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2012年1月

2012年1月24日 (火)

ツイットよりもfbよりも書くこと

第117話を土曜日にアップしました。なかなか脳みそが動きませんでしたが、どうにかラストは動き出しました。この感じを忘れないように書かなければ…

最近フェイスブックとツイッターを始めたのですが、どうも意味がよくわからないです。

呟くよりも本編を書くことに専念しようsad 今そう思いました。

やっぱり書いてなんぼですからね^^

さあ、今日はもう寝て、明日から118話の執筆を本格的に始めたいと思います。

Irastpancho

↑前々から宣伝している小説「パンチョッパリ」のイラストです

サイドバーのアマゾンで購入できますので、興味のおありの方は読んでくださいね^^

改めて先日読み直しましたが、じーんときますよ…

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2012年1月21日 (土)

第117話 吉宗くんとめぐみちゃんの大きな壁

「ごめんやす~、ごめんやす~!」

鬼瓦興業の玄関で、大きな顎の男が声を張り上げた。そしてその後ろにはオシャレな帽子を深くかぶり、高級ブランド風の服をまとった女性が静かに立っていた

「はっ…はい…ど、ど、ど……、どなたっすか?」

廊下の奥から金髪の鉄が、のそのそと姿を現し、玄関の二人を得意の不気味な目でギロッと見た。同時に玄関の顎男は眉間にしわをよせると

「自分は京極森亀会のデカ顎のサブというもんです…鬼辰のオジキに御用の儀あってまいりました。」

右手を差出し、ぐっと腰を落とした。鉄は多少この業界の仁義という挨拶を知っているのか、あわてて腰を低く下げると

「こ…こ…これは、しっ、しっ、失礼しやした……じっ、自分は、おっ、おっ、鬼瓦興業の…、ふっ、不死身の、てっ…、鉄と…とっ、とっ、とっ……とっ…」

緊張のせいかいつも以上の、たどたどしい時間差口調で挨拶を返し始めた、するとそれまで顎男の後ろにいた女性が

「あー、あなたが吉宗はんの舎弟分の鉄はんやね…」

キラキラした笑顔で二人の間に割って入った

「…えっ?…てっ、鉄はん…?」

鉄は突然現れた女性の顔を見た瞬間、小さな目玉を見開いたまま、その場で固まってしまった…

鉄の前に割って入った女性、それは京極森亀会のお嬢こと、森山京子さんだったのだった…

「あなたが鉄はんや、うちすごーく会いたかったんやわ…」

「あっ、あっ、会いたかったって…えっ?えっ?…」

鉄はボロボロの歯を見せながら口を大きくおっぴろげると、顔を真っ赤にしながら京子さんを見つめた…

「あー、ごめんなさい、急にそない言うたらびっくりするのも仕方ないね…」

京子さんはあわてて帽子をとると

「うちは森山京子どす…、これから長い付き合いになるけど、よろしゅうたのみます」

相変わらずの美しすぎる笑顔で鉄に挨拶をした。

「なが…なが…長い付き合いって…はが、はが…」

鉄は頭から湯気をだしながらポーッと京子さんを見つめていた

「あら、うちったら相変わらずそそっかしいわ、初めて会ってこんな事いったって、鉄はんにはようわからんね、実はうち、吉宗はんのコレなんよ、ふふふ」

京子さんはそっと右手の小指を立てて見せた

「えっ、えーっ、あっ、兄貴の、こっ、コレって?…えっ?……」

鉄はつられるように自分の右手の小指を突き上げると、

「だって兄貴には……えっ?…えっ?…」

もう片方の手の小指もつき立てて、両方を交互にみながらパニック状態に陥っていた…

「鉄はんったらそんなに驚かんでもええやない…。そうやわ聞いてるよ、西条竜一との対決の時に、鉄はんが吉宗はんのピンチを救ってくれたんやてね」

京子さんはそう言いながら鉄に接近すると

