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2009年10月

2009年10月24日 (土)

第98話 めぐみちゃんの悲しい叫び  

燃え上がる建物の周りでは、いつしか消防隊員による消化活動の準備が始まっていた…そんな中、西条さんは…

「えーい、放せコラ!!ワイも助けに行くんやー!!」

大声で怒鳴りながら中へ飛び込もうとしていたが、数名の消防隊員に押さえられ必死にもがいていた…

「危険ですから離れて…」

「放せコラー、放さんかーい!!」

「救出作業は私達にまかせて、とにかくこれ以上近づかないで!!」

「えーい、せやったら、早う助けださんかい!!」

西条さんはイライラしながら、その場から離れると、何を思ったか、一人建物の入り口近くへ向かって

「追島ーーーー!!吉宗ーーーーーーー!!」

必死に大声で叫びはじめた…

 

「西条さん!!」

「西条ー、聞いたぞ、中に追島たちがいるって…」

「銀二…それに熊ー!!」

西条さんは熊井さんたちを見ると

「大声や!…とにかくみんなで大声や、追島たちを呼ぶんや!!」

「大声で?西条どうして…」

「どうしても、こうしても…大声で呼ぶんや!!…えーから早うせい…」

必死に訴えると、険しい顔で肩口を押さえながら、その場にガクッと片ひざをついた… 

「西条さん、そんな傷をおった体で!…」

銀二さんが慌てて近づくと、西条さんはぐっと唇をかみしめ

「だっ、大丈夫や…こんな小便傷…うぐおおおおおおおーー!!」

うなり声を上げながら、立ち上がり建物の入り口へ向かって再び大声をはり上げた…

「うおおおおーーー、追島ーーーー!!吉宗ーーーー!!」

熊井さんはそんな西条さんの事を、しばらくじっと見ていたが、やがて眉間にしわを寄せると…

「よしっ!!……」

気合と共に胸に一杯の空気を吸い込み

「うおおお追島ーーーーーーーーーー!!」

建物の入り口めがけて、まるで恐竜のような雄たけびを上げた… 

「追島ーーーーーーー!吉宗ーーーーーーーー!!」

「追島さーーーーん!!」

「吉宗ーーーーーーーー!!」

いつしか燃え上がる建物の周りでは、追島さんと僕を呼ぶ沢山の声が響き渡っていたのだった…

 

 

その頃、追島さんは…

煙の立ち込める中、保育園の廊下を奥へ向かって突き進んでいた…

「ユキーーー!ユキーーーーーー!!」

記憶を頼りに、ユキちゃんがいた部屋を見つけると、

「ここだ!…確かこの扉の奥の部屋にユキがいたはず…」

そう言って扉を開いた、と、その瞬間だった…ブワーーー!!扉の中から巨大な炎が追島さんめがけて襲いかかってきた…

「うおーーーーっ!!」

追島さんは炎の勢いに吹き飛ばされ、廊下の壁に打ち付けられてしまった…

 

「ぐおっ…なっ、何てことだ…ひっ、火元はここだったのか……」

追島さんはしばらく呆然と、燃え上がるユキちゃんがいた部屋の入り口を見ていたが、突然鬼のような顔で立ち上がると…

「ユキ…ユキーーー!!」

炎の中へ飛び込もうと試みた…しかし、その勢いはすさまじく、追島さんは前に進む事が出来ず、その場に崩れ落ちるようにひざまづくと

「うおおおお!ユキーーーー!ユキーーーーー!!」

大声で泣き叫んだ…

 

と、その時だった…

  

「パパ…パパ……」

追島さんの耳に、どこかから、小さな声が聞こえてきた…

「はっ!?…」

追島さんは慌ててあたりを見渡した…、すると廊下の隅に詰まれたおもちゃ箱の陰に、震えながら、必死に毛布をかぶってうずくまっている、ユキちゃんの姿が…

「ユキー!!」

追島さんは顔をぐちゃぐちゃにしながら叫ぶと、毛布の中で震えているユキちゃんを抱き起こした…

「パッ、パパ?…本当にパパなの…」

「ああ、パパだ…パパが助けに来たから…もう、大丈夫だ…大丈夫だ……」

「ユキ、怖かったよ…とっても、とっても怖かったんだよ…」

「うん、うん…よく頑張った、頑張ったなユキ…」

追島さんは毛布ごとユキちゃんを抱きかかえると、急ぎ煙の立ち込める廊下を、もと来た方へ走っていった…

  

「園長…園長…ユキは大丈夫だ…」

煙の立ち込める中、園長はうっすらと目を開けると、

「ユキちゃん…本当にユキちゃん!?…良かった…無事で…良かった…」

ポロポロと涙を流しながら、毛布の中でじっとしているユキちゃんを見た…やがて園長は追島さんをそっと見上げると…

「追島さん…申し訳ありません…本当に申し訳ありませんでした…」

泣きながら、謝り続けていた…

「あんたが謝ることじゃない…これは事故なんだから…」

園長は追島さん言葉に首を振ると…

「事故ではありません…これは…これは…」

よほど恐ろしい事があったのか、青ざめた顔で涙を流し続けていた…

「園長、その頭の傷といい…何か深いわけがあるんだな…」

園長は静かにうなずいた…

 

