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2010年5月12日 (水)

第109話 京美人と憧れの吉宗はん

「噂の侠客、一条吉宗はん、想像以上にええ男やね……」 

突然現れた、ハッピ姿の美しい女性は、うれしそうに顔を近づけてきた… 

「吉宗はんって…、あの…どっ、どうして僕の名前を…」 

「どうして?…」 

女性は足元に置かれた木箱へ、そっと腰をかけると 

「ふふっ…、だって鬼瓦興業の一条吉宗はん言うたら、めっちゃ有名やん…、」 

笑いながら、そっとショートヘアーの綺麗な黒髪をかきあげた…、同時に彼女から甘く芳しい香りがただよってきた… 

(うぐ、なんて良いにおい…) 

僕は一瞬だらしなく目じりをたらした後、ハッと慌ててその女性に尋ねた 

「あの、有名って!?…何で僕が?…」 

「えーっ?…、何でって、今や関西の仲間うちでも、貴方の名前を知らん人はおらんよ…」 

「仲間うち?…」 

「あっ、そうやった、言い忘れてたわ…、うちも吉宗はんと同じ的屋なんよ…、」 

「あっ、あなたも?…」 

「ええ、旅から旅の的屋家業よ…、そうやわ…」 

彼女は一瞬、キラッと瞳を輝かせると、座っていた木箱から軽く腰を浮かせ、突然右手の平を僕に向けて差し出してきた… 

「えっ?……」 

僕は慌てて彼女の手のひらを見て、 

(なっ、なんだこの人…、いきなり現れて僕に何かよこせって…、人のこと有名とか変なこと言ったり、はっ!?もしや…) 

脳裏に以前銀二さんが話してくれた、ポン引きお姉さんという男をホテルにさそってお金をもらう女性が… 

(もしや、この人が、そのポン引きお姉さんでは!?…同業とか言いながら、僕をホテルへ…) 

慌てて後ずさりすると、 

「ごめんなさい、僕、お金は持ってません…、だから、そうやって誘われても、だっ、だめです…ぜったいについて行きませんよ!…」 

首をぶるぶると横に振った… 

「えっ?…お金?…それに誘うって、ちょっと何を言うとるのよ、吉宗はん…」 

彼女は中腰で右手を差し出したまま、目をまん丸にしていたが、やがてプーッと噴出し 

「やっ、やだわ、吉宗はんったら、何や勘違いしとるよ…、うちはお金か欲しくて手をだしとるんとちがうよ…」 

「えっ?…」 

「それに誘われてもついて行かへんって…、あー、うちのこと変な目で見とるね…」 

「いやっ、あのそういうわけでは…」 

「ひどいわ~、いきなりあってそんな女と思うなんて…」 

「あっ、すいません、でも、あの…、貴女が急に何かよこせって手を差し出すから…」 

女性はしばらくきょとんとした顔で僕をみていたが、やがてケラケラと声を立てて笑ったあと… 

「この手は何かよこせやなくて、仁義やんか、」 

「仁義?」 

「そうよ仁義、的屋の挨拶やん、映画とかで見たことあるやろ?…」 

「え?…」 

「初めて会ったんやから、ちゃんと仁義をきってご挨拶せんと…」 

「仁義でご挨拶って…」

「御控えなすっておくんなさい…」 

彼女は、突然まるで昔の時代劇のようにカッコよく語りはじめた… 

「お控えなすっておくんなさい…、手前生国は古の都、京都です…、京都言うても広うございます…」 

「えっ、あっ、あの、ちょっと…」 

いきなりの出来事に、僕は慌てて両手をバタバタさせた 

「どないしたん?…吉宗はん、仁義の最中やのに…」 

「そんなこと言われても、僕そう言うのって全然分からないんです…」 

「あら…、」 

彼女はしばらく目をぱちぱちしていたが、ふっと優しい笑顔をみせると 

「ふふふ、やっぱり分からないよね…、古―い昔の挨拶やからね…」 

「あっ、すいません…」 

「謝らんでもええよ、実は、うちもほんまは、上手にできんのよ、こういった挨拶…、ただ有名な侠客の吉宗はんやから、初めて会ったら、しっかり挨拶しようって、前から練習してたんや…」 

