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2010年2月 2日 (火)

第105話 めぐみとミヤマは…チョメチョメな関係

会社に戻った僕は、廊下の隅でチョコンと正座をしながら、これから居間で行われようとしている、武州のミヤマクワガタ白鳥正義さんと、親父さんの感動の再会シーンを見つめていた…

床の間の前で腕組みしながら、どっかと腰を下ろしている親父さん…、

そしてマサさんは純白のスーツ姿で両手を畳につけながら、親父さんの事を見つめていた…やがて、その大きな顔の中にぽつんと配置された小さな瞳を潤ませると

「おっ、親父さん、懐かしゅうございます…うぐ…」

ぽろぽろと、大粒の涙をこぼしはじめた…

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(マッ、マサさんが…マサさんが泣いている…、よっぽど再開を楽しみにしてたんだ…)

 

「すんません、親父さん…」

マサさんはスーツの裾でさっと涙をぬぐい去ると、唇を噛みしめながら、深々と頭をさげた…

「親父さん、ご迷惑をおかけしましたが、この白鳥正義、本日ぶじ勤めを終えて、戻った参りました…」

まるで、映画の1シーンのような感動の光景に、気がつくと僕は、涙と鼻水まみれのボロボロの顔で泣きじゃくっていた…

(良かった…良かった…マサしゃん…、それに親父しゃ…?)

(えっ?…) 

僕は上座で腕組みをしている親父さんの様子に、思わず首をかしげた…

親父さんは、なぜか必死に笑いをこらえながら、真っ赤な顔をひくひくさせていたのだ…

「えっ?…なんで?…」

その直後だった…、親父さんは、「ブーー!!」っと吹きだし、大笑いをはじめたのだ…

「ぶははっ…、勤めって、このバカたれが…、ぶははは…」

 

(えっ?どうして?…)

僕は思いもよらなかった展開に、思わず目をパチパチさせた…

  

「親父さん、そっ、そんな笑うこと、ねーじゃないすいか……」

マサさんは、恥ずかしそうに顔をしかめた、が、親父さんは

「お前が顔出して早々、ふざけたことぬかすからだろが、このバカたれが…、ぶはははは…ぶははっはははっは…」

「ふざけた事って…、俺は…」

親父さんは、それからしばらくの間、ゲラゲラと笑い続けていたが

「あー、笑いすぎて、クソしたくなっちまった…」

そう言いながら立ちあがると、ブーッっと一発特大のオナラをぶちかました

「うわっ!…」

「おう、悪い悪い…、お前が笑わすから、つい出ちまった…がははは…」

「ついって、親父さん…」

「まあ、お前もこれからは、くだらねえことでパクられねえように、しっかり頑張れや、マサ…」

そう言い残すと、大きな笑い声と、とてつもない悪臭を残し、トイレに向かって去って行ってしまったのだった…

 

「おっ、親父さん…」

マサさんは鼻をつまみながら、ポツンと異臭のただよう居間の真ん中にたたずんでいた…が、やがて、廊下の隅の僕に気がつくと

「おい、吉宗…」

恨めしそうな顔で振り返った…

「なあ、どう思う?、吉宗…」

「えっ?」

「今の親父さん、ひどいと思わねえか?…」

「あっ、はい…ちょっと、ひどいかなって…」

「だろ!…ひでえだろ、俺はよう、鬼瓦興業のために身体張って、くせえ飯くってきたんだぜ…それなのに親父さんときたら、最後っ屁、残していなくなっちまうなんてよ…」

マサさんはそう呟きながら立ち上がると、ふらふらとこっちへ近づいてきた…

「くやしいよなー、こんな仕打ちって、ねーよなー、吉宗よ…」

「はっ、はい…」

「おお、さすがは銀二が認めた男だ、お前は俺の気持ち分かってくれるんだな…」

マサさんの目からは、ポロポロと大粒の涙があぶれだしていた…、

「まっ、マサしゃん…」

つられる様に、僕の目からも涙が…

と、その時だった…

「おいおい吉宗、そいつの言う事は、話半分で聞いとけよ…」

「えっ?」

振り返ると、大福帳を抱えた銀二さんが呆れ顔で立っていたのだった…

 