「とにかく、何があったか…話は後だ…、もうじきここも火の海だぞ、さあ、俺の背中に乗りなよ…」

追島さんは大きな背中を園長に向けた…しかし園長は、静かに首を横にふると 

「私はいいですから……追島さん…ユキちゃんを連れて早く逃げてください…」

優しい目で微笑んだ 

「何を言ってるんだ園長……」

「いえ、こんな状態の私がいては、迷惑が…、私のことは良いですから…早くユキちゃんを連れて行ってください…」

園長はそう言いながら、何かを思い出したようにポロポロと涙をこぼした… 

「馬鹿な事を言うな、さあ、早く俺の背中に…」

追島さんはユキちゃんを抱きかかえたままかがみこむと、再び園長に背中を向けた…

「もう、いいんです…私はいいんです…、お願いです、このままここで死なせて下さい…」

「死なせてくれって、あんた?…」

「これは私にできる罪の償いなんです…」

「償い?」

「私が、私がいけなかったから…研二さんが…」

園長はそういいながら、血の出ている額を押さえた…、追島さんはそんな園長をじっと見ていたが、急にムッと怖い顔をすると

「何が償いだ…、ふざけんじゃねえぞ、このババア!!…」

「…えっ!?」

突然の悪態に、園長は目を見開いた…追島さんは更に険しい顔で 

「とんでもねえ事情があったのは解るがよ…でもよ、あんた、教育者だろ…」

「はっ?」

「あんた保育園の園長だろ、だったらチビどもの教育者だろ?…」

「!?」

「子供が見てるんだぞ…、教育者だったら、どんな事があろうと、前向いて生きてる所、子供に見せるんじゃねえのかよ…」

「前を向いて?…」

園長は、ハッと驚いた…そこには毛布の中から不安な瞳で自分を見ている、ユキちゃんの姿があった…

 

「園長先生…一緒に行こう…、パパだったら力持ちだから、全然大丈夫だから…」

「ユキちゃん…」

「さあ、園長…ユキの言うとおりだ、早く俺の背中にのって…」

「……」

「さあ、早く…急がねえと、もうじき火の海だって言ってるだろ!さあ…」

「あっ、はい…」

園長はうなずくと、必死に追島さんの背中にしがみついた…

 

「うっしゃーーー!」

追島さんは一つ気合を入れると、背中に園長を背負い、胸にユキちゃんを抱えて、廊下を走り始めた…、と、その時だった…バリバリ、バチーン!!炎の影響か、大きな音と共に、今まで点灯していた廊下の蛍光灯が一斉に破裂して、あたりは真っ暗闇となってしまった、

「ぐおー、もう少しだってのに…」

真っ暗な世界に加え、時と共に濃くなっていく煙によって、追島さんたちは完全に視界を失ってしまったのだ…

「ぐお、まったく前が見えなくなっちまった…」

追島さんはユキちゃんと園長を抱えたまましばらく煙の中をさまよい、やがて低くかがみ込むと…

「やべえ、まじで出口が…わからねえ…」

思わず唇をかみしめた…と、その時だった…

 

「追島ーーーーーーーーー!追島ーーーーーーーーーー!」

 

何処からともなく自分を呼ぶ声が響いてきたのだ…

「追島さーんーー、追島さーーーーん!!」

追島さんは真っ暗闇の中、声の方角に耳を傾けた… 

「だっ、誰かが俺を…」

 

「追島ーーー、出口はこっちだーーーーーー!!」

「追島さーーーーん!!」

 

「こっちか!!…」

追島さんは声の方角を確認すると、

「園長、ユキ…しばらく息を止めていろ…」

二人にそう告げ、もうもうと煙の立ち上る声の方角に向かって、走りだした…

 

 

「追島ーーーー!追島ーーーーーーー!!」

「追島さーん、吉宗ーーーーーー!」

保育園の外では、西条さんに銀二さん、それに川竜一家の人たちが必死に大声を張り上げていた…

そしてお慶さんも、

「あなたーーーー!あなたーーーーーー!!」

泣きながら、追島さんの事をそう呼び続けていた…そんな時、めぐみちゃんが保育園の裏口付近の煙の中に、ふっと現れた大きな黒い影に気がついた…

「あっ、あれっ!?」

「えっ!…」

「お慶さん…ほら、あそこに黒い人影が!!…」

「あっ!?」

お慶さんはハッと目を見開いた、同時に周りの人だかりが、いっせいにどよめきたった…、

「あっ、あれは……!」

黒い影は煙の中を、どんどん外へと向かってくると、やがて

「ぶはぁーーーーーーーー!!」

と、その口から、真っ黒い煙を吐き出しながら、これまた真っ黒いススまみれの形相で、建物の中から飛び出して来た…

「ぶはーー、ぶはーーーーー!」

男はまるで機関車のように、黒い煙を口から吐き出しながら肩で息をし続けていた、そして、男のすす汚れた腕には毛布に包まった小さな女の子、背中には初老の女性が…そう、それはまさしく火事場から命がけで二人を救い出した、追島さんだったのだった…