「これは、うちからのお礼やわ…。ありがとう、うちの大切な人を救ってくれて、チュッ!」

鉄のほほにそっとキスをした。

Chu

「ほえっ!!」

よほどの衝撃だったのか、鉄は頭から機関車のような蒸気をポーッと吹き上げると、まるで旧型のパソコンのようにその場でフリーズしてしまった。

「あら、ちょっと、鉄はん?鉄はんったら、どないしたん?」

「……ジーー……、キュルルル………」

鉄はボロボロの歯をガチガチ動かしながら、完全にフリーズし続けていた、とそこへ居間から姐さんが姿を現し、玄関のお嬢を目にすると

「あらっ、もしかしてあなた京子ちゃん…やっぱり京子ちゃんね」

「はい、京子どす。鬼瓦の姐さん、ご無沙汰してました…」

「まあ、噂には聞いていたけど、本当に美人になっちゃって」

姐さんは嬉しそうに近寄り彼女の手をそっとにぎった

「あなたの話は、さっきうちの人から聞いたわよ、さあ、上がって上がって…あら、後ろにいるのはサブちゃんね、さあ、あなたも上がりなさい…」

「鬼瓦の姐さん、お言葉にあまえて、お世話になります!」

デカ顎のサブこと、京極森亀会の三郎さんは両手を膝にのせ、深々と頭をさげ礼儀正しく挨拶をした後

「ほいたら、失礼します…」

玄関脇に置かれた真っ赤なスーツケースと、その隣にあった水槽を抱え京子さんの後に続いて中へ入っていった。

「さあ、うちの人も首を長くして待っていたから、二人とも向こうで一緒に一杯やりなさい」

「ありがとうございます、鬼瓦の姐さん」

「何よ京子ちゃん他人行儀に…、昔みたいにおばちゃんでいいのよ」

「それじゃ、遠慮なく、鬼瓦のおばちゃん、しばらくお世話になります。」

姐さんに招かれながら京子さんとサブさんは、マサさんの出所祝いでにぎやかに盛り上がっている奥の居間へと歩いて行った。

 

 

「あっ!?」

それまでフリーズしていた鉄は、ハッと目を見開くと、慌てて京子さんの後ろ姿に目を向け

「なっ、なっ…なんだ、あの、めちゃめちゃ、すっ、すっげえ美人は!?…それも兄貴の、こっ、コレって…でっ、でも兄貴には、めっ、めぐみさんが…えっ、でも、あの美人は兄貴のコレって…」

興奮で鼻息を荒げながら、両手の小指を交互に見た後

「あーー、そっ、そうか!」 

「あっ、あの人は吉宗兄貴の、とっ、土地土地の女?…てことは、あの京都弁からして、にっ、西の女ってやつか!…。やっ、やっ…、やっぱり吉宗の兄貴だ…。あっ…、あんな半端ねえ美人が、にっ、西の女にいるってのに…、めっ、めっ、めぐみさんまで、もっ、モノにしてしまう。すっ、すっ、すっげえ~、すっげえよ~」

鉄はキラキラ光る眼で天を仰ぎ、ぐっと拳を握ると

「東にはめぐみさん、にっ、西にはあの美人の姐さん…きっと北と南にも、兄貴はいい女を隠してるに違いないぞ…。すっ、すっげえ…、あっ、兄貴…、おっ、俺は、一生あんたに付いて行きますぜ…」

僕に対して更なる忠誠を誓ったのだった…。

 

 

 

そのころ僕は…

まさか森亀のお嬢こと京子さんが、鬼瓦興業へ登場しているとは露知らず。めぐみちゃんへの熱いのみを胸に

「僕はめぐみちゃんを選ぶ!…たとえ、ぶった切られたって、めぐみちゃんを選ぶのら~!」

叫ぶと同時に塀の上から、めぐみちゃんの部屋のバルコニーめがけ決死のダイブをした。

…がっ!…

彼女のバルコニーのはるか手前で、距離の目測を誤ったことに気が付き

「あれ!あれれ!?」

遠くに見えるバルコニーをつかもうと、空中で手をバタバタさせたものの、どうにもならずそのまま顔面から落下、グシャーッ!という鈍い音とともに神咲家の庭先へ叩き付けられてしまったのだった…

「ぐおぁ~!!」

僕はガマガエルがダンプに踏みつぶされたような声を発しながら鼻血まみれの顔を持ち上げると、今度は近くにあった柿の木に向かって猛ダッシュ、夢中で木のてっぺんへとよじ登っていった