マサさんは今までの涙顔からキッと怖い顔にかわると

「話半分ってどういう事だ、コラ銀二…」

ムッとして立ち上がった

「どういうこと?…それじゃ、お前の言う、身体張って臭い飯くうってのは、町中で素っ裸になって暴れる事を言うのか?」

「うわっ、お前それは…」

マサさんは慌てて銀二さんの口をふさいだ…

「素っ裸?…」

「いや、何でもねえ、お前には関係ないことだ…吉宗、ははは…銀二、余計な事言うんじゃねーよ、バカ…」

マサさんは照れくさそうに、僕と銀二さんを見た後、ふっと廊下の外に目を向けた、そしてある一点に目を止めると…

「……」

無言で懐かしげな顔を浮かべ、じっと佇んでいた…

 

(あれ?どうしたんだろう…マサさん…)

つられる様にマサさんの目線の先を見て、僕はハッと表情を変えた…、そこには、めぐみちゃんの部屋の窓が見えていたのだ… 

「あっ!?」

同時に朝のめぐみちゃんの動揺した様子を思い出した…

 

(そうだ、このマサさんと、めぐみちゃんの関係は?…)

緊張でカタカタと震えながら

「あっあの、マサさん?…」

小声でささやいた…が、その声をさえぎるように隣にいた銀二さんが

「マサ…てめえ何ぼーっとしてやがんだよ…」

マサさんの元へ近寄っていった、そして、視線の先に見えているめぐみちゃんの部屋に気がつくと、

「あっ、そうだ…、お前に言い忘れてたけど、今朝、めぐみちゃんがよう…」

「めぐみ!?」

マサさんの耳が、ピクッと動き

「めぐみが!?…めぐみがいったいどうしたんだ!…銀二!!」

小さな目を大きく見開いて、銀二さんに迫っていった

 

「おいおい、何だよおまえ、目ん玉血走らせやがって…」

「めぐみがどうしたんだよ、銀二!?」

「ああ、今朝、お前が出てくること話したら喜んでな、ずーっと駅で待っててくれたんだよ…」

「駅で…めぐみが!?…めぐみが俺の事を待っててくれたのか?…」

「ああ、それなのにお前、いい気に鰻なんぞ食ってやがったからよ…、めぐみちゃん、よろしく伝えてくれってよ…」

「なんでそれを早く言わねえんだよ、てめえ銀二…」

「てめえが待たせるから、忘れちまったんだろうが…」

銀二さんはむっとした顔で答えると、手にしていた大福帳を指さし

「とりあえず、俺は今から追島兄いと今日の仕事(ばい)の打ち合わせがあるから、ちょっと待ってろよ…」

忙しそうに事務所の方に向かって歩いて行った…

 

「めぐみが、俺の事を待ってて…」

マサさんはそうつぶやくと、ポッと頬をピンクにそめ、うれしそうにニヤニヤと笑い始めた…

  

(めっ、めぐみって、さっきから彼女の事を呼び捨てに…、それにこんなに嬉しそうにして…)

僕はマサさんの様子に、額から数本の青筋をたらしながら、

「あっ、あの…マサさん…」

震える声で話しかけた、しかしマサさんは、ほんわかとした笑顔で微笑んだままポーッとめぐみちゃんの部屋の窓を見つめていた…

僕は再び勇気を振り絞って

「マサさん!」

大きな声で呼びかけた…

「ん?…何だ吉宗…、急におっかねえ顔して?…」

「あの、その…えーっと…」

「何だよ、どうしたんだよお前…」

 

「あっ、あの、めぐみって…あの、マサさんとめぐみちゃんって、どういう関係だったんですか?…」

カタカタと震えながらも、気がつくと必死に問いかけていた… 

「関係?…」

マサさんは、なぜそんな事を聞くんだという、不思議そうな顔で僕を見た…

僕の心臓は緊張と恐怖でバクバクと音をたてていた…、

マサさんはそんな僕の事を、不思議そうに小さな目で見つめていたが、しばらくしてその身体に不釣合いな大きな右手をぐっと握りしめたまま突き上げ…

「これだよ、これ…」

照れくさそうに笑いながら、その中から小さな指を突き立てた…

「えっ!…こっ、これって?…」

「ああ、めぐみは俺の、これだよ…」

何と握られたマサさんの右手の中から、小指だけが一本、天高く突き立てられていたのだった…

 