98oijimasan  

「ユキ!?…」

お慶さんは追島さんに抱かれているユキちゃんに気づくと

「ユキーーーーーッ!!」

叫びながら追島さん達の元へ走っていた…

「ぶはー、ぶはー…はっ!?」

追島さんはお慶さんが近づいてくるのに気がつくと、ユキちゃんと園長を降ろし、慌てて二人から数歩遠ざかった…

「ユキー、ユキーーー!!、本当にユキなのね…良かったー、本当に良かったー!!」

お慶さんは一心不乱に毛布で包まれたユキちゃんを抱きしめた…そんな親子の再会にいつしか周りの人たちは、感動の拍手を送っていた…

追島さんはそんなユキちゃんとお慶さんの様子を、真っ黒い顔でじっと見つめていたが、やがて寂しげに後ろを向くと、そっとその場から立ち去ろうとした…お慶さんはそんな追島さんに気がつくと

「まっ、待ってーーー!」

あわてて叫んだ…

「待って…あなた…お願い、待って下さい…」

お慶さんは、追島さんの元に近づくと、ポロポロと涙をこぼしながら…

「ごめんなさい…あなた…、ごめんなさい…ごめんなさい…」

謝り続けていた…、追島さんは、ススだらけの顔から、不思議そうに目玉をギョロギョロと動かしていたが…

「ごめんなさいって…なっ、何でお前が謝るんだ…」

ぶっきらぼうに呟いた…、お慶さんは泣きながら

「私…、私、何も知らずに、あなたの事を恨んだりして…、あなたの本当の苦しみも知らずに…ユキを連れて出て行ってしまって…それに、あなたにひどい事ばかり…ごめんなさい…ごめんなさい…」

何度も何度も謝り続けた…、追島さんはそんなお慶さんをポカンと口を開けたまま、じっと見つめていた…

 

「何をボケッっと突っ立っとるんや…追島!…お慶ちゃんが泣いて謝っとるんないか、何ぞ優しい返事を返したらんかい、このアホたれ…」

追島さんの様子を見かねたのか、肩口を押さえながら西条さんが声をかけた…、追島さんは一瞬ギョッと目を見開くと

「さっ、西条!…おっ、お前…」

まじまじと西条さんの顔を見ていた…西条さんはフッと照れくさそうに笑うと、ユキちゃんの前にそっとしゃがみこみ…

「ユキちゃん…良かったのう、これでパパとママと、また一緒に暮らせるのう…」

「えっ!?…」

ユキちゃんは西条さんの言葉に

「パパとママと、また一緒に?…また一緒になれるの?…」

目をキラキラと輝かせた…

「さっ、西条、お前、急に現れて、なっ、何を言い出すんだコラ!!」

追島さんは慌てて、西条さんを見た後、ハッと驚きの顔を浮かべて横を向いた、

その視線の先には、追島さんのすす汚れた腕に手をまわし、すがる様なまなざしで、じっと見つめているお慶さんの姿があったのだった…

追島さんは真っ黒いススだらけの顔を赤くそめながら、恥ずかしそうに目玉を再びギョロギョロ動かしていた…

  

そんな追島さんとお慶さんの様子をじっと見ていためぐみちゃんは、

「良かった…これで、追島さんとお慶さん、それにユキちゃんも、また一緒に暮らせるんだね……ねっ!…」

そう言いながら、あたりをキョロキョロと見回した…

「あれ?…吉宗君?…吉宗君?…」

めぐみちゃんは、慌てて追島さんに声をかけた

「あの追島さん…吉宗くんは?…」

「えっ?」

「よっ、吉宗君です…」

「吉宗?…」

追島さんはキョトンとした顔で、めぐみちゃんを見た…

 

「えっ?…、追島さん、一緒に出てきたんじゃ…」

めぐみちゃんの言葉に、周りの人だかりは再びざわつきはじめた…

 

お慶さんも、慌てて追島さんを見ると

「あなた、吉宗君に…中で会わなかったの?…」

「吉宗って、何言ってるんだ?…どうしてあいつと中で会うんだ?…」

追島さんの様子に、めぐみちゃんの顔色がだんだん青ざめて言った…

「そ、それじゃ…吉宗君は…吉宗君は…」

慌てて、炎の立ち上る保育園に目を移した、

「吉宗君は、吉宗君は…まだ…中に……」

 

「おい、どういうことだ?…どうして吉宗がこの中に!?…」 

「ユッ、ユキを助けに行くって、いきなり飛び込んで…」

「何ーー!?…あのバカ、何を考えてやがるんだー!!」

追島さんが慌てている様子に、めぐみちゃんは、ガクッと崩れるようにその場にひざを落とした…

「吉宗くんが…吉宗くんが………いやだ…いやだーー!」

 

「いやぁーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

燃え上がる炎で赤くそまった夜空に、めぐみちゃんの悲痛の叫びが響き続けた…

続き
第99話 吉宗君はたいした男 へ

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2009年10月19日 (月)