(めぐみじゃん…めぐみじゃん…)

僕の頭には、めぐみちゃんに会いたい、会って自分の真実の思いを告げたい、ただそれだけしかなかった…。自分がどれだけデンジャラスな場所にいるか、そして身の危険が刻々と迫っているか、そんなことも知らずに僕は柿の木のてっぺんからは少し離れた場所にある、めぐみちゃんの部屋へ声を張り上げた

「めぐみちゃん!めぐみちゃーん!!」

僕は明りのついた彼女の部屋を祈るような思いで見つめた、すると僕の熱い思いが天に届いたのか、部屋のカーテンがあわただしく開き、中から夢にまで見ためぐみちゃんが姿を現した

「吉宗くん!…、そこにいるのは吉宗くんなのね!」

めぐみちゃんもよほど嬉しかったのだろうか、裸足のままバルコニーへ飛び出すと

「ずっと待ってたんだよ、すごく会いたかったんだよ!」

瞳にいっぱいの涙をためながら、バルコニーの端へとやってきてくれた

「めぐみちゃん、ごめんよ…。僕、何も知らずに、あんな酷いこと言っちゃって、ごめんよ…」

僕は柿の木のてっぺんで泣きながら彼女に叫んだ。めぐみちゃんは首を横に振ると

「ううん、いいんだよ…、誤解が解けたんなら、それでいいんだよ…」

嬉しそうに微笑んでくれた

「めぐみちゃん…、めぐみちゃん…」

僕は柿の木にしがみつきながら必死に彼女のバルコニーへ手を伸ばした、

「吉宗くん!吉宗くん!」

彼女も僕の手をつかもうとバルコニーから手を差し出した、しかし、僕たちの距離は遠く、二人して手を取り合うことは出来なかった…。

近いのに遠い、二人の間に存在するその距離こそ、これから先、僕と彼女の間に訪れる試練の壁だったのだった…

そしてその二人の試練の壁の番人が、刻一刻と近づいていた…。

柿の木の下に近づいてくるギラギラ光る丸い物体…、真っ暗な庭先、電灯など無かったはずの柿の木の下で、その丸い光の物体はピタッと止まると

「この腐れガキが~!!」

突然僕に向かって怒鳴り声を上げた…。そう、その光の正体こそ、閻魔のハゲト虎、めぐみちゃんと僕の間に立ちはだかる最大の城壁…警視庁捜査四課で泣く子も黙る鬼刑事、神咲虎三の光り輝くハゲ頭だったのだった…

 

そして僕たちの間に割って入る人物がもう一人…、そう、それは美しすぎる城壁…。

 

その美しい城壁、新京極の森亀お嬢はその時、何も知らずに鬼瓦興業の居間で僕がトイレから戻るのを待ちわびていた…

「吉宗はんったら、どないしたんやろ?…せっかくうちが会いに来てあげたのに…」

お嬢は静かにつぶやくと、そっと彼女の後ろに置かれた水槽に目を向け

「もうじきあんたにも会わせたるからね…」

水槽の中に向かって語りかけた。すると中から一匹の獰猛そうなワニガメがゴツゴツした甲羅から、ニューっと顔を突き出し、獲物を求めるような鋭い目で口をパクパク動かしていたのだったのだった…

つづく

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2012年1月 6日 (金)