彼女は照れくさそうに笑ったあと 

「それにしても、仁義のための手を見て、お金はもってませんなんて、吉宗はんってすごーく冗談のうまい人やね…本当は堅苦しい挨拶はやめようってそいう意味やね…」 

「いや、あの…、そうじゃ…」 

「それじゃお言葉に甘えて、うちも堅苦しいのはやめにして、改めてご挨拶します…、うち、京子です…、貴方に会いたくて遥々京都からやってきたんよ…」 

「えっ?…」 

「噂の侠客に一目会いとうてね…」 

うれしそうにそう告げると、ぐっと顔を近づけてきた…、間近に迫ってきた彼女の切れ長の瞳は、まさに京美人といった美しさを漂わせていた… 

(近くで見ると、さらに綺麗だ、この人…、めぐみちゃんとは違ったタイプの美人だけど…) 

僕はそんな事を考えながら、ドキドキと心臓の鼓動を高鳴らせ… 

(あっ、何を考えているんだ、めぐみちゃんとこの人を比べるなんて…でも、やっぱり綺麗な人だ~…、あっ、いかん、いかん…) 

心の中で葛藤しながら、目の前に迫ってきた京都美人の京子という女性の顔を見ていた、 

がっ…、少しして僕は、僕自身のある場所の変化に思わずハッと顔を赤く染めた… 

(うわっ、まずい…) 

そう、それは節操も無く、いつの間にやら元気もりもりに変身しはじめている、僕のへそ下三寸のこまった君のことだったのだった…

「どないしたん吉宗はん、急に真っ赤な顔して…、熱でもあるん?…」 

「いやっ、あの…」 

「あかんよ、無理したら、ちょっとおでこさわらせて…」 

京子さんは、少し心配そうに僕のおでこに手をあてると、 

「あれ?すこし温かいかな…、ちょっとごめんね…」 

そう言いながら、自分の前髪をかきあげ、そのかわいらしい額を僕のおでこにすりつけてきた… 

(あっ、いきなりそんなことされてしまったら…) 

僕のこまった君は、さらに、もっとこまった君へと大変身…、僕は慌てて腰をぐっと後ろに引いた奇妙なかっこでごまかした… 

「うん、熱は無いみたいやね…」 

京子さんは、僕のおでこから額を離したあと、一瞬ハッと顔を赤らめた… 

「あっ、ごめんなさい…、いきなり会ってこんなこと…」 

「えっ、いや…」 

「何や、まえから憧れとった吉宗はんやから、つい他人のような気がしなくて…」 

「…あっ、憧れ!?」 

「うん、ずーっと憧れとったんよ…」 

彼女はそう言ったあと、幸せそうに僕を見つめ 

「それにしてもええ男やね~!…、噂以上やったわ…、おまけにめっちゃ可愛いし…」 

「かっ、可愛い?」 

「うん、想像とは全然違ってたわ…」 

「はあ?…」 

「実はね、吉宗はんのたくさんの武勇伝聞かせてもろうて、もっといかつい男や思うとったんよ、うち…」 

「武勇伝?」 

「ええ、関東は武州多摩の地に、西条竜一を一撃で倒したうえに、性根まで叩き直した若き侠客がいるって…、」 

「西条さん!?」 

彼女の口から出てきたその名前に、僕ははっとあの恐怖の一夜を思い出した… 

「西条さんって、あの、どうしてあなたが…」 

「どうしてって、西条竜一いうたら、西の極道連中でも知らん人はおらん位、極悪で有名な男やったんよ…、誰も奴には逆らえんかった位や…」 

「西条さんが…」 

「そうや、その西条竜一を、恐れるどころか真っ向から打ち負かした男がおるいう噂が広がってね…、おまけにそれが18歳の駆け出し預かり分…、みんな驚いとったんよ…」 

京子さんはそう語りながら、キラキラ輝く瞳を僕に向けた… 

「あっ、あの…、それだったら誤解ですよ…、西条さんを倒したのは、僕じゃなくて、僕の中に入った桃さんで…」 

僕はあわてて首を横に振った、しかし京子さんは、さらに瞳を輝かせると 

「そう言うところが、また素敵やわ~…」 

「すっ、素敵!?…」 

「ほんまはめっちゃすごい男やのに、そんなそぶりすら見せず、さりげなーくしとる…、可愛い顔の奥に、ごっつい男義をかくしとる、ほんまもんの男…、吉宗はんは、うちが想像していた以上やったわ~…」 

「いやっ、あの、そうじゃなくて本当に桃さんが…あっ!?……」 

 気づくと京子さんの綺麗な指先が、僕の口を押さえていた… 

「嘘ついたってあかんよ…、あなたの話はこっちに来てからも、ぎょうさん聞かせてもらったんやから…、」 

「えっ?…」 

「的屋になってたった二日目に、川竜一家の熊井さんいうプロレスラーのような男とまっこうから戦って、一歩も引かんかった…、それどころか熊井さんは涙で貴方に降参した話とか…、みんなも恐れる捜査四課の鬼刑事に戦いを挑んで、鬼刑事のパンツを公衆の面前ではぎ取ってやったとか…」 