第97話 追島と吉宗君なら、きっと…

「やっ、やめろー、馬鹿ーー!!」

ガツッ…

銀二さんの叫びも届かず、振り下ろされた刃は西条さんの肩口に鈍い音を立ててめり込んだ

「うぐおー!!」

西条さんは血走った目で振り返ると、切りかかった男を力任せに払いのけ、立ち上がって肩口の短刀に目を移し、

「ふぅーっ…」

一つ大きなため息をついた…

「危ない…危ない…、今のがもし、さっきの吉宗なみの打ち込みやったら、今頃ワイは肩から真っ二つにされとったわ…」

そう呟くと、無造作に短刀に手をかけ、ぐっと険しい顔で引き抜いた…

 

「だっ、大丈夫っすか、西条さん…」

慌てて近寄ろうとする銀二さんを、西条さんは血のついた手で制止すると、静かに笑いながら斬りかかった男に目をむけた

「踏み込みがあまいわい…踏み込みが…」

「ぐっ…あっ…おっ、おい…」

男は、後ずさりしながら仲間に救いを求めた、それにあわせて、西条さんに殴られた男が…

「なっ、なめるなコラー!」

震える手でドスを構えた…

と、その時だった…

「何をやっとるんだお前らーー!!」

突然、背後から怒鳴り声が、

「この馬鹿共がー!」

男達が慌てて振り返ると、そこには頭に包帯を巻いた、二メートルのスキンヘッド熊井さんが鬼のような顔で立っていたのだった…

 

「くっ、熊井さん!…」

「無事だったんですか?…」

「おう、俺の頭は鋼鉄製だ…それよりも、誰が、お前らにそんなもの振りまわして仕返しをしろって言ったんだ!!この馬鹿どもが!!」

「すっ、すいません、熊井さん…」

「勝手な真似しやがって…、お前らごときにかなう相手だと思っとるのか…」

熊井さんは男達を払いのけると、西条さんの前に立ち、はっと驚きの顔を見せた…

「…西条…お前その傷!?…」

西条さんは肩の傷を押さえながら薄ら笑いを浮かべると

「ほんのかすり傷や…それより熊、あれだけワイに打ちかまされて、よう生きとったもんやのう…」

「ふん…、なめるな、あんな気の抜けた打ち込みで、俺が死ぬわけねえだろうが…、それよりも、のこのこと戻って来やがって、俺がこのまま、ただで済ますと思ってるのか…」

「だから、戻って来てやったんやろが…落とし前つけにのう…」

「落とし前だ?」

「そうや、仮にも川竜一家の幹部のわれを、半殺しにしてもうた落とし前や…といっても、われにとってはかすり傷やったようやのう、ホッとしたわい…」

西条さんは、うれしそうに笑った…

 

「西条…おまえ…」

熊井さんは西条さんの様子に、首をかしげると

「お前、さっきとはまるで違う…別人の目だが、いったい?…」

「別人の目?……」

「ああ、今までの腐った目じゃねえ…昔の、そう…俺と一緒にテキヤはってたころの目だ……」

熊井さんの言葉に西条さんは、ふっと遠くを見つめると

「ああ、それやったら、さっき、ある男にぶちのめされたせいかのう…」

「お前がぶちのめされる?…」

「ふっ…、恥ずかしい話やが、めっぽう強い男が現れてのう…、ワイの得意な棒振りで、こっぴどくぶちのめされてしもたんや…」

「おっ、お前が、棒振りでだと?…」

「ああ…」

「その男ってなあ、いったい?…」 

「鬼瓦興業の一条吉宗って男や…」

「いっ、一条吉宗!?…」

熊井さんは思わず目を見開いた…同時に、熊井さんの後ろにいた男たちも、ザワツキながら驚きの顔を浮かべていた…

 

「なんや熊…、鳩が豆鉄砲もろたようなツラして…」

「吉宗が…、お前を!…」

西条さんは笑いながらうなずくと、急に真顔で後ろを振り返り…保育園の方から立ち上る煙に目をむけた

「熊…、悪いがお前との落とし前は後にしてくれんか…、あの火事、なんや嫌な胸騒ぎがするよってな…」

「火事…!?」

熊井さんはその言葉に、ふっと保育園の方角を見た

「むおっ、なっ、なんだあの煙は!?…」

「今頃気づくとは、相変わらず鈍い野郎や…、とにかくすぐに戻るよって…」

西条さんは一言そう告げると、肩を押さえたまま、ひばり保育園へ向かって走り始めた…

「吉宗が…あの西条を…」

熊井さんは走り去る西条さんを見ながら、しばらく呆然と立ち尽くしていた…

 

 

その頃、保育園では…

「ユキー!!、ユキーーーー!!」

一足先に建物のなかに飛び込んだ追島さんが、必死にユキちゃんのもとへ向かっていた…

「ちくしょう、だんだん煙で前が見えなくなってきやがった…」

追島さんは体を低くすると腕で鼻を押さえながら、煙の立ち込める奥へと向かった…

 

