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2011年1月21日 (金)

第114話 吉宗くん、祝い太鼓と真実の愛

「やべえ、まじでやべえぞ…」

銀二さんは慌てて後ろを振り返った、そこには銀二さん以上に青ざめた顔で立っている、マサさんの姿が

「マサ、おい何とかしろ!もとはてめえが撒いた種だろうが!…」

「何とかっつっても…」

「おめえが吉宗に説明するしかねえだろうが、さっきの話は嘘だったって…」

「……」

「このままじゃ、お嬢も森亀会の跡目も吉宗のものになっちまうんだぞ!」

「そ、そうか!」

マサさんは、大きなパンチ頭を突き出し、猛ダッシュで森亀会長のわきをすり抜けると、僕の持ち場脇の植栽の中へと飛び込み

「おい、吉宗…、吉宗…」

小声でひっしに僕の事を手招きはじめた…

「吉宗~、おーい吉宗~」

「えっ?…」

僕は植栽の影から手を振っているマサさんに気づき

「あれ?…そこにいるのはマサさん?…」

歩み寄ろうとした、その時だった

「おーう、お嬢~、どうやー、婿どんとうまくやっとるかー?」

大きなガラガラ声を響かせながら、森亀会長が近づいてきた…

「あっ!…かっ、会長さん…」

僕は、マサさんから目をはなし、あわてて森亀会長に頭をさげた

 

「おいおい、そないに他人行儀はやめいや…お前さんはもうワシの婿なんやからの、がーはははは…」

「むっ、婿?…」

僕はきょとんとした顔で会長を見た…

「おっ、お父ちゃん…何をいうとるの、吉宗はんがびっくりしとるやないの、もう…」

「何やお嬢…婿言うて何が悪いんや?…」

「もう、お父ちゃんったら…」

「えっ?…えっえっ?…」

しばらくの間、僕は目をぱちくりしていたが、やがて京子さんと森亀会長を交互に見たあと

「えっ!?あの、婿ってもしかして…」

自分の事を恐る恐る指差した…

「がはははは、婿いうたら他に誰がおるんや…」

「えーーー、えーーーーーー!、ちょっと待って下さい、僕がどうして!?」

「何や、おまえなんぞ文句でもあるんか?…」

森亀会長は大きな目玉をギョロっと動かした

「いや、あっ、あの…文句とかじゃなくて、あまりにも急すぎて、あの…」

「急もなんもあるか…ワシが合格言うた時から、お前はお嬢の婿に決まったんや…」

「決まったって、でっ、でも…」

「おどれ、まさか、うちのお嬢のことを、気に入らんいうんじゃないやろうな…」

「えっ!あっ、いや、あの…」

京子さんは困った様子の僕を見て

「ちょっと、お父ちゃん!」

あわてて二人の間に割って入った

 

「なっ、何でや、お嬢…ワシはお前のためを思うて…」

「お父ちゃん!…」

京子さんはキッと森亀会長を見ると

「お父ちゃんの気持ちはありがたいけど、ちょっとあっち行ってて!」

「お、お嬢!?…」

「うち、吉宗はんと大切なお話があるの、お願いだから…」

京子さんの言葉に森亀会長はしぶしぶ、その巨体を揺らしながら遠ざかっていった…

 

会長の威圧感たっぷりの目玉から解放された僕は、その場で 「ほっ…」 っとため息をついた…

京子さんは、とぼとぼと離れていく会長の後ろすがたを確認したあと

「ごめんね吉宗はん…、うちのお父ちゃんって、せっかちで、強引やから…」

そう言いながら僕の方に振り返った…

「えっ、いや…あっ!?」

僕は、はっとした…

それは京子さんの顔が今までの明るいものではなく、とても切なそうな、それはたまらない表情だったからだった…

「きょっ、京子さん!?…」

「吉宗はん、ごめんね…、考えてみたらうちも、お父ちゃんと同じやったかもね…」

「同じ?」

「うん…、吉宗はんの気持ちも確かめんと、いきなり現れて勝手に好きや~、なんて言い寄ったり…それに、こうしてずうずうしく手伝うたりして…」

「えっ…」

「吉宗はん、たしか十八歳やろ…、それに比べてうち二十歳やから、二つもお姉さんや…」

「……」

「吉宗はん、年上の女なんて嫌かもしれんのにね…」

京子さんは静かに語りながら、潤んだ瞳を僕に向けた…

 