第116話 吉宗君、さらば僕のおちんちん

「ああ、最低だ~、僕は最低のスケベ男だぁ~…。」

バンの後部座席、ぎっしり積み込まれた荷物の隅で、僕は恨めしそうに自らの股間を見つめていた

「ああ、どうして僕のここは、節操がないんだ…、めぐみちゃんの悲しい思いを知りながら、あんな所でカチカチに大きくなってしまうなんて…最低のスケベ男だ~」

「お前、さっきからスケベだの、最低だのって、何をぶつぶつ言ってんだ?」

運転席の銀二さんが振り返った

「だって銀二さん…」

「だってもクソもねえだろ、あんないい女に好きって言われたうえに、おもいっきし抱きつかれてんだぞ、そらあチンボだっておっ立つに決まってんだろうが」

「で、でも、銀二さん、僕は京子さんに真実を言えないまま、スケベ心をむき出しにしてしまったんですよ。くそう、それもこれも、この節操のないこいつのせいだ~」

僕は力任せに自らの股間をぶったたき、「ぐおあ…」その場で悶絶しながらかがみこんだ。

「てめえの倅せめてどうすんだ、バカ…」

銀二さんは呆れ顔で笑ったあと、ほっぺをピンクに染めながら

「はあ、それにしてもいい女だったな~京子お嬢…。思い出しただけで俺の真珠入りのマグナムがうずいてくるぜ…」

にやけっつらでつぶやくと

「ああマジでいい女だった、俺の名刀正義だって、さっきから、ずーっとこの調子だぜ」

助手席のマサさんも、こんもりと盛り上がった自分の股間を指さした。

「ちくしょう、おまけにお嬢は京極森亀会会長の一人娘…、一緒になったら関西でも名だたるテキヤ一家の二代目襲名って、どでかいおまけつきだぞ…」

銀二さんとマサさんは口をそろえると、後ろを振り返り鬼のような形相で僕を睨み付け

「だいたいから何でお前なんだ吉宗!先輩の俺らを差し置いて、この野郎!かーっ、なんだかムカッ腹が立ってきやがる!」

「ひえー、そっ、そんなこと言われても…」

僕は思わず顔をひきつらせた

やがてバンは明りの消えたお不動さんの前を通過すると、見慣れた細い路地へと入っていった、だんだん会社へ近づくにつれ僕の鼓動はドキドキと高鳴り始めた。

(もう少しで会社だ、めぐみちゃん今頃どうしてるんだろう?…)

僕の脳裏に寂しげに店番をしていた、めぐみちゃんの姿が浮かんできた。僕はポケットから、無残に紐のちぎられた小さなお守り袋を取り出し

(めぐみちゃん、ごめんね…ごめんね…)

彼女からもらったそれをじっと見つめながら、目にいっぱいの涙を浮かべていた…

「おいっ、ついたぞ吉宗」

マサさんの言葉に顔を上げると、バンはすでに会社の車庫へと到着していた。

僕は慌てて車から降りると、キョロキョロと周囲を見回したが、あたりはひっそり静まり返っており、大きな犬小屋の中でセントバーナードの与太郎が退屈そうに、じっとこっちを見ているだけだった。

「はあ~」

小さなため息をつくと、バンの中から売れ残った金魚や、荷物を倉庫へ運び入れ、鬼瓦興業の建物の中へと入っていった。

 

「ほーい、みんなお疲れさん。」

玄関に入るといつものように、姐さんが笑顔で僕たちを迎えてくれていた。

「ただいまーっす!腹減ったー」

「今日はマサの出所祝いだ、お慶ちゃん達と一緒に、ご馳走いっぱい作ったからね、手を洗ったら早く居間に行きな…」

「俺の出所祝いっすか?姐さん、ありやとあっす、すっげえ感激っすよ!」

マサさんは小さな目を輝かせると、バタバタ廊下の奥へと入っていった

(お慶ちゃん達?)

僕は雪駄を脱ぎながら、姐さんの言葉に一瞬目を見開いた

「あっ、あの…姐さん。」

「なんだい、よっちゃん」

「お慶さん達って、もしかして、めぐみちゃんも…?」

「ああ、もちろん手伝ってくれたよ」

「それじゃまだ中に!?」

僕は玄関の雑巾で汚れた足を拭くと、心臓をバクバクさせながら奥へ向かおうとした、が、その時

「残念でした…、めぐみちゃんだったら、ハゲ虎が迎えに来てしぶしぶ帰って行ったよ」

姐さんの言葉に足を止め、「はあ~」と、ふたたび大きなため息をつくと、がっくりと肩を落としながら、とぼとぼと廊下の奥へ入っていった。

 

居間に入ると、何時ものように親父さんが座卓に腰かけ、得意の唐辛子で真っ赤になった刻みネギをバリバリ食べていた。そして、その周りには別の仕事(バイ)に行っていた、追島さんをはじめ、鉄や刺青の岩さんも座っていた。