「ゲホゲホ…たしかあの先にユキのいた部屋があったはず…」

廊下に差し掛かった時だった、追島さんの目に、うずくまっている女性の姿が飛び込んできた…

「あんたは、たしか園長?…」

追島さんは園長を抱き起こすと、一瞬険しい顔を浮かべた…鈍器のような物で殴られたのか、園長の頭からは血が流れていたのだった…

「なっ、何だこの怪我は…おい、大丈夫か!…おい、園長!!」

園長はうっすらと目を開けると…

「ユキちゃんが…ユキちゃんが……」

必死に廊下の先を指差し、そのまま目をとじてしまった…

「おいっ!園長!!…」

追島さんは慌てて園長の胸に耳をあてると

「だ、大丈夫だ、心臓は動いている…後で戻るから待ってろよ…」

園長を安全そうな場所へ移し、一人、煙の立ち込める奥へと走っていった…

 

 

保育園の外では、消防車のサイレンがけたたましい音を立てて響き渡っていた…

サイレンの光に照らされる園庭では、心配そうに見守る、お慶さんと、めぐみちゃんたちの姿があった…

「ユキ…、ユキ…、あぁ…私がお店なんか始めたから、ユキがこんなことに…」

お慶さんは煙の立ち上る園舎の前で、泣きながらしゃがみこんでいた…

「お慶さん、だっ、だいじょうぶです…、きっと…、きっと追島さんと吉宗くんが、助け出してくれます…」

「でっ、でも、めぐみちゃん……」

「信じましょう、ねっ、お慶さん…大丈夫だって、信じましょう…」

お慶さんはめぐみちゃんの言葉に静かにうなずくと、

「神様…どうか、どうか…みんなを助けてください…助けてください…」

必死に手を合わせながら、煙の立ち上る保育園を見つめ、一瞬、はっと目を見開いた…お慶さんの視線の先、遠く離れた所に見覚えのあるスーツ姿の男が立っていたのだった… 

「けっ、研二さん?…」

男はお慶さんの元婚約者、ひばり保育園の副園長、沢村研二その人だったのだ…

 

 

「これで、この土地は俺の物だ…、燃えろ…全部、燃えてしまえ…」 

沢村はお慶さんが見ていることにも気づかず、一人薄ら笑いを浮かべながら、保育園を眺めていた…

 

「何をうれしそうに笑っとるんや…沢村…」

背後から、男の声が…沢村研二はその声に慌てて振り返った…そこには肩に手をあてながら、じっと立っている西条さんの姿があった… 

「さっ、西条さん!!」

沢村は一瞬うれしそうな顔を見せると…

「こっ、これで、あんたに金…返せますよ…、これで、はははは…」

西条さんはその言葉に顔を曇らせ… 

「思った通り…やっぱり、沢村、お前がやったんか…」

「えっ…?」

「お前が、火つけたんか?…」

沢村は静かにうなずくと、急に胸をそらせて

「おっ、俺だって、やる時はやりますよ…へへへ…見直したでしょ…へへへ…へへへへ…」

へらへら笑いはじめた…西条さんは、そんな沢村を悲しげに見ながら

「…沢村…、ワイのせいで、お前にこんな事をさせてしもうたんやな…」

「えっ?…西条さん、今、何て?…」

「ワイの軽はずみな言葉のせいで…お前に…」

西条さんは静かに頭をさげていた…沢村は不思議そうに首をかしげた

「どっ、どうしたんですか?…西条さん…これで借金が返せるんですよ…へへへ…それに、この土地は全部俺のものだ…あんたの借金返しても、おつりが来ますよ、へへへへ…」

「全部お前の?…」

「ええ、半分の権利もってた、口うるさいババアも、もういませんからね…」

「何っ!?」

西条さんの顔が、みるみると青ざめていった…

「ま、まさか我…中に人がいるの知ってて…」

「はっ、はい…、口うるさい園長と、そうそう、西条さん、あんたも聞いたら喜ぶガキが一人…中に閉じ込められていますよ…へへへ、へへへへ…」

「がっ、ガキ?…」

「はい、あんたが憎んでいる、追島の野郎の娘ですよ…」

「なっ、なんやとーー!?「」

西条さんはぶるぶると体を震わせはじめた…

「ワイの嫌な胸騒ぎは、こっ、これやったんか…」

 

「追島も、俺を振りやがったあのバツイチ女も…いいざまだ…へへへ…へへへへ…」

「何がいいざまや…」

「えっ!?…」

「自分の子供が焼き殺される親の気持ちがどんなものか、我、わかっとるんか……こっ、このガキ…」

西条さんは、沢村の首を鷲づかみにすると、そのまま頭上たかく持ち上げ、片手で力任せに締め上げた…

「このガキが…こっ、このガキが…ぐおあぁーーーーー!」

メキメキ…メキメキ…

「ぐえっ…くるしい…苦しい…西条さん……」

「おどれのようなガキは、生きとる価値もない…ぐおぉーーー!」

「くえぇーーーーー」

沢村の口からまっしろい泡がふきだしはじめた…その時だった…

「竜一さん、ダメー!!」

離れた所から女性の叫び声が…、西条さんはハッと我に帰ると、声の方に顔を向けた…そこにはお慶さんが、涙顔で立っていたのだった…

 