「きょっ、京子しゃん!?…」 

僕は彼女の悲しそうな瞳を見た途端、胸がきゅんとしめつけられた…、

「ごめんね吉宗はん、うちも本当にいけんね、お父ちゃんに似ちゃったのかな…」

京子さんは潤んだ瞳をさらに輝かせながら、僕のことを見つめてきた…

(なっ、なんていう甘く切なく、そして美しい瞳なんだ…)

彼女のキラキラ輝く潤んだ瞳を見ているうちに、僕はさらなる熱い感動をおぼえ、気が付くと目にいっぱいの涙を浮かべていた…

「えっ?…」

「うぐ…うぐぐぐ…」

「やだ…、吉宗はん泣いとるの?…」

「何だかわからないですけろ…、京子しゃんの美しい目を見ていたら、涙が…涙が…」

意味も分からず僕は、ぽろぽろと涙を流し始めていた…

「吉宗はん、泣かんといて、ねえ、泣かんといて…」

京子さんは持っていた手ぬぐいで、やさしく僕の涙を拭いてくれた

「すいましぇん…すいましぇん…京子しゃん…」

「もう、何やの吉宗はんったら…強いだけやのうて、こんなに純粋で涙もろいところもあったなんて…うちますます好きに…あっ!」

京子さんはハッとすると

「あっ…ごっ、ごめんね吉宗はん…うち、またこんな事…」

「えっ!」

「ほら、吉宗はんの気持ちも確かめんと、勝手にひとりよがりしちゃって…」

「いやっ、そっ、そんなこと…」 

「あっ、あの吉宗はん…一つ聞いていい?…」

京子さんは頬をピンクに染めながら

「吉宗はん…、好きな人…、おるん?…」

その美しすぎる瞳で僕を見つめた…

「えっ!?…」

その瞬間、僕の脳裏にめぐみちゃんの優しい笑顔がよみがえってきた…

 

「あっ、あの…あの…」

頭の中に登場しためぐみちゃんは、どんどん大きく膨らみはじめ、僕の胸はふたたびきゅーんと張り裂けそうになった…

114megu

 

「どないしはったの?…吉宗はん…」

「あっ…あの…その…実は…」

僕はめぐみちゃんが好きです…そう言いかけた、その時…

「吉宗ーーーー、吉宗ーーーーーーー!」

背後から僕を呼ぶ声が…

「えっ!?」

慌てて振り返ると、そこには植栽の影で、バタバタ手をふっているマサさんの姿が…

(あっ、マサさん!!…)

その瞬間、頭の中のめぐみちゃんの隣に、マサさんの大きなパンチパーマ頭が割って入り込んで来た…

 

(そっ、そうだったんだ…、めぐみちゃんにはマサさんという愛する婚約者がいるんだった…)

僕は慌てて夜空を見上げると、ダボシャツの袖で涙をぬぐい、ずずずーーっと鼻汁を啜り上げた…そして植栽の中でバタバタ手を振っているマサさんへ、うんうんとうなずいて見せた… 

「えっ?なんだ…吉宗のやつ…」

マサさんは、意味深に泣きながらうなずく僕の姿に

「あのバカ、なんか勘違いを…」 慌てて立ち上がり

「違う違うーーー!」

引きつった顔で、再び手をバタバタと降り始めた…  

(どうしたんだろうマサさん、あんなに必死に手をバタバタ振り回して…)

「あっ!」 僕は、はっと目を輝かせ

(あっ、あれは、三々七拍子だ!!…)

心の中で叫んだ…

 

(そうか、マサさんは、僕と京子さんのために、あんな所で応援団長を務めてくれているに違いない…)

僕は、マサさんの優しさに感動しプルプルと身体を震わせながら、再びうんうんとうなずいて見せた…

 

「何だよあの天然バカは…」

マサさんは僕の様子にあきれながら、

「バカ吉宗、違う違う、俺とめぐみは違うぞー!」

「えっ?…」

僕は一瞬、目をパチパチさせると

「誓う誓う?…俺とめぐみは誓う?…」 

(そうかマサさん…、めぐみちゃんを絶対に幸せにしてくれるって誓ってくれているんだ!…)

人生最大の勘違いをした僕は

(ありがとうございます、マサさんのその思い、確かに受け止めましたよ!)

