁーーーーーーーーーー!!」

憎しみを抑えきれず、西条に向かって再び打ちかかっていた

「きえぁーーーーーーーーーーーーー!」

「うおぉー!」

ガツッ!

僕の角材と西条の木刀が力いっぱい激突、二人はそのままつばぜり合いとなって、顔を突きつけあった…そんな最中、西条は不適な笑みを見せ 

「悔しいか…ワイは我の女を犯した男やで、悔しやろ…悔しかったら、もっと怒り狂ってみい…」

「ぐおーーーー、おのれーー、絶対に許さない!!」

僕は目を血走らせながら、力任せに角材を押し付けた…

 

(いかん!力で勝てる相手では無い…邪念を捨てよー!!邪念を捨てよーーーー!!)

 

「はっ!?」

桃さんの大きな声に、僕は一瞬我に帰った…と、同時に今度は目の前の西条が

「ぐおぉーーーーーー!」

大声を発しながら、すごい力で僕の事を突き飛ばし、すさまじい速さの打ち込みを僕の脳天めがけて仕掛けてきた

「うわっ!」

脳天に一撃、今度こそ終わった…そう思った時だった…、再び無意識に僕の体が、まさに紙一重でその剛剣を交わしたのだ

ブーーーーン

西条の剣がすさまじい音を立てて空を切った… 

「ほう、またしても交わしたか…」

 

(馬鹿者!…あと半歩踏み込んでいたら、そなたの脳天はパックリ割られて、脳みそが四方八方、飛び散っていた所じゃ…)

「はあ、はあ…」

僕は桃さんの声に、思わず青ざめていた…

(よいか、まずは邪念を捨て去るのじゃ…でないと、わしも働くことができぬ…)

「桃さんが働く?…」

(なんじゃ、それでは御主、今までの紙一重で交わしていたのが、ワシの力だと気づかなかったのか?…)

「あっ!?」

 

(良いか、そなたの純粋に愛するものを守りたい、その心がワシを現世に呼び出すという奇跡を生み出しているのじゃ…その御主が邪念に満ち溢れ、憎しみまみれになっていては、ワシも動けんのじゃ…)

「邪念?…憎しみ?…」

(そうじゃ、恨み、憎しみの心を捨て、無の境地になるのじゃ…)

「でも、あの男は、愛するめぐみちゃんを…」

僕は再びぐっと西条を睨んだ…

 

「何や?さっきから我は何をべちゃくちゃしゃべっとるんや?…」

「うぐぉ…」

「そうそう…一つ、おもろいこと教えたるは、我の女な…あれは処女やったで…くっくく…」

「ぐおーっ!!」

僕の心に再び憎しみの炎が… 

(馬鹿者!相手の言葉に心乱すでない、邪念をすてよ!!)

「でっ、でも…めぐみちゃんが!…めぐみちゃんの美しい純潔が…」

(それがどうしたというのじゃ?…)

「えっ!?」

桃さんの吐き捨てるような声に僕はハッとした…

(美しい純潔がどうしたというのじゃ?…そなたの愛の心は、その程度のものだったのか?…)

「…!?…」

(その程度のことで、心乱すほど、そなたの愛は薄っぺらだったのか?…んっ?…)

桃さんの心の声に、僕は目を大きく見開いた…、同時に、めぐみちゃんとの面接での出会いから、縁日での涙の告白…仕事を終えて戻った時の優しいめぐみちゃんの笑顔…幸せな一コマ一コマが、僕の脳裏にほんわか~っと、蘇って来たのだった…

 

「そうだ…そうだよ…たとえ、目の前の狼にひどい目に合わされたって、めぐみちゃんは、めぐみちゃんじゃないか…」

(分かったか?倅殿よ…)

「そう、めぐみちゃんは、めぐみちゃんなんだ…何があったって、僕の彼女への愛の深さは絶対に変わらないんだ!」

(そうだっ!…、天に誓って絶対に変わらないんだ!!…)

そう思った瞬間、今まで逆立っていた僕のパンチパーマが、すーっともとの6ミリ4ミリへと戻っていった…そして気がつくと僕は、澄み切った青空のように清らかな表情で、じっと目の前の西条を見つめていた…

 

「なっ、何や我…急に…、おい、ワイは我の女を犯した男なんやで…」

西条は不適に笑いながら、ふたたび僕を挑発してきた…しかし、僕はキラキラ輝く瞳のまま

「そんな事は、たいした問題ではありません…」 

「なっ、なんやと!?」

「たとへ貴方が、彼女にどんな事をしたとしても、僕のめぐみちゃんに対する真実の愛は変わらないんです…」

「あー?」 

「それに、桃さんに気づかせてもらったんです…大切なことは憎しみではなく、真実の愛だということを…、だから僕は真実の愛のため、彼女を助けるためだけを考えて…あなたと闘います!!」