「お慶ちゃん!!…」

「だめよ竜一さん…ダメ…」

お慶さんは静かに首を振りながら、西条さんの腕に手をかけた…

「ユキなら、だっ、大丈夫…大丈夫だから…」

「大丈夫?…なんでや?…」

「今…追島と吉宗君が…助けに向かっているから…だから…」

「追島と吉宗が!?…」

「うん…だから、大丈夫…ぜったいにユキは大丈夫だから…」

「お慶ちゃん…」

「きっと大丈夫…、ユキも吉宗くんも…そして、追島もきっと、きっと無事に中から出てくるから…出てくるから…」

お慶さんはそう言いながらも、ポロポロと涙をこぼし続けた…

 

「お慶ちゃん、すまん…全部ワイのせいや…ワイのせいやーーーー!!」

西条さんは、顔をぐしゃぐしゃにゆがめると、力任せに沢村研二を地面にたたきつけた、そして煙の立ち上る園舎に顔を向けると…

「うおおおーーー追島ーーーー!、吉宗ーーーーー!!」

燃え上がる建物の中まで届くくらいの、大きな叫び声をあげ続けたのだった……

続き
第98話 めぐみちゃんの悲痛な叫び へ…

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2009年10月16日 (金)

やっと、頭が吉宗くんモードに(汗

吉宗くんに西条さん…それに追島さんにユキちゃん…みんなみんな大変なときだっていうのに、書いている私は会社の需要な仕事に追われてなかなか続きをかけませんでしたーcoldsweats02

でも、やっと少しだけ落ち着いて、頭の中の吉宗君モードが戻ってきましたので、近日続きアップします…

しばし、しばしの間、どうかお待ちくださいませーーーーsweat01

G4manga2mini

イラストは過去の一口愛馬クロスペンダントをイメージして書いたものです…クロスペンダント号、とにかく弱かった子だけど、いまごろどこにいるんだろう…

乗馬として頑張ってくれていれば良いんだけれど…despair

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2009年10月 2日 (金)

第96話 ひばり保育園での惨事…

バスの駐車場から保育園へ、僕とめぐみちゃんは目をキラキラ輝かせながら、歩をすすめていた…

「追島さん、きっと喜ぶだろうな…」

「うん…、お慶さんとの誤解も晴れて、また家族が一緒になれるんだもんね…」

「追島さん家族が、また一緒に…」

僕はそう呟きながら、追島さんの哀愁ただよう姿を思い出していた…

鬼瓦興業の倉庫の中、一人涙していた追島さん…、保育園脇の茂みから悲しげに、ユキちゃんの事を見ていた追島さん…、お大師さんの境内でユキちゃんと涙の抱擁をしていた追島さん…、喫茶慶の開店祝いに、そっとスイートピーの花束を届け、悲しげに立ち去ろうとする哀愁の背中の追島さん…その一つ一つを思い浮かべるうちに、僕の目にはいつしか涙があふれ出していた…

「どうしたの吉宗君…」

「あ、ははは…、ちょっと、いろんな事思い出しちゃって…」

「そっか…でも、泣くのはまだ早いよ、私達にはまだ大切な仕事があるんだからね…」

「そうだ…急いで追島さんに会ってお慶さんの誤解が解けた事を伝えないと…」

「さあ、急ごう…」

「うん…」

やがて僕達は、追島さんとの待ち合わせ場所、ひばり保育園横の雑木林へ到着した、

「追島さーん!…追島さーーん!」

大声で呼んだが、林の中はしーんと静まり返ったままだった…

 

「ここに居るって、銀二さんが言ってたのに…」

「吉宗君、もう、先にお慶さんと出合ったんじゃないかしら?…」

「あっ、そうかも…、僕達の来る前に、仲直りをすませて、二人でユキちゃんのお迎えに行ったのかもね…」

僕達はうれしそうに顔を見合わせた後、ユキちゃんのいるひばり保育園に目を向け、ハッと驚きの顔をうかべた…

 

「よっ、吉宗君…!何!あの煙!?…」

「…たっ、焚き火…、じゃあ、なさそうだけど…」

「まさか、こんな夜更けに焚き火のわけ…」

「そ、それじゃ…、かっ、火事!?」

「……」

めぐみちゃんは青ざめた顔でうなずいた、

「どっ、どうしてー!!」

僕は、大声で叫びながら、煙の出ているひばり保育園に向かって走った

 

近づくにつれて、保育園の窓からは真っ黒い煙りが勢いよく噴出しているのがわかった…、そこで僕は、すす汚れた体で呆然としている春菜先生を発見した

「先生!春菜先生!!」 

「あっ!」

春菜先生は青ざめた顔で振り返ると

「よっ、吉宗さん!?…大変…戻ったとき火が…追島さんが…ユキちゃんが…大変…」

ショックで動転していたのか、先生は必死に何か訴えかけてきた

「追島さん?ユキちゃん?…先生いったい!?…」

とその時だった、

「ユキー!!」

保育園の入り口近くで、数名の男の人に抑えられ叫んでいるお慶さんの姿が…

「放してー!中に娘がいるんです、お願い放して下さい!」

「気持ちはわかるけど、無茶だって…」

「放してー!お願い放してーー!!」

その光景を見た瞬間、僕の体の血がすーっと冷えていくのを感じた…

「春菜先生…まさか、ユキちゃんたちが中に…」

「はっ、はい!…まだ中に!…追島さんが一人助けにむかって…それで、私も助けようと…でも煙がすごくて…」

春菜先生はそう言うと、泣きながら、その場にうずくまった…

 