心の中でつぶやいた…

 

「吉宗はん…あの人、たしか吉宗はんの先輩でしょ…、何しとるん?あんな所で…」

京子さんの問いに僕はぐっと気合を入れると

「僕の応援をしてくれているんです!」

唇をかみしめながら、大きな声で叫んでいた…

「応援?…」

「はいっ!すごく優しい人なんです…」

僕は再びマサさんを見ると

(マサさん、ありがとうございます!…僕も真実の出会いをつかみ取りましたよー!)

心で訴えかけながら、マサさんにガッツポーズを見せた…

  

「ガッ、ガッツポーズって…、あっ、あのスーパー天然…」

マサさんは慌てて立ち上がると

「バカ吉宗ー違うってのー!」

大声で叫んだ…

  

…がっ!…… 

ドンガ!ドンガ!ドンガ!ドンガ!ドンガ!…  

マサさんの叫びと同時に何所からか、大きな太鼓の音が…

ドンガ!ドンガ!ドンガ!ドンガ!ドンガ!…

 

「なっ、なんだー、この音は!祭りは終わったはずだろー」

マサさんは目を血走らせると

「吉宗ー違うぞー、めぐみと俺の婚約ってのは嘘だぞー、ぜーんぶ俺の嘘だぞーー!」

必死に叫びながら手をバタバタ振り回した…、しかし…、

ドンガ!ドンガ!ドンガ!ドンガ!ドンガ!…

マサさんの叫びは太鼓の音によって消しさられ、僕の目からはマサさんが太鼓の調べにあわせて応援団長を務めてくれている、そう映るだけだったのだった…

114masasyan  

(マサさん、僕のために太鼓まで用意してくれるなんて…なんていい人なんだ…)

僕はさらに感動しまくると、頭の中のめぐみちゃんへの思いを振り払うように

「うおーーーーーーーーーーーー!!」

夜空に向かって雄叫びを上げた…

 

「吉宗はん、どないしたの?…」 

「京子さん、聞いてください!」

「えっ?」

ドンガ!ドンガ!ドンガ!ドンガ!ドンガ!…

「さっきの質問の答えです!…」

僕は太鼓の音に負けないくらいの大きな声で

「実は、僕には好きな人がいました!…」

「えっ!?」

「でも、僕はもうその人のことをあきらめましたー!」

「それって、どういうこと?」

「それは…、僕のことをこんなにまで大切に思ってくれている、あのマサさんと、そして彼女のため、そして真実の愛をつかむ為、僕はあきらめる決心をしたんです!」

ドンガ!ドンガ!ドンガ!ドンガ!ドンガ!…

太鼓の音は、僕の心を奮い立たせるように、さらに大きく響き渡った…

「京子さん!僕はもうすべての事を捨てる決心を固めました!」

「えっ?…ちょっと吉宗はん、太鼓がうるさくて、よく聞こえんかったよー」

京子さんは大声で叫んだ…僕はそんな彼女の姿、そして鳴り響く太鼓とマサさんの応援にさらなる後押しを受け、心の中で (よっしゃーー!) っと一発気合を入れると

 

「京子さん!…僕はあなたと真実の愛をつかむ決心をしたのです!…」

太鼓の音に負けないくらいの大きな声で叫んでしまったのだった…

114kokuhaku

しーん…

その言葉と同時に、どういうわけか今まで響いていた太鼓の音はピタッとなりやんでいた…

そして気が付くと、目の前の京子さんは、潤んだ瞳を輝かせ、僕のことを熱く見つめていた…

「あっ!?」

(しまった、勢いにのって、僕は京子さんにこんな大胆なことを…)

「京子さん、今のはあの…その、太鼓の勢いっていうか…その…」

「うれしい…」

「えっ!?」

「うち、こんなに熱い愛の告白を受けたの、生まれてはじめてや~!」

京子さんは感激で顔を真っ赤にそめながら

「うちも好きや…吉宗はんのこと大好きや!…」

僕の胸へ飛び込んできた…

「ありがとう…、吉宗はん、ありがとう…」

「京子さん…」

僕の胸にすがりつき、幸せそうに微笑んでいる京子さんを見ながら

(ああ、これでいいんだ…、こうして真実の愛を僕もつかんだことで、めぐみちゃんも安心してマサさんと幸せになれるんだ…)

僕は自分にそう言い聞かせていた…、そして、すっかり静まった夜空を見上げると

(めぐみちゃん…さよなら…さようなら…)

悲しみをぐっと胸の奥へしまいこみ、心の中で何度も何度もつぶやいていた…

  