(こっ、小指!?…) 

「あっ、あの…、こっ、これって、もっ、もしかして?…」

僕は顔面を蒼白にさせながら、ミヤマのマサが突き立てた、右手の小指を指差した…

「ああ、ずばり、めぐみは俺のこれ…、婚約者だ!…」

「こっ、婚約者ーー!?」

「おう、婚約者だ…」

その瞬間、僕の頭は真っ白な灰に変わった…

(めっ、めぐみちゃんが…、めぐみちゃんが…、この武州のミヤマクワガタの婚約者だったなんて…)

僕は余りのショックに、ペシャンコに踏み潰されたガマガエルのように、大きな口をおっぴろげながら、その場で真っ白な灰状態になってしまっていたのだったのだった…

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続き
第106話 めぐみちゃんの嘘つき…へ

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第二章 吉宗くんと懲りない面々」カテゴリの記事

コメント

ふーられたふーられたnote

って…めぐみちゃんはそんな女の子じゃないsign03
はずcrying

投稿: けんさぁ | 2010年2月 3日 (水) 15時15分

けんさぁさん
コメントありがとうござますhappy01
長々とお待たせしてしまいましたーcoldsweats01
まさか、めぐみちゃんが…crying
吉宗君のショックを考えると、はやく続きを書いてあげないと駄目ですね

しばらくお馬さんモードになりすぎてしまってましたが、これからはしっかり書いていきますよ^^

ちなみに先週の東京新聞杯G3でトライアンフマーチは2着になりましたnote

ps少し気分を変えて、しばしの間、なまえをひらがなにしてみました^^

投稿: こういちろう | 2010年2月 3日 (水) 17時09分

光一郎さん改めこういちろうさん、こんばんは~
何か、心境の変化なのでしょうか?(笑)

トライアンフマーチ、マーちゃん凄い活躍ですね!
お馬さんモードにはまるお気持を分けて貰える日も近いと予測しております。^^

吉宗君にライバル出現???
続きが楽しみですね~

投稿: | 2010年2月15日 (月) 20時50分

お名前がわからず、どうお呼びしてよいのか…すいませんcoldsweats01
名前ですが、これといった大きな変化ではないのですが、ちょっとした気まぐれですcoldsweats01

でも、またすぐに元にもどしそうですけれど^^

お馬さんモードに近々入る予定なのですか?
うれしいこともあれば、骨折や故障でショックを受けることも多々ありますので、その辺も覚悟してくださいね^^

吉宗君続き頭では出来上がっているのに、仕事がいそがしくて中々更新できません…
でも、がんばって近日アップしますので、しばしお待ちくださいませsweat01

投稿: こういちろう | 2010年2月17日 (水) 11時45分

あ、あれれ?
すいませーん!名なしのゴン子になってましたー!
ぜんぜん気付かなかったですごめんなさ~いm(_ _)m
名乗るほどの者でもないのですが、↑のは楽楽でした~(大汗;)

お馬さんで、
あのぉ、そのぉ、
いろいろと分けて貰える日も近づいているのだなあと…
なんだか嬉しくなってしまって…\(;゚∇゚)/

投稿: 楽楽 | 2010年2月19日 (金) 23時07分

楽楽さんだったのですねー

実はひそかに会社の会計士の先生のコメントではないか?
お馬さんの所でおもってしまっていました

それっていうのは、実は以前から会社で会計士の先生に馬って良いですよー^^なんて悪の誘いを繰り返していて、先生も最近密かに乗り気になってしまっていたのです^^

愛馬G1の約束はちゃーんと守りますので、楽しみにしていてくださいね

投稿: こういちろう | 2010年2月21日 (日) 17時31分

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