僕はそう言うと、角材を正眼に構え、その剣先を静かに揺らしながら、じっと西条を見た…

「なっ、何を綺麗ごとを、そんな物嘘や!…自分の女を犯された相手に、憎しみを持たんなんぞ、できる訳が無い…我は嘘つき野郎や!!」

どうしたことか、僕のキラキラ輝く瞳に、西条は異常なくらい動揺し始めていた…僕はゆっくりと剣先を揺らしながら、

「真実の愛の力には…憎しみなど適わない…そう適わないんです…」

「なっ、何!?…うぐっ…」

西条はその直後、ふっと悲しげな目を僕に向けた… 

「やはり、あなたは悪い人では無い…あなたの目は、本当の悪い人の目ではありません…」

僕は静かに西条に向かって語りかけていた… 

(うむ、見事じゃ倅殿よ…これぞ無の境地…後はこのワシに任せよ!!)

桃さんの声に、僕はそっとうなずいた…

 

西条は首をぶるぶると横に振ると、手にしていた木刀をぶんぶんと振り回した、そして再び鬼のような顔で僕を見ると

「ワイが悪い人か…そうでないか…我のようなガキに解ってたまるか…解ってたまるか…」

ぐっと眉間にしわを寄せると、今度は上段にその木刀を構えた…

「遊びは終わりや…この一撃で、今度こそ我を地獄に送ったるわい…」

 

「…めぐみちゃんを救うため…僕はあなたを倒す……」

  

「こっ、このガキがーーーーーーーーー!!」

西条は大声で怒鳴りながら、襲い掛かって来た…そしてその上段からすさまじい速さの剛剣が僕の頭めがけて振り下ろされた

ガツッ!!

鈍い木刀の音が倉庫街の夜空に響いたあと、一瞬あたりはシーンと静まり返った…

 

「なっ、何っ!?」

完全に僕の脳天に直撃したと思われた西条の剣先は、気がつくと地面に向かって打ちつけられ、そして、そこに居たはずの僕の姿が消えていたのだ…

「そんな、アホな…ワイの渾身の一撃が!?…ぐおっ!?」

西条はあわてて、振り返った、その一瞬だった

「きえぁーーーーーーーーーーーーー!!」

夜空に響きわたる奇声と共に、電光のような速さの僕の突きが、西条の胸元をめがけて襲い掛かっていた

グヴァシーーーーン!!

「うわあぁーーーーーーーー!」

夜空に西条の唸り声が響いた…

 

 

 

 

「兄貴ーーーーー!!」

離れた所から、金髪の鉄の歓喜の雄たけびが、僕の耳に飛び込んできた…

「兄貴、兄貴…やったー、すげえ、すげえよ…兄貴!!…」

「えっ!?」

僕は鉄の声にハッと我に返って、あたりをキョロキョロ見渡し、そこで信じられない光景を目にした…

「えっ?えっ?…えーーーーーっ?…」

何と僕の足元には、無意識に打ち出した僕の突きによって、白目を向いて気を失っている西条竜一の体が、無言で横たわっていたのだった…

 

「なっ、何ーーーーーーーーーーー!?」

僕は突きの構えのまま、大声で驚きの声を上げていた…

何と僕は無の境地に入った直後、あのスキンヘッドの熊井さんですら適わなかった、悪鬼西条竜一を、一撃で倒してしまっていたのだったのだった…

 

「兄貴ー、すげえ…すごすぎる……やっぱ俺の兄貴だーー!!」

鉄が涙と鼻水まみれの顔で、僕に擦り寄ってきた 

「か、勝った…僕は勝ったのか?…」

「勝ったんすよ…、兄貴…勝ったんっすよ…」

「勝った…本当に勝った…」

僕は張り詰めていた緊張から、その場にしゃがみこんだ…そして、 

「あっ!?…め、めぐみちゃん…めぐみちゃんは?…」

あわててひばり保育園のバスに目を向け、ハッと驚きの顔を浮かべた…

「あっ!?…」

「………」

そこには、バスの入り口で、じっと泣きながら、無言で僕を見つめている、めぐみちゃんの姿があったのだった…

続き
第93話 めぐみちゃんの唇kissmarkへ…

イラストカットは近日アップします^^

Megulank_2
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