「吉宗君!…」

少し遅れてめぐみちゃんが近づいて来た…彼女は春菜先生の様子を見た後、あわてて僕に顔をむけた…

「吉宗君、まっ、まさか…」

僕は血の気の引いた顔でうなずくと

「ユキちゃん達が…中に…」

「ユッ、ユキちゃん達!?」  

「…やっと…やっと…追島さんとユキちゃんが一緒に暮らせることになったのに……」

煙りの噴出す保育園を見ながら、体を震わせていた、

 

「冗談じゃない!そんなの許せない…!絶対に許せない!!」

僕は突然大きな声で叫ぶと、お慶さんたちのいる人だかりに向かって全力で走りだしていた…

「うおおおおおおおおーーーー!!」

頭の中は、真っ白だった…、ただ、ただ、真っ白な状態で叫びながら、僕は無意識に近くにあった小さな池に飛び込むと、ずぶぬれの体で野次馬の群れを押しのけ、全力でお慶さんの脇をすり抜け…

「ユキちゃーん!!」

大声で叫びながら、煙の噴出す保育園の中に飛び込んでいたのだった…

 

「おい、今、誰か中に入っていかなかったか?…」

「ああ、たしかに、誰か、入って行ったような…」

お慶さんを抑えていた人たちが、顔を見合わせていた…

「…今の子!?…」

お慶さんも、突然起こった出来事に目を見開いていた…が、その直後、

「吉宗君ー!!」

後ろから近づいてくる、めぐみちゃんの叫び声に、思わずハッと振り返った…

「めぐみちゃん…それじゃ、今の…やっぱり吉宗君!?…」

「おっ、お慶さん、そうです…吉宗君です…吉宗君なんです!…」

めぐみちゃんはそう言いながら、ポロポロと涙をこぼしていた…そんな彼女を見て、お慶さんは我に帰り…

「なっ、なんてことを…」

「吉宗君…吉宗君…」

「あぁ、神様…どうか皆を助けて…」

二人はそう呟くと、じーっと保育園を見つめていた…

 

 

そのころ、保育園の駐車場では、一人バスから降り立った西条さんが、あたりをそっと見渡していた、

西条さんは、ふっと口元に笑みを浮かべると…

「おい、そこに誰ぞおるんやろ…隠れとらんで出てきいや…」

暗がりに向かって話しかけた…すると、西条さんの言葉に反応するように、影から数名の若いガラの悪い男達が姿を現し…

「さっ、西条…こっ、この野郎…」

震えながら、必死に睨みすえていた…

 

「なんや?お前ら、前に見たツラやな…、」

西条さんは両手をポケットに入れたまま、男達に近づくと

「おう、何や我ら、ワイがまだ一家におったころ見習いでバイトしとった兄ちゃん達やないか…、えらい出世したもんやのう…」

「えっ、えらそうに…、この野郎!!…、さっ、西条!…てめえよくも熊井さんを…」

「あ~?…」

「あ~じゃねんだよ、うちを破門された分際でのこのこ姿現しやがってよ、こらー!!」

男達は口々に罵声を浴びせながらも、その場で足を震わせていた…西条さんはそんな連中に呆れ顔で

「なんや…威勢のわりに足が震えとるやないか、兄ちゃんら…」

「うっ、うっ、うっ、うるせえ、この野郎…」

男達は必死に叫ぶと、震える手で後ろの腰に手をまわし、さっと光る物を取り出した…

 

「ほーう、ドスか…、えらい物騒なもんもっとるやないか…けどそんな震えた手で、うまく使えるんかのう?…」

「なっ、なめんなー、こっ、コラ!!」

「黙って、ツッ、ツラかせや西条…」

西条さんはしばらくの間、静かに男たちを見ていたが、突然カッと目を見開くと

「じゃかしいやー、このガキどもがーーー!!」

突然、大声で、どなりつけた…

「うぐっ…」

チンピラ風の男達は西条さんの迫力に、慌てて後ずさりした

 

「腐っても、川竜で看板はっとった西条竜一や!…、我ら三下どもが口の利き方に気をつけいや!!…」

鬼の形相で、男達に近づいていった…

「ええかコラ、よう聞け坊主ども!…ドス言うもんは、そないに軽く抜くもんちゃうど!!…いっぺん抜いた以上、やるかやられるか、命がけで抜くもんや!…それをわかった上で抜いたんやろうな!!…」

「あっえっ!…」

「我らが本気で来るなら、ワイも死ぬ気で相手したるわい…、コラー、おのれらも、やるからには、死ぬ気で来いや、おー!!…」

そのすさまじい迫力に、男達は、ただ無言で振るえ続けていた…西条さんはさすが日本一の剣術家…その気合で相手を呑みこんでしまったのだった…

 