「おう、なにぼーっと突っ立ってんだ吉宗、ほらお前も座れ、座っていっぱい食え!」

「はい!」

僕は親父さんに頭をさげると、鉄の隣のいつもの場所へ腰を下ろした。

「それじゃ、マサの出所を祝って乾杯!」

親父さんはそう言いながら、最近はまっている純生マッコリの入った大きなどんぶりを掲げたあと、がぶがぶと一気に飲み干し、隣に座っているマサさんの肩をグローブのような大きな手でばしばしとたたき始めた

「おうこらマサ、今度はくだらねえことで、パクられんじゃねーぞ、がはははは」

「くだらねえって、かっ、勘弁してくださいよ、親父さん…」

「馬鹿野郎、酔っぱらって素っ裸で一物されけ出したまま、女子高生追い掛け回したんだろが、思い切りくだらねえじゃねえか、はははは…」

「ちょっと追島の兄いまで」

真っ赤になってうろたえるマサさん、みんな大声で笑いながら、お酒を飲んだり、ご馳走をぼおばったりしていた。

いつもなら、僕にとっても大好きな楽しい時間だった。しかし今の僕は、京子さんと、めぐみちゃんのことが頭から離れず、呆然と座卓のご馳走を眺めていた…

「よっちゃん、どうしたのさ?さっきから、ぼーっとしちゃって」

気がつくと、僕の後ろに、大皿を抱えたお慶さんが立っていた。

「ほら、よっちゃん、あんたの好きな唐揚げだよ」

お慶さんは美味しそうに揚がった唐揚げ入りの大皿を、僕の目の前に置くと、そっと隣の席に腰を下した。

「さあ、食べてごらん、本当においしいんだから…」

「あっ、はい…」

僕はうなずくと、唐揚げを、そっと口の中に入れた…

(おいしい……)

「ねっ、おいしいでしょ、それ、めぐみちゃんがよっちゃんのために、心をこめて揚げた唐揚げだからね…」

「めぐみちゃんが!?」

あわててお慶さんを見たあと、僕は再び大皿に目をやった

(めぐみちゃんが…めぐみちゃんが僕のためにこれを…)

震える手で唐揚げを大皿からとると、僕は再びそれを口に入れた

(おいしい…、おいしすぎる…)

めぐみちゃん作、愛情のこもった唐揚げを噛み締めながら、僕は思わず目を潤ませていた

「何があったの?よっちゃん」

お慶さんはそっと僕にささやいた

「めぐみちゃんと何かあったんでしょ?」

「おっ、お慶さん?…」

「めぐみちゃんね、みんなの前で普通にふるまっていたけど、それを揚げながら泣いていたのよ…」

「泣いていた!?」

「やっぱり何かあったのね…」

僕は静かにうなずいた…

「だめだよ、よっちゃん。あんないい子泣かせたりしたら…」

「………」

「ほら、せっかくよっちゃんのために揚げてくれたんだから、しっかり食べてあげなさい、何があったか知らないけれど、早く仲直りするんだよ」

お慶さんの優しい言葉に頷くと、僕は唐揚げをもう一つ手にとり、そっと立ちあがった

「すんません、ちょっとトイレに…」

涙を隠しながら慌てて廊下へと出ると、僕は奥の暗がりへふらふらと歩きだした。僕の目からは涙が止めどなく流れ落ちていた…

(めぐみちゃんが、泣いていた…この唐揚げを作りながら、泣いていた…)

僕は廊下の途中で足を止めると、そっと窓の外を見た。視線の先にはめぐみちゃんの家があり、二階にある彼女の部屋は暗くひっそりと静まり返っていた。

「めぐみちゃん…」

僕はポケットに手を入れると、彼女が作ってくれた小さなお守り袋をとりだし、これをくれる時のめぐみちゃんの言葉を思い出した。

 

(恥ずかしいけど、私の手作りのお守り袋…、愛情たっぷりこめて作ったんだよ…中にお不動さんのお守りと、私からのメッセージが入ってるんだ…)  

(めっ、めぐみちゃんからのメッセージ?…)  

(あっ、ダメ~!恥かしいから、中は後で見てね…)

 