  

「えっ?そっ、そんな話まで…」 

「その他たくさん…、もう、聞けば聞くほど、うち、あんたに夢中になってな…、ずーっと会いたくてしかたなかったんや…、その夢がやっとかなって、こうして二人っきりで会わせてもらえるなんて、何度も神様にお願いした甲斐があったわ…」 

そう言うと彼女は、少し潤んだ輝く瞳で僕をじーっと見つめながら、 

「一条吉宗はん、うち、なんや胸のあたりが変やわ…」 

「えっ?」 

「うち、こんな感じって、初めてやわ…」 

「こんな感じ?…」 

「貴方のそばにおる、そう思うだけで、何や胸がキューンと熱うなって…どないしたんやろ…」 

「あっ、あの胸が熱いって、だっ、大丈夫ですか?…、早くお医者さんに…」 

「アホやね、病気とちゃうよ…」 

「そっ、それじゃいったい?…」 

「ほんまものの恋や…、うち、吉宗はんのこと、めっちゃ好きになってしまったみたいやわ…」 

「えっ?」 

僕は目の前で起こっている光景に、ただおろおろとしていた、しかし彼女はさらにぐっと、その美しすぎる顔を近づけてくると 

「はじめは憧れだけやったのに、こうして直接貴方に会えて…、憧れが本物の恋に代わってしまったみたいや…」 

「こっ、恋?…」 

「うん、うち、貴方のことが好っきや~、めっちゃ好っきや~…」 

「ぼっぼっ、ぼっ、僕が…、好き?…」 

(これって、もしかしてドッキリ番組?…) 

僕はあたりをきょろきょろと見まわしはじめた、 

「どないしはったん?吉宗はん…」 

「あっ、あの…、貴女のような綺麗な人が、突然現れて、そっ、そんなこと言うから、きっとドッキリ番組じゃないかと思って…」 

「ドッキリ?…」 

「何所かにテレビカメラとかが…」 

「いややわ、そんなものありません…」 

京子さんはそう言うと、そっと僕のダボシャツの袖口をつかみ、満面の笑顔を僕に向け 

「でも、うれしいわ…、うちのこと綺麗なんて、吉宗はんの口から言ってもらえるなんて…」 

「えっ!…それは、あの、だって…、本当に綺麗だから…」 

「うれしい…、吉宗はん、うちもあんたが好きや、めっちゃめっちゃ好っきや~」 

僕の腕に顔をすりよせてきた…

(こっ、これは、いったい…えーっ?えーっ?えーっ?) 

突然起こった、ディープインパクト…そう、大きな衝撃に、僕はしばらくパニック状態に陥っていた、しかしやがて、ブワっと鼻の穴を大きくおっぴろげると 

「どうえーーーーーーーーーーーーーー!?」 

思わず大声で驚愕の雄叫びをあげていたのだった…

 

続き
第110話 恐怖!新京極の森亀会長へ…

 

(イラストカットは近日アップします^^)

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第二章 吉宗くんと懲りない面々」カテゴリの記事

コメント

なななんとsign01

あっちはあっちで大変で、
こっちはこっちで大変になりそうで、
恋の道とは険しいもんじゃのぉ~smile


更新お疲れ様ですheart04

投稿: けんさぁ | 2010年5月13日 (木) 13時55分

けんさぁさん、更新遅くなってごめんなさーい

やっとこさ、ワードで物語を作るのになれる事が出来ました(いまだに自宅PCからは、ブログ更新ができませんweep

今日は一日重機の中でしたが、合間をみてはノートに吉宗君の続きを考えていました
密かにお知らせしておきますが、かなり面白くなりそうな気配ですsmile

その前に今週はラドラーダがヴィクトリアマイルで走りますよー
強いブエナビスタ相手にどれだけ頑張れるか、今から楽しみですnote

投稿: こういちろう | 2010年5月14日 (金) 18時35分

初コメントです(´∀`)
いつも楽しく拝見させてもらってます!
次の更新も楽しみにしてますー☆

投稿: よーへー | 2010年5月16日 (日) 21時05分

よーへーさん
コメントありがとうございます^^
次回はそう遅くなく更新できると思いますので、いましばらくお待ち下さいhappy01

また、気軽にコメントいただければとってもうれしいです~^^

投稿: こういちろう | 2010年5月17日 (月) 17時54分

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