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2009年12月15日 (火)

第102話 武州多摩のミヤマクワガタ

「はーい、ご飯が炊けたよー!!」

姐さんの声が鬼瓦興業に響き渡った…同時にぞろぞろと、人相の悪い面々が、居間の大きな座卓の周りに集まってきた…

「ほら、鉄、順番に味噌汁よそっとくれ…」

姐さんは鉄におたまを渡すと、今度はしゃもじを持ってあたりをキョロキョロと見渡し

「よっちゃん…よっちゃんは、どこだい?…」

僕の事をさがした…、そうそう、姐さんはいつしか僕のことを、よっちゃんと呼ぶようになっていた…

「よっちゃん…」

「あっ、はい!…今、行きます…」

僕はあわてて返事をしながら、腫れ上がったお尻を押さえ、ヨチヨチ歩きで居間にむかっていた…

なぜ、こんな姿になってしまたか…それは… 

めぐみちゃんとハゲ虎に挟まれ、トイレの窓から身動きできなくなっていた所を、運悪く追島さんに見つかってしまい、恐怖の孫の手50連発の刑にあってしまったからだった…

 

「あらあら、何だよ、よっちゃん、まるで、おじいさんみたいな歩き方じゃないか…さては、また追島に厳しくやられたね…」

「あっ、はい…」

「まあ、大変だけど頑張んなさいよ…はははは…」

姐さんはしゃもじを手渡しながら、腫れ上がった僕のお尻をポンとたたいた…

「あひゃーーーーーー!!」

「あらら、ごめん、ごめん…ハハハハ…」

姐さんは、ゲラゲラと笑いながら、台所へと入って行った

 

「おい、吉宗ー、早く飯、飯…」

「あっ、はい!」

銀二さんの言葉に、僕は慌てて近くにあったジャーから、ご飯をよそい始めた…鬼瓦興業へ就職してから数週間、何時しか、ご飯よそいは、僕の仕事となっていた… 

やがて、すべての準備が整うと、僕は座卓の前に、痛むお尻を下ろした…

テーブルの上にはいつものように、豪快に盛り付けられた大皿のおかずが…

「おう、それじゃ、お前らも、たらふく食えよ…」

親父さんは、そう言いながら、どんぶりに山のように盛られた刻みねぎへ、豪快に唐辛子をふりかけると、ガバッとその大きな口にほうばった…

親父さんが口をモグモグ動かすのを見届けると同時に、追島さん、銀二さん…それに刺青の岩さん、鉄…、そして僕も、

「いただきまーす!」

箸をもった手で礼儀正しく一礼して、大皿に盛られたおかずに手を伸ばしはじめた…

入社してからの毎日、それまで静かな食卓で育ってきた僕は、この合宿のような食事が楽しみのひと時だった…

 

「そういえば、今日はマサの野郎が出てくる日だったな…」

親父さんは目玉焼の上に、豪快に唐辛子ネギをのせながら、銀二さんに目を向けた

「あっ、はい…」

「今度ばかりは、野郎もこりただろう…」

「あの、親父さん…」

銀二さんは急に正座すると

「マサの事っすけど、どうか今度の事、許してやっては貰えないでしょうか…」

緊張した面持ちで頭をさげた…

親父さんは一瞬眉間にしわを寄せたが、しばらくしてふっと笑うと

「野郎もきっちり罪は償って来たんだ、まあ、今度ばかりは許してやるか…、なあ、追島よ…」

「そうっすね、この間面会行ったときも、きっちり反省してましたしね…」

「よし、銀二、飯食ったら、お前達で迎えに行ってやれや…」

「はいっ!…ありがとうございます!」

銀二さんは親父さんと追島さんに、深々と頭をさげると、うれしそうにご飯を頬張り始めた…

そんな様子を見ていた、刺青の岩さんが

「武州のミヤマクワガタが戻ってくるか…、ふふふ、また賑やかになりやがるな…」

目を細めていた…

 

(武州のミヤマクワガタ?…)

僕は首をかしげながらも、どこか人ごとのように皆の会話を聞いていた…まさか、そのミヤマクワガタと呼ばれる男が、僕にとって更なる波乱の元となるとも知らずに…

 

 

 