「そう言えば、めぐみちゃん中にメッセージが入っているって…」

僕は震える指先でお守り袋を開くと、お不動さんのお札の脇に折りたたまれた小さな手紙を取り出し、薄暗い廊下の明りにかざしてみた

「あっ…」

そこには、きれい文字で

『どうか吉宗くんが、毎日、元気に楽しく過ごせますように…』

めぐみちゃんらしい、優しい言葉か書かれていた…。そしてその脇には小さな文字で

『それから…私、神咲めぐみは、ずーっと大好きな吉宗くんのそばにいれますように…』

そう付け加えられていたのだった…

「めっ、めぐみしゃん…」

僕の目玉から、脱水症状になるのではないかと思うほどの、すさまじい涙が流れ始めた…

(めっ、めぐみちゃん!…めぐみぢゃん…)

「こんなに、ポクのことを思ってくれていたのら~!らろに、僕は、僕はめぐみしゃんを疑って、あんらひろいころを、言ってしまったのら~、めぐみしゃん!めぐみしゃん!」

僕は泣きながら顔を上げると、二階の彼女の部屋に目を向けた…

「めぐみちゃん、僕はめぐみちゃんが一番大切なのら~!君だけが大切なのら~!」

頭の中に、めぐみちゃんとの楽しかった思い出が、走馬灯のように蘇ってきた。

初めてであった面接の日…。一緒にべっこう飴を売った楽しいひと時…。西条さんとの対決の後、疲れて僕の肩に寄りそって寝ていた彼女のやさしい顔…。出会って間もないのに、僕にとっては数十年以上一緒に過ごしていたような、そんな数々の思い出を一つ一つかみしめるうちに僕の胸はどんどんと熱くなり始めていた…

とその時、薄暗かった彼女の部屋にパッと明りが!

「はっ、めぐみちゃん!」

(あの明りの部屋にめぐみちゃんが…めぐみちゃんがいる!)

そう思うと僕の心臓はバクバクと高鳴り始めた…

(会いたい…、めぐみちゃんに会いたい!)

気が付くと僕は裸足のまま外に飛び出し、夢中で彼女の家の塀の上によじ登っていた…

(めぐみちゃん!)

僕は無意識に手を伸ばし、彼女の部屋のバルコニーに飛び移ろうとした。とその時…

「はっ!?」

僕の頭の中に、京極森亀会の京子さんの美しい顔が…

「そうだ、僕は…僕はさっき、京子さんに愛の告白をしたままなのだ…」

京子さんの美しい笑顔が、頭の中でどんどん大きく広がりキラキラと輝き始めた。

しかし僕は、「違う!違う!!」ぶるぶるっと塀の上で首を横に振ると

(京子さんごめんらさい!ぼくはやっぱり、めぐみちゃんが一番大切なんれすら~!)

頭の中の美しい京子さんに向かって叫んだ…、すると京子さんは、それまでの美しすぎる笑顔から見る見ると恐ろしい鬼の形相へと変わりはじめ、同時に、彼女のバックには巨大な眼玉を見開いた森亀会長の怒りに満ちた顔と、京極森亀会のこわーい人たちが登場していた。

「ぐお!」僕は思わずのけぞり、思わず塀から落ちそうになった。

頭の中の京子さんは、めらめら燃える火炎の前で、まるでメデューサのように髪の毛を逆立てながら、右手には出刃包丁、そして左手にペットのワニガメを掲げると

(おどりゃ~!さっきの愛の告白は嘘やったんか~!)

目玉を血走らせながら僕に襲い掛かってきた

(うぐあーーー!)

僕はあわてて股間を握りしめると、青ざめた顔でバルコニーの先にある、明りのついた、めぐみちゃんの部屋に目をやった…

(ここで、あのバルコニーに飛び移ったら、めぐみちゃんに会える。でも、そのあとに待っているのは…)

僕の未使用の一物をおいしそうに食べているワニガメの様子がリアルに映し出された

(まだ、一度も使ったことが無かったのに…)

僕は寂しげに自分の股間をなでなですると

(ごめんね、僕のおちんちん…!)

自らのおちんちんに別れを告げ、ぐっと眉間にしわをよせ

「僕はめぐみちゃんを選ぶ!…たとえ、ぶった切られたって、めぐみちゃんを選ぶのら~!」

大声で叫びながら、めぐみちゃんの部屋のバルコニーへ向かって飛んでいたのだった…

つづき
第117話 吉宗くんとめぐみちゃんの大きな壁へ

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