「さすがは、西条さんだ…、これじゃあ、かなわねえな…」

今までの様子をじっと見ていた銀二さんが、くわえタバコでバスから降りてきた…銀二さんは男達に目を向けると笑いながら…

「おい、お前ら…命は大切にしねえとな…、この人はマジだぜ…」

「あっ、あんたは鬼瓦興業の銀二さん!?…どっ、どうして……」

男の一人が救いを求めるような目で声をかけた…

「ちょっと、訳ありでよ…、それよりお前ら、熊井さんがやられて必死な気持ちはわかるが、その物騒なもん、いっぺんしまわねえか?…」

「でっ、でも…、銀二さん…」

「心配するな、この人はもう逃げも隠れもしねえって言うからよ…そうでしょ、西条さん…」

銀二さんに声をかけられ、西条さんは静かに笑った…

「ああ、ワイもまだ死ぬわけにはいかんし、それに、こない若い兄ちゃんらの命、奪いとうないからの…」

「し、しかし…」

「心配するな、ワイは逃げも隠れもせん…熊井との落とし前はきっちりつけさせてもらうよって、川竜の親父の元へ案内せいや…」

「えっ、親父さんの元へ?…」

「おう、そこで煮て食わられるなり、焼いて食われるなり、後は親父まかせや…さあ、案内せいや…」

西条さんは、鋭い目で笑いながら、男達に近づいていった…

 

と、その時だった…

「火事だーーーー!!」

保育園の方角から、かすかな声が響いてきた…

「んっ?…」

西条さんは眉間にしわをよせながら振り返ると、

「銀二…今向こうから、火事って声が聞こえんかったか?…」

「たしかに、聞こえたような…」

銀二さんも慌てて保育園の方角を見た…

「うわっ!…なんだあの煙は!?…」

「やけに、さっきから焦げ臭いにおいがする思うたら、なんちゅうこっちゃ!?…」

西条さんは煙の立ち上る園の方を見て、ハッと何かを思い出した…

 

「まっ、まさか…沢村のガキが…!?」

西条さんの脳裏に、自分が悪鬼だったときの、沢村研二との会話が蘇ってきた… 

 

(沢村はん、ここは死んだあんたの親父さんが建てた、歴史ある保育園言うとったな…)

(あ、はい…)

(何が歴史や…、ただの木造のおんぼろ建物やないか…こらあ、火でもつけたら、よう燃えるやろうな…ははは…)

(火をつけるって!西条さん、ま、まさか…) 

(何や?…沢村はん、あんた何ぶっそうなこと考えとるんや、あかんで、そんななことしたらあかんで、はははは…)

 

「…沢村のガキ、ワイのあの時の言葉で…」 

西条さんは青ざめた顔で、煙の立ち上る保育園の方を見ていた…そんな西条さんに川竜一家の連中が

「おっ、おい…どこ見てんだよ…、西条…まっ、まだ話の途中だろうが…」

「おっ、おいこら…そんな火事なんて関係ねえだろ…一緒に親父の所に来いよ…」

男達の言葉に西条さんはムッと目を見開いた…

「火事なんて関係ない?…」

「そうだよ、たかが保育園の火事、関係ないだろうが…それとも、それを理由に逃げる気じゃねえだろうな…」

「たかが、保育園の火事?…我、今なんちゅうた…」

「えっ、あっ…」

「こんの、腐れガキがーー!!」

ガゴッ!!

叫ぶと同時に西条さんは大きな拳で、一人の男の顔面を張り倒した…

「関係ないとは何や!…おのれら、親父や熊井から、何を教わってきたんや!?…川竜一家の看板しょっとるのとちゃうんか、コラ!!」

「なっ、なに!?…てっ、てめえこの野郎!!」

隣にいた男が、あわてて手にしていたドスを構えた…

「我らにかまっとる暇はないわい…落とし前は後や!!」

西条さんは言うと同時に振り返り、保育園へ走り出そうとした…が、その瞬間、足元に転がっていた車止めにつまずき、その場でバランスを崩した、同時にドスを構えた男が

「逃がすかコラーー!!」

小刀を振り回しながら、夢中で西条さんの背中めがけて斬りかかった

「やろうー、西条ーー!!」

「やっ、止めろ、馬鹿ー!!」

男の怒鳴り声と同時に、銀二さんの叫び声が、駐車場内に響き渡った…

続き
第97話 追島と吉宗君なら、きっと… へ

イラストカットは近日アップします^^

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2009年10月 1日 (木)

明日新作アップします…汗

しーばらく、新作更新が出来ませんでしたが、今晩か明日には吉宗君の新しいお話アップしたします…

いろいろ忙しくなかなか書けませんでしたーcoldsweats01

来週も会社で税務調査があり、思ったようにかけないかも…

あ~、毎日物語だけ書けたら、最高なんだけど…ぐちっても仕方ありませんね…ご飯をたべていくためですからね…weep

更新が遅れたお詫びに…私の恥ずかしい所をどうぞ…^^

Ohuroagari

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