駅前のロータリーでは…白いスーツに白い帽子、そして黒いコートを肩で羽織ったサングラスの男が、焼肉屋さんの窓ガラスに張られた一枚のポスターの前に立っていた…

「いいなぁ…いい…実にいいぞー」

男はそう呟きながら、じーっとビール会社の宣伝ポスターに写る、ビキニ姿でスーパーボインのお姉さんを眺めなていた

「いい乳だ…間違いねえ、これは中身も絶対にいい乳だぞ…おまけに、このくびれた腰といい、このお尻といい……あっ!?」

男は思わずモッコリと膨れ上がった自らの股間に目をうつし、ぶるぶると首を横に振りながら、再び胸ポケットから、めぐみちゃんと一緒に写っている写真を取り出した…

「いかんいかん…俺はもうきっちり誓いを立てたんだ…すまん、俺とした事が…、心配はいらねえぜ、めぐ…、俺はもう、お前を裏切ったりしねえからな…」

ニンマリ笑顔で写真を見つめ続けていた…

 

と、その時だった…

「まったく、お前のひとり勝ちかよ、飯くらいおごれよ…」

「わかった、わかった…うどんでも、べしゃりに行くべー」

焼肉屋の二階にある雀荘から、腕にドクロのタトゥーを入れた茶髪の男達が、ぞろぞろと降りてきて、ふっと白いスーツ姿の男に目を止めた…

「何だ、あれは?…今時えらい気取ったかっこしてやがんな…」

「まるで昔のギャング映画じゃねえか、ははは…」

ドクロの男達は呆れ顔で笑みを浮かべると…

「一発しめてやるか…」

スーツ男の下へ近づいていった…

 

「よお、えらい派手にいきがってるじゃねえか?兄ちゃんよ…」

ドクロの一人が、ぐっと顔を近づけた…

「………」

スーツの男は、無言でめぐみちゃんの写真を見たまま、じっと黙っていた…

「おいこら、何しかとこいてんだよ…この野郎!…」

「今時、はやんねーぞ、こんな帽子…」

ドクロの一人がスーツ男の帽子を叩き落とした…と同時に、男のパンチパーマに鬼のような剃り込みの入った巨大な頭が姿を現した…

「ぶわっ、何だこいつ、すげえ~、でけえ頭!…おまけに今時パンチパーマだとよ…」

「恥ずかしくねーの?…お前、こんなかっこして、ハハハハ…」

ドクロ男たちは、160センチくらいの身長に比べて、バランスの悪い巨大なパンチパーマ頭のスーツ男の周りで、ゲラゲラと声を出して笑い続けた…

しかし、それでもスーツの男は、無言でめぐみちゃんの写真を見つめていたのだった…

「てめえ、いつまでシカトぶっこいてんだよ!…びびって口も聞けねえくせに、偉そうにこんなもん見やがってよ…この野郎…」

ドクロの一人が怒りに顔を真っ赤にすると、男の手から写真を奪い取った…

と、その瞬間だった…スーツ男のサングラスの中の目が、ギラッと光ると同時に、その巨大なパンチパーマ頭が、ドクロ男の顔面に、すさまじい勢いでめり込んだ!

ぶおごーーーーー!!

「ぐおぁーーー!!」

写真を持ったドクロ男は、鼻血を噴出しながら吹き飛ばされ、焼肉屋のシャッターに、勢いよく叩き付けられると、そのまま気を失ってしまった…

 

「てっ、てめえ、コラ…、いきなり何しやがんだー!」

他のドクロの男達は、慌ててスーツ男を取り囲んだ…

しかし、スーツの男は、まったく動じる様子もなく、静かにサングラスを外すと

「さっきから、うるせえんだよ、この便所バエどもが…」

大きな顔の中に、ポツンと配置された小さな目で、ドクロ連中を睨み吸えた…

101torimaasa_2  

「えっ!…あっ!?…」

同時に、今までいきまいていたドクロの男達の顔が、いっせいに青ざめた…

「そっ、その巨大なパンチパーマ頭に、小さな目…、それに鼻の傷…、あっ、あなたはまさか!?…」

「ぶっ、武州のミヤマクワガタ!?…」

ドクロの男達はいっせいに、カタカタと震え始めたのだった…

つづく 

続き
第103話 めぐみちゃんとミヤマクワガタ へ

イラストカットは近日アップします…

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第二章 吉宗くんと懲りない面々」カテゴリの記事

コメント

出遅れ出遅れcoldsweats01

すっげ~あだ名smile
ミヤマクワガタって…smile

鬼瓦興業に帰ってからの事が楽しみぃhappy02

投稿: けんさぁ | 2009年12月16日 (水) 15時33分

けんさぁさん
実はこのキャラも思いっきりモデルがいるんです…coldsweats01
めちゃめちゃ悪い反面、めちゃめちゃ笑えるエピソードを持っており、思い切って出演してもらいましたsmile
女衒の栄二以上の面白キャラとして活躍してもらう予定です^^

モデルの方には電話で了承をいただいておりますdelicious

投稿: 光一郎 | 2009年12月16日 (水) 17時20分

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