「うむ、さすがはお嬢が惚れて、ワシが合格を出した婿や…気合の入ったええ言葉やったー!!」

「えっ!?…」

突然響いてきたガラガラ声に振り返り、僕は 「うわーーー!?」っと驚きの声をあげた…

そこには、お囃子の舞台の上、全身の入れ墨をさらけ出し、鉢巻き姿で太鼓のばちを握っている森亀会長と、その後ろで、これまた片肌の刺青をさらけ出しかっこよくポーズを決めている京極森亀会の怖い人たちが並んで立っていたのだった…

Taijkoiwai

  

「あの、それじゃさっきの太鼓の音は…会長さんたちが…」

「どうやー婿よ、京都の祝い太鼓、すばらしかったやろー、ガハハハハハ…」

「はっ、はい…」

僕はひきつった顔で頭を下げた…

「いやあ、今日はめでたい…実にめでたい、ガハハハ、ガーハハハハハハ!…」

会長は、ガマガエルのような笑い声を夜空に響かせていたが、やがてその大きな目玉をグワッと見開くと

「おい婿…お前に大事なことを言い忘れとった…」

「はっ?…」

「もしもワシの大切なお嬢を泣かせてみい、おどれのどたまマグナムでぶち抜いて、10メートル四方脳みその海にしたるからな…グワハハハ、グワハハハハハハ…」

見開いた目玉をぎょろぎょろ回しながら大きなガラガラ声で笑った…

「のっ、脳みそって!?…うぐえっ…」

僕は背筋にぞっと悪寒を走らせながら、ひきつった声で 「はっ、はひっ!…」っと返事すると、救いを求めるように京子さんに目を移した…

京子さんはそんな僕の恐怖をやわらげるように

「いややわ吉宗はん…、冗談よ、冗談…」

優しく微笑んでくれた…

「じょっ、冗談ですか…はは、はははは…」

「それより吉宗はん?一つ確認したいんやけど…」

「えっ?」

「うん、さっきの言葉…、うちと真実の愛をつかむって、あれ信じてええん?…」

「えっ…」

僕はしばらく考えて

「はっ、はい…」

小さく首を縦に振った…

「ほんまに?…ほんまに信じてええんやね…」

「はっ、はい…」

「もし嘘やったらうちかてただでおかんよ…」

「いっ!?…」

「嘘やったらあんたの金玉ぶった切って、うちで飼っとるワニ亀の餌にしたるからね…」

京子さんは今まで見せたことのない、ど鋭い般若のような目で僕を見た… 

「うぐぇ!?…」

「きょっ、京子さん、あの…金玉って…亀の餌って…あのっ…あの…」

驚きと恐怖にひきつった顔の僕を見て彼女は

「いややわ吉宗はん、嘘やったらの話よ、嘘やったらの、ふふふ…」

ぱっともとの優しい笑顔に戻り、にっこり微笑んだ…

(何だ…今の恐ろしい目は…)

僕は額に脂汗をたらしながら、京子さんの笑顔を見つめていた…

  

「おーっしゃお前らー、祝いや祝いや、祝い太鼓の続きやー!」

会長のガラガラ声に、森亀会の人たちは、「へーい…」と、どすの利いた返事をすると、

ドンガ!ドンガ!ドンガ!ドンガ!ドンガ!…

一斉に太鼓を叩きはじめた…しかし祝い太鼓と言いながら、彼らの目は憧れのお嬢の心を奪った、僕に対する怒りで満ち満ちていたのだった…

ドンガ!ドンガ!ドンガ!ドンガ!ドンガ!…ドンガ!ドンガ!ドンガ!ドンガ!ドンガ!…

そんな僕と京子さんの祝い太鼓を遠めに見ながら、

「あいつ、マジで金玉切り取られるな…」

「ああ、間違いねえ…」

マサさんと銀二さんは呆然と立っていた…

そして、夜空にはこれから起こる波乱の幕開けを告げる、祝い太鼓の音色が響き渡っていたのだった…

続き 第115話 銀さんマサさんのグレイトマルチン大作戦 へ

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第二章 吉宗くんと懲りない面々」カテゴリの記事

コメント

これは波乱の予感、ヤバそうだ 笑

投稿: 読者 | 2011年1月27日 (木) 20時41分

読者さん、コメントありがとうございます^^

本当にやばそうですね…、どうなっていくのか書いている私にも読めません

でも吉宗くんならとんでもない事をやってくれる予感が…coldsweats01

投稿: 光一郎 | 2011年1月27日 (木) 23